2017/12/13 18:00

the pillowsがバンドの完全覚醒を示した黄金期の傑作『Please Mr.Lostman』

 (okmusic UP's)
(okmusic UP's)
11月8日から始まったthe pillowsの全国ツアー『RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.1』が12月13日にフィナーレを迎える。このツアーは1997年発売の5thアルバム『Please Mr.Lostman』と1998年発売 6thアルバム『LITTLE BUSTERS』の2枚のアルバム収録曲全曲で構成される公演で、メンバー自身がバンドの黄金期の作品と認めるアルバムの完全再現とあってチケットは早くからソールドアウト。the pillowsの確固たるキャリアのなせる業である上に、依然衰えないバンドのパワーを見せつけた格好でもある。本コラムではその『Please Mr.Lostman』を取り上げ、本作が黄金期の作品と位置付けられる所以を調べてみた。

■「ストレンジ カメレオン」で 示した決意

キングギドラの『最終兵器』のリリック《言いてぇ事言うのがヒップホップだろ》じゃないが、ロックもやはり言いたいことを言ってこそのロックだと思う。綴られている歌詞が私小説的というか、個人的なもののほうが多くのリスナーの支持を得ることは少なくない。サウンドもそうで、それが所謂時代に沿ったものであるとかないとかは関係なく、そのアーティストが思うままにやったほうがいいようではある。もちろん闇雲に何でもやればいいわけじゃなかろうが、少なくともオンデマンドじゃないもののほうがいい結果を出しているような気がする。代表的なところはUNICORNだろうか。彼らがブレイクしたのは3rdアルバム『服部』。本作はオーケストラによるインスト「ハッタリ」で幕を開け、当時10歳だったという“ペーター”なる子供によって歌われる「ジゴロ」へと続く、冒頭からふざけた印象のあるアルバムではあるが、これが受けたことは事実だし、のちのUNICORNのフリーダムなスタンスを決定付けたとも言える。UNICORN以外で言えば、(その姿勢によってバンドそのものが変わってしまったが)LOUDNESSやRED WARRIORSも自らの嗜好の赴くままに活動することで結果を出したアーティストだろうし、作品毎に指向を変化させてきた(だけじゃなく、メンバーも変更してきた)くるり辺りもそうかもしれない。もうひとつ、忘れてはならない存在がthe pillowsではなかろうか。1989年の結成からしばらくの間、メンバーの脱退やレーベル移籍なども重なって思ったような対外的評価を得られなかった彼らだったが、試行錯誤の末、1990年代半ばから、現在まで続くバンドの基本的スタンスを確立していく。それは、当時のメンバーの発言を借りれば“普段着でいいんだ”というメンタリティーがあったからであり、その姿勢が色濃く反映された作品が1996年に発表した6thシングル「ストレンジ カメレオン」、そして、今回紹介する5thアルバム『Please Mr.Lostman』であった。
まず、『Please Mr.Lostman』の6曲目にも収録されている「ストレンジ カメレオン」の歌詞がすごい(アルバム収録曲はシングル版とは歌詞、アレンジが異なるが、“ORIGINAL STORY”とある通り、アルバム版がオリジンであろう)。やや長めだが、以下に主だったところを引用させていただく。
《君といるのが好きで あとはほとんど嫌いで/まわりの色に馴染まない 出来損ないのカメレオン/優しい歌を唄いたい 拍手は一人分でいいのさ/それは君の事だよ》
《“たぶん もうすぐさ きっと”なんて息を止めたまま/どうでもいい行列に並んでもみた/“終わらないプレリュード奏でて生きてゆくみたいだね”って/僕ら笑う 死んでるように》
《たとえ世界がデタラメで タネも仕掛けもあって/生まれたままの色じゃ もうダメだって気づいても/逆立ちしても変わらない 滅びる覚悟はできてるのさ/僕はStrange Chameleon》
《恐いモノ知らずで 時代ははしゃぎまわり/僕と君のすごした ページは破り去られ/歴史には価値のない 化石の一つになるのさ/君と出会えて良かったな/Bye Bye 僕はStrange Chameleon》
いかがだろうか。《僕ら笑う 死んでるように》とか、《滅びる覚悟はできてるのさ》とか、ネガティブなフレーズが並んでいるので、制作背景をご存知なくとも何か穏やかでないものを感じるだろうし、同時に何かしらの強い決意を汲み取れるのではなかろうか。ここで描かれているのが、前述したthe pillowsの基本的スタンスであろう。

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