2017/09/28 11:00

じんじんじりじりが止まらない、鯨の味わい――平松洋子の「この味」

©iStock.com
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 たまらなく鯨が食べたくなることがある。歯茎が痺れるような、あのぶっちぎりの味。うまい、というより、痺れる、疼く。歯茎の奥のほうまでじんじんじりじりする。

 小泉武夫さんと話したとき、「わたしは鯨少年。鯨の肉を食べないと手が震えてきちゃう」と笑っていたけれど、あれは冗談なんかじゃなかった。鯨の味を覚えたのは少年時代で、仙台味噌に漬けこんだ鯨の赤身を炭火で焼いたのを一枚、ご飯のうえに「ピタッと」乗せた弁当を毎日食べて鯨に夢中になったという。高校時代までずーっと鯨弁当。かくして小泉武夫そのひとの大脳の味覚野に、鯨のじんじんじりじりが刻みこまれていった。小泉さんは、「うちの巨大な冷凍庫の半分は鯨で、あれがあるからほっとしていられるんですよ」と、にんまり。

 わたしの場合は、弁当ではなく、給食で鯨の味を知った。キャベツのせん切りといっしょにコッペパンにはさんでかぶりつく鯨の竜田揚げ。噛むと、それこそピュルピュルじゅわじゅわ~と「うま汁」(©小泉武夫)が口のなかに飛び散る。あのとき鯨肉にたいする過剰反応を覚えたので、苦手な献立はいろいろあった(フルーツサラダと牛乳だけ、はすぐ空腹になった)が、鯨という恩恵に出会わせてくれた給食には感謝している。

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