2018/05/28 18:00

“男女バディ”のボーカリゼーションが光る5曲

■「灰色の瞳」(’02) /椎名林檎、草野マサムネ

椎名林檎トリビュートアルバム『アダムとイブの林檎』の幕開けを飾る「正しい街」でヴォーカルを担う草野マサムネですが、2002年のアルバム『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』では長谷川きよしと加藤登紀子のデュエット曲「灰色の瞳」をふたりでカバーしています。アルゼンチン発祥のフォルクローレである原曲に倣って燠火のような哀愁を封じ込めた重厚な歌唱と物悲しい笛の音で表現した長谷川・加藤版と異なり、こちらは亀田誠治によって剥き出しの情動が爪を立てるハードロックにアレンジ。エフェクトで放散されるむせび泣くようなギターのトレモロ、噛み付かんばかりと激情を演じる椎名林檎とじっと押し黙って悲しみを紡ぐ草野マサムネ。同じ曲の中で展開される、彩度の異なる悲哀の数々に滅多打ちにされます。

■「さよならサブカルチャー」(’12) /アーバンギャルド

声を押し殺して泣き濡れる孤独に耐えきれず、ハッシュタグで病み垢とつながりたがる人に聴いてほしいこの曲。少女性をテーマにした楽曲は数多あれど、成長によって必然的に“少女”というカテゴライズから排斥される元少女の未来への諦観と過去の埋葬を詩情を交えながらも容赦なく綴った曲があったでしょうか。鈴の音色のような浜崎容子のヴォーカルに詩人であり男性である松永天馬の血の管が脈動するかの如き声が交差し、両翼たるふたりを支える背骨である演奏チームは散弾銃が如く飛散する絶望のリリックと目まぐるしい転調で、リスナーの不安を掬い上げながらも負荷のかからないキュートなテクノポップの体裁を厳粛に保つ。こんな楽曲やアーティストがエンターテイメントにデコレートされたまま画面の向こうから届く幸福感は他にありません。

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