2018/03/23 16:00

舞踊家・田中泯 「お芸術」は特権階級のやること

俳優としても活躍する舞踊家の田中泯
俳優としても活躍する舞踊家の田中泯

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優としても活躍する舞踊家の田中泯が、ドラマで立川談志を演じたときのこと、鬼平犯科帳で中村吉右衛門と対峙したときについて語った言葉をお届けする。

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 田中泯は二〇一三年、NHK-BSプレミアムのドラマ『人生、成り行き 天才落語家・立川談志ここにあり』で談志役を演じた。

「談志さんは知的エリートですね。悪い意味じゃなくてね。

 エリートなんだけど、人間が好きだったんだと思います。人間の何もかもを含めて。ただ、エリートであるために根底には階級意識があったんじゃないかな。だから、底辺の人たちを自身の芸の道の中心に据えてやることができたんだと思います。

 そこで彼は『落語とは業の肯定だ』と言うわけですが、もし今生きていたら議論したいですね。『なに日和ったこと言ってるんだ』って。彼の落語を笑って聞いていられる人ならいいんです。でも、本当にその業を背負った当事者が聞いたら、どう思うか。たぶん痛みが生まれるんじゃないでしょうか。彼ならそういう人を救う落語もできたはず。それが『業の肯定』で考えが止まって、その業を生む社会を崩すところまで行かなかった。

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