2017/07/05 18:00

『ハチミツ』で知るスピッツのバンドとしての風格

 (okmusic UP's)
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スピッツが今年結成30周年を迎えた。7月5日には、CD3枚組に新曲3曲を含む全45曲収録した大ボリュームのシングル・コレクション・アルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』を発表。すでにアニバーサリーの全国ツアーも始まっている。その楽曲が長きに渡って多くのリスナーに愛され続けている、国民的人気を誇るバンドのひとつであるがゆえに、もはやその解説も無粋であろうとは思うが、彼らの特徴を改めて語れるのも、こうした節目の年なればこそ。ブレイクのきっかけとなった6thアルバム『ハチミツ』を題材に、“スピッツとはどんなバンドであるのか?”という、今さら聞けない話題にあえて踏み込んでみた。

■15年近くアリーナ公演を行なわなかった理由

スピッツ結成30周年記念となる全国ツアー『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』が7月1日、静岡エコパアリーナからスタートした。スピッツのアリーナツアーはこれが初めてではなく、2009年、2011年、2014年、そして今回と、これで4度目となるが、シングル、アルバムともに数々のミリオンヒットを持つ30年選手としては、このアリーナツアーの回数は極めて少ないと言える。作品の売上、その認知度だけを考えれば、スピッツはこれまでドームツアーを行なっていても何ら不思議ではないバンドであろう。ちなみにスピッツが日本武道館公演を初めて開催したのは2014年。今から3年前である。これを知った時、意外という感慨を通り越して、唖然としてしまった。もはやデビューから2~3年で武道館公演を実現するアーティストも少なくないのに──。彼らが初めてアリーナツアーの開催を決めたのはそれ以前だが、シングル「ロビンソン」が大ヒットした1995年から数えても、実に15年近く経ってからのことだ。アリーナツアーの解禁はライヴハウス、ホールではチケットが入手困難であったという理由からだそうだが、それだけならもっと早く決定しているはずで、そこには音響技術も関係していたのでは?と筆者は想像する。彼らが頑なにアリーナを拒んできたのは、広すぎる会場では観客との一体感を上手く作り出せないからだったと聞いた。その一体感とは、生歌を聴いた会場の全員が肩を組んで一緒に歌うようなものではなく、バンドサウンドをライヴでできる限り忠実に再現することで、それをオーディエンスと共有するといったものではなかったか。その昔は聴く位置によって音が変わるなど、大きい会場での音響は必ずしも良くなかった。つまり、PA技術、スピーカー性能がアップしたことで、アリーナ級の会場でもある程度、納得のいく音が出せるようになってスピッツはアリーナを解禁したのではないだろうか。実際、ここ10年間はフェスを含めて大規模な会場でのコンサートが増え、音のクオリティーは確実にアップしているとも聞く。まぁ、スピッツの真意は分からないが、彼らの作品にあるバンドアンサンブル、サウンドアプローチを聴くと、この仮説もそう的外れではない気はする。

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