2017/09/12 17:00

ワニの刺身は透き通るようなピンク色だった!――高野秀行のヘンな食べもの

イラスト 小幡彩貴
イラスト 小幡彩貴

『古事記』に「因幡の白兎」という有名な物語がある。兎が海を渡るのにワニを騙して水面に並ばせ、その上をひょいひょい伝って歩くが、最後の最後で嘘がばれ、怒ったワニに皮を剥ぎ取られてしまうという話だ。私は昭和四十年代にこの伝説を絵本で読んだのだが、そこでは本当に爬虫類のワニの上を兎が歩いていた。

 あとで考えれば、日本にワニは生息していない(海にも棲んでいない)。ワニとは「和爾」と書き、古語で「鮫」のことなのだ(今でも出雲地方では「ワニ」)。恐らく、無知な編集者がワニ=爬虫類だと思い込み、そういう本を作ってしまったのだろう。古き良き昭和のお話だ。おかげで私は大人になって初めて自分が騙されていたことを知ったのだった。

 ワニは古代、日本人には身近にして重要な魚だったらしく、貝塚でも鮫の骨が発見されているし、『風土記』や『延喜式』にも鮫漁について記述がある。また、今でも伊勢神宮には鮫の干物がお供えされるそうだ。

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