2018/04/02 07:00

三遊亭王楽、サスペンス映画を思わせる『居残り佐平次』

 佐平次が他の3人に「朝になったら先に帰ってくれ」と告げる場面で「空気のいいところで養生」云々を言わないのも談志と同じだが、王楽の演じる佐平次は「割り前は要らない」と言い切り、「自分は居残る」などと宣言することなく「あとは任せて」とだけ言う。佐平次を「ミステリアスな男」として描こうとする王楽の意図が見える。

 サゲは「あんな奴、表から帰さず裏から帰せばよかった」「いや、あんな奴に裏を返されてみろ、たまったもんじゃない」。このルーツは従来の「おこわにかけられた」「旦那の頭がゴマ塩ですから」に代わって談志が考案した「裏を返されたらあとが怖い」で、友人である五代目圓楽はその変形「裏を返すのは懲りた」でサゲていた。

 だが談志や圓楽は佐平次が去るとすぐに若い衆が「旦那、なんだってあんな奴を表から帰すんですか」と抗議してサゲに至るのに対し、王楽は様子を見に行った若い衆に佐平次が「俺は居残りを商売にする佐平次って者だ」と告げる。通常、この佐平次の捨て台詞が真実かどうかは曖昧、というよりおそらく嘘なのだが、王楽の場合はそれを伝え聞いた主人が「噂には聞いたことがあったが、あいつがそうか!」と合点する。王楽は佐平次を本当に「居残りを商売にする男」にしたのである。

今日の運勢

おひつじ座

全体運

集中力を発揮すると、思わぬ成果を上げられそう。何か一つ目標...もっと見る >