2017/07/01 18:28

【映画コラム】人物描写のバランスの取り方を間違えた?『忍びの国』

(C)2017 映画「忍びの国」製作委員会
(C)2017 映画「忍びの国」製作委員会

 戦国時代、織田信雄軍と伊賀の忍び衆が戦った「天正伊賀の乱」に材を取った和田竜の同名小説を映画化した『忍びの国』が公開された。

 本作は、同じく和田原作の『のぼうの城』(12)同様、史実にフィクションを巧みに織り交ぜ、多勢に無勢からの大逆転を描いているのだが、『のぼうの城』に見られた“一寸の虫にも五分の魂”的な、登場人物たちの心意気から得られるカタルシスはなく、目的のない戦いの空しさや陰惨な印象が強く残る。それは、忍びという特殊な集団の持つ暗い背景によるものだろう。

 そんな本作を見ながら、1960年代に市川雷蔵主演でシリーズ映画化された『忍びの者』を思い出した。織田信長、百地三太夫といった権力者に利用され、やがて捨てられる下忍たちの悲哀と反抗を描いていたが、良くも悪くも反権力という筋が一本通っていた。それ故、見応えがあったのだが、本作はそうした精神的な柱となるものが弱いと感じた。

 それは、大野智演じる主人公・無門の性格付けの弱さや描き方の甘さが最たる原因だろう。だから、腕のいい一匹おおかみの忍びで、恐妻家で守銭奴の無門が、妻(石原さとみ)との豊かな暮らしよりも信雄軍と戦うことを選ぶという、心境の変化の理由がよく分からない。

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