2017/08/16 11:00

とんかつ特集で思い出す「とんかつ一代」のとんかつ賛歌――平松洋子の「この味」

©下田昌克
©下田昌克

 とんかつの四文字は黄金色に輝いている。

 とんかつ、とんかつ、とんかつ……繰り返していると口のなかが生ツバでいっぱいになってきて、こうなったら、もう気がすまないのがとんかつだ。とんかつに向かって突進すると、よしこい! どすこい! 両手を広げて受け止めてくれる度量の広さ。きつね色に染まったトゲトゲの衣に、ああ抱きしめられたい。

 五、六年前、正月早々の三日、阿佐ヶ谷の名画座に映画を観に行った。なぜ出かけたかというと、その日の上映が「喜劇 とんかつ一代」だったからだ。監督は川島雄三、主演は森繁久彌、一九六三年公開。とんかつ屋を舞台に繰り広げる人情喜劇で、ずっと見逃していた。お正月映画に「とんかつ一代」だなんて洒落たラインナップだなあとほくほくしながら駆けつけると、ロビーでばったりT書房の編集者Aさんと遭遇。Aさんとは浪曲の公演とか忘年会などで顔を合わせるけれど、なぜかそれ以上にうれしかったのは、とんかつの黄金効果だった気がする。

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