2018/05/15 11:00

「鶴見系」立ち食いそば? ローカルチェーン「りっちゃん」をめぐる冒険

「りっちゃん神保町店」は靖国通り沿い
「りっちゃん神保町店」は靖国通り沿い

 最近、東京近郊でも「白だし系」のつゆを使ったそば・うどん屋が増えている。牛込柳町の個人店「白河そば」、チェーン店「そば助」などは塩系の返しを使う人気店である。有楽町の「都そば」でも関西風つゆが人気だ。そして、今回紹介するのは神保町に2018年3月に開店した「りっちゃん」である。

「りっちゃん」は鶴見や川崎などで人気のローカルチェーン店である。川崎の追分に創業したのが2014年6月。その後、生麦や蒲田などに出店し、神保町が6店舗目とか。

名物「横浜かすうどん」、ルーツを探して……

「りっちゃん」は横浜かすうどんをイチオシにしている。横浜とどんな関係があるのか探るため、4月の暑い土曜日の昼前、「りっちゃん生麦店」を訪ねてみた。というのも、不思議なことに鶴見には「鶴見系」といわれる関西系の黒くないつゆのそば屋が多いのだ。鶴見だけの現象で、鶴見には沖縄の移住者が多く、ソーキそばのつゆをベースにアレンジしたそばつゆが誕生したのがそのルーツではないかといわれている。

 すごい元気な女性の従業員の方にそのことを質問すると、あっさり「関係ないと思う。女将さんのりっちゃんがこのつゆに惚れ込んだ」という。ちょっと肩すかしを食らった感じだが、りっちゃんが神保町にいるというので、その惚れ込んだ理由を聞きに、急遽、神保町に向かうことにした。

「りっちゃん神保町店」に到着したのは午後1時過ぎだった。近所の出版社のお偉いさんだろうか「かすうどん」650円を食べに来たり、店はそこそこの入りで、すでに人気になっているようだ。席は皆カウンターだが、仕切りのあるお一人様の席も3席ほどあり、女性でもひとりで安心して入店できる。

透き通ったつゆと上品な味

 早速、「かすうどん」を注文した。うどんは生麦店で自家製麺しているそうだ。茹で時間は8分以上かかるので、昼時は小ロットを茹でて提供するスタイルである。注文後しばらくして、やや小さめのどんぶりに入って登場した。

 おぼろこんぶ、わかめ、かすなどがのって、つゆは透き通っている。つゆをまずひと口すすってみる。こんぶやかつお節の旨みが広がる。いりこは使っていない。隠し味はシイタケの旨みだそうだ。甘味は少なくあっさりしている。関東の人の舌に合わせたのだろう。返しは白醤油がベースで味醂などをうまく配合している。「りっちゃん」のつゆは上品な味だ。

 とろろこんぶも上物を使っているし、意外と食べごたえがある。自家製のうどんのコシもなかなかよい。「かすうどん」にはごまのりのかかったライスと天かすがついてくる。

〆のてんちゃ風ライスがオツなのだ

 この天かすをかけるとまた味が膨らんでいく。サービストッピングの千切りの煮こんぶもうまい。うどんを食べ終わったところで、ライスをつゆに入れて「てんちゃ風」に食べるのがまたオツである。

 かすはよく煮込んだ牛モツそのものの味で、臭みなどなくしっとりとつゆの旨みを含んでぷるんとしている。一瞬、お麩と錯覚してしまいそうな食感で、「コラーゲンぷるぷる」と幟で謳うのも納得の味だ。

 女将さんの川上律子さんに聞くと、関西系の透き通ったつゆが好きで、ずいぶん関西に食べに行ったそうだ。そして「龍の巣」や「KASUYA」などに何度も行って「かすうどん」のうまさの虜になったそうだ。惚れ込んだその味をそのまま真似するのではなく、生麦店などで横浜の常連さんに何度も食べてもらい、関東の人たちに合うように試行錯誤して、いまの「白つゆ」・「横浜かすうどん」を完成させていったそうな。

冷やしでも心地よいうまさ

 このつゆは、冷やしのそば・うどんでもうまいに違いない。そう思い、後日、「冷やしかき揚げそば」420円を注文してみた。案の定、このつゆの冷やしはあっさりと出汁の香りが心地よい。そばは製麺所の生麺の都度茹でで、つゆとの相性が抜群だ。コシもあってなかなかよい。

 揚げたてのかき揚げ天ぷらは中心まで十分火が通って、初台の「加賀」を彷彿とさせる立体的なかき揚げ。まさに「ねぶた風」の揚げ姿だ。

「りっちゃん」の味のルーツは関西、味と心意気は横浜だ。カレーも自家製というし、今年の夏は「りっちゃん」で乗り切れそうだ。

写真=坂崎仁紀

りっちゃん

東京都千代田区神田神保町2丁目2−38

営業時間 8:00~20:00
定休日 日・祝
http://yokohama-kasuudon.jp/

(坂崎 仁紀)

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