2018/10/11 11:00

甘辛サクサクシャキシャキジューシー! 中野の油淋鶏は究極のおいしさ

甘辛サクサクシャキシャキジューシー! 中野の油淋鶏は究極のおいしさ
甘辛サクサクシャキシャキジューシー! 中野の油淋鶏は究極のおいしさ
フードライター・平野紗季子さんの「平野紗季子のMY STANDARD GOURMET」。今回ご紹介するのは、『湯気』の油淋鶏(ユーリンチー)です。

カツ丼の蓋を開けたとき、立ちのぼってくる湯気がまずなによりのご馳走なんだ、と田口雄一さんは少年時代から気づいていた。

「だから店の名前はわりにすんなり決まりました」。中野駅の南口線路沿いの中華食堂は、『湯気』というそれだけで人の心を掴む最高の屋号を掲げて今年8月にオープンしたばかり。店に着くなり差し出されるのは一杯のスープ。中華青磁のお碗からふわーんと湯気が立ちのぼれば、表情筋はたちまちゆるみ、店との距離も近くなる。白湯に近い柔らかな出汁の味わいで、胃も心もすっかり整ったところで本編が始まるのだ。

「料理のメニュー、これだけでもよかったかも」と田口さんが言うのは油淋鶏。紹興酒で下味をつけカラっと揚げた鶏肉に、レタスの床と、薬味多めの特製タレ。甘辛サクサクシャキシャキジューシーの、ある種究極のおやつ的おいしさを体現する一皿だ。高くないのにたしかにおいしい。気取りはないのにかっこいい。ドリンクにはナチュールワインを揃えて、店内にはオーダーメイド花屋『LOVELETTER』を併設する。この店には町中華という言葉が似合うなあ、と思う。そしてそれがこんな風に更新されるのか、という驚きもある。近頃は昔ながらの店の閉店に胸を痛めることも多いけれど、そのスピリットを受け継いだ店がこうして生まれていくことが、とても嬉しい。

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