2017/08/14 17:00

“昆虫食のメッカ”タイ東北部で“ワインに合う虫”を探した結果――高野秀行のヘンな食べもの

イラスト 小幡彩貴
イラスト 小幡彩貴

 ヒアリが話題なので、本欄もアリ食について書いてみたい。

 アリの成体を常食する場所は知らないが、アリの卵はタイやミャンマーなどで食されている。私も何度か食べているが、印象に残っているのはタイ東北部だ。彼の地は世界でも最も昆虫食のバリエーションが多く、「昆虫食のメッカ」とも呼べる地域なのだが、「新たに『虫の缶詰』が開発された」というニュースを聞きつけ、バンコクから列車とバスを乗り継ぎ十時間以上かけてサコーンナコーンという田舎町へ取材に行ったのである。二〇〇〇年代の初めのことだ。

 場所はサコーンナコーン農業貿易研究所。日本の農業試験場に近い存在だ。訪れると研究員の人に温かく迎え入れられたが、「虫の缶詰を作ったきっかけはここで開発したワインに合うつまみを作ろうと思ったことです」と言われ、頭の中が?マークでいっぱいになった。熱帯多雨のタイではブドウは作れない。そして、少なくとも当時タイではワインなど、バンコクに住む富裕層しか飲んでいなかった。しかもそのつまみに虫? 私のタイ語がよほど下手なのかと思ったが、研究員の人はちゃんとワインのボトルを持ってきた。

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