2019/01/22 11:00

立ち食いそばの聖地・川崎にある『ポツンと一軒家』系そば「大年」

川崎といえば川崎大師(川崎区)。初詣には毎年数百万の参拝者が訪れる ©iStock.com
川崎といえば川崎大師(川崎区)。初詣には毎年数百万の参拝者が訪れる ©iStock.com

 川崎市は東西に細長い。東京に至近であり、物価も安く、ベッドタウンとして人気である。武蔵小杉では今も高層マンションの建設ラッシュが続く。

川崎は「立ち食いそばの街」である

 そんな「便利な街、川崎」だが、実は、大衆そばファンには見逃せない事がある。それは、「川崎には立ち食いそば屋・大衆そば屋が数多くあり、しかも東西に広く点在している」ということである。ざっと列記してみる。

川崎区:かずみ@大島、はるな@渡田、山一@渡田新町・藤崎、濱や@小川町、高田うどん@貝塚、金亀@砂子、浜そば@浜町、新八@東田町、いはら屋@浜川崎、大和@川中島、えきめんや@京急川崎駅、ゆで太郎@砂子、富士そば@小川町、箱根そば@川崎駅前

 

幸区:大年@下平間、かしわや@鹿島田、つかさ@平間

 

中原区:山七@新丸子、かしわや@武蔵新城・武蔵小杉、しぶそば@武蔵小杉駅、富士そば@元住吉

 

高津区:梅もと@溝の口駅、ベルハウス@高津

 

多摩区:箱根そば@登戸駅、爽亭@登戸駅、星川製麺@中野島、角あき@稲田堤

 

麻生区:箱根そば@新百合ヶ丘駅

 確かに多い。特に臨海部(川崎区)に多い。これは京浜工業地帯全盛期の頃の名残だと思う。店を地図でみていくと、川崎街道(府中街道)、南武線に沿って点在していることがわかる。

 川崎は多摩川の河川域であり、しかも南側には多摩丘陵が続いている。昔から良質な水があり、製麺屋も多かった。中野島の星川製麺は明治30年の創業である。東京や横浜などの大消費地が近く、府中、立川、多摩地区への人や車の流れも相当なもの。そこに自然発生的に立ち食いそば屋などの大衆そば店が誕生していったと考える。

「ポツンと一軒家」的なそば店

 前置きが長くなってしまったが、そんな川崎の大衆店の中から、ぽつんと一軒家的なお店を紹介しよう。下平間の「大年」である。

 年も明けた1月最初の三連休の土曜日、挨拶がてら「大年」に行こうと南武線の鹿島田駅に降り立った。南側は横須賀線「新川崎駅」に続くエリア。こちらも早々と高層マンションなどの開発が進んでいるが、北側(多摩川方向)のエリアは昔ながらの下町風の商店街が続いている。駅から歩くこと10分少々。飲食店などがなくなってきた旧川崎街道沿いに「大年」はぽつんと営業していた。

創業39年、女将さんが1人で切り盛り

 風にゆれる緑色の暖簾がきれいだ。午前11時前に訪れたが、店にはすでに先客が3名ほど。みな地元の商店主さんやタクシーの運転手さんだ。その後も次々とお客さんが入店する。

「大年」は七十路の女将さんが1人で切り盛りしているカウンター6席程の小さな店である。今年で創業39年になるそうだ。

 挨拶をして、「天玉そば」(400円)を注文した。すると、つゆを1人前ずつ行平の鍋に移して温めていく。天ぷらは自家製。麺は近隣の製麺所の茹で麺を使う。

「天ぷらそば」のじわじわにじみでる旨さ

 3分ほどまって着丼した。つゆはアツアツで、出汁のじわじわ効いた綺麗なむらさきのタイプである。天ぷらはつゆにひたすと旨さが花開く。茹で麺だがコシもあり、三位一体でバランスがすごくよい。「天ぷらそば」(350円)、「カレーそば」(410円)、「肉そば」(410円)あたりが人気である。

 また、「大年」では「カレー丼」(440円)や「肉丼」(440円)などの丼物を頼む人が多い。カレー丼は大きな赤い缶に入ったSBの業務用カレー粉と片栗粉や玉ねぎ、豚肉で餡を作る本格的なタイプで、つゆとスパイス感が融合した傑作だ。もちろん「カレーそば」も同じ作り方。「たぬき丼」(400円)は山菜やきのことたぬきを玉子でとじた丼である。

 突出した旨さなどない。しかし、じわじわとにじみ出る旨さとでもいえばいいだろうか、女将さんが培った味のバランスが素晴らしいといつも感心する。

 最近は腰痛も調子がいいし、カラオケの練習にも余念がないそうだ。帰り際に、女将さんから新年早々、頼もしい御言葉を聞くことができたのは収穫だった。

「人生は100年だそうですよ。まだまだあと20年はやらないと。だから、また、来てくださいね」

写真=坂崎仁紀

INFORMATION

大年

川崎市幸区下平間345

営業時間 月~土 7:30~18:00(麺・つゆ切れの場合早めに閉店)

定休日 日祝 

(坂崎 仁紀)



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