2017/12/19 12:00

音楽好きが集う新代田の立ち呑み屋で 脇田もなりが安くて旨いつまみを堪能

vol.03 えるふえる

新代田はソロ・シンガーとしての出発点

 2017年11月22日に4thシングル「WINGSCAPE」を発売したフィメール・シンガー、脇田もなり。お酒が大好き! だけど酒場ビギナーな彼女が東京近郊の名店を探訪しながら、立派な酒呑みレディへの階段を昇っていく連載「名酒場 IN THE CITY」。第3回はソロ・シンガーへの扉を開いた、あの街へ……。


知る人ぞ知る“飲みカワ”女性シンガー、脇田もなり。現在22歳、好きなお酒はハイボール。

 今回訪れたのは世田谷区・新代田。井の頭線の駅を降りると、目の前を走る環七通りには忙しなく車が行き交います。この新代田という街は、もなりさんの人生を変えた場所なんです。

 所属していたガールズ・グループEspeciaを2016年2月に脱退後、大阪から単身上京してきたもなりさん。表現者としての道を歩みたいと思いながらも、それが歌手なのかどうかはっきり見えないまま日々を過ごしていたのだそう。

 ちょうどその頃(2016年5月)、以前より親交のあったインドネシアのポップ・バンド〈イックバル〉の来日公演が新代田のライヴハウスFEVERで開催。

 もなりさんも純粋にライヴを観に行くつもりでいたところ、イックバルからゲスト・ヴォーカルとして1曲だけ参加してほしいという突然のオファーが。グループ脱退以来、表立った活動はしてこなかった自分がステージに立っていいのか? という逡巡もあったものの、「これが最後だ」という想いで出演を決意。

 事前の告知もなくシークレットゲストとして歌を披露──その会場に偶然居合せたのが、現在所属するレーベルのスタッフ。彼女の歌に惚れ込みソロ・デビューを持ちかけ──そこから一気に道が開け、同年11月にはシングル「IN THE CITY」で見事ソロ・シンガーとしてデビューを果たしたという。

 つまり新代田は、脇田もなりのソロ・シンガーとしての出発点なんです。


新代田FEVER前にて、約1年半前の夜に想いを馳せるもなりさん。

 シークレット・ゲストとして歌を披露してから約1年半、ふたたび新代田の街へ凱旋を果たしたもなりさん(って、呑みに来ただけですが)。

 FEVERとは反対方向の世田谷代田方面へ向かって環七沿いを歩くと、今回訪れる〈飲み屋 えるえふる〉が見えてきます。


環七沿いに紺色ののれんがはためく、「飲み屋 えるえふる」。もともとはギャラリーカフェがあった場所に、2年ほど前にオープン。

「わーっ、かわいいお店! 居酒屋さんとは思えないぐらい。あれ!? 奥にはCDやレコードがたくさんありますけど……」

立ち呑み屋とレコード屋の2in1?


アナログジャケットがずらりと並ぶ棚の奥には……?

 実はこのお店、core of bellsのベーシスト會田洋平さんが店主を務める〈飲み屋 えるえふる〉と、cinema staffのギタリストとして活動する辻友貴さんが運営するレコードショップ〈Like a Fool Records〉が共同で経営する、立ち呑み屋とレコ屋が一緒になった夢のようなお店。2017年8月で開店2周年を迎えたそう。


店内で販売しているCDは、お酒を呑みながら試聴可能。

「立ち呑み屋さんに来ること自体、今日が初体験です! あっ、〈いきなりステーキ〉ってお店にはスタッフさんに連れていってもらったことがあるけど……あれは立ち食いでしたよね(笑)」


ポップな壁画の前には、ドラム缶を使ったテーブルが。

 ドラム缶を使った立ち呑みテーブルに陣取ったもなりさん、ビールをいただきます。ビールはやっぱり瓶! しかも、こだわりの赤星(サッポロラガー)です。

 冷蔵ケースから自分でお酒や料理を取り出して、カウンターでその都度お会計するスタイル。グラスに手酌して、グイッといっちゃいましょう。


冷蔵ケースから好きなお酒を選びます。


初めての一人立ち呑みに、ちょっと緊張気味のもなりさん。

「あ〜っ、おいしい! 最近ビールの美味しさがわかるようになってきた気がします(笑)。それにしても、ビール大瓶490円って安くないですか?」


〈赤星〉の美味しさで、この表情!

 そうなんです。〈えるえふる〉の魅力は店内のポップな雰囲気や音楽だけでなく、お酒やつまみの値段の安さにもあり。下北沢にほど近いエリアにありながら、つまみは150円〜、お酒も290円〜という下町価格で楽しめちゃうところがすごい!


おつまみメニューはすべて日替わり。

 料理のほとんどは會田さんの手作り。瓶ビール班長という名義で酒場巡りブログも手がけているという彼が、自分が呑みたい酒・食べたい肴を揃えて、さらに自分が行きたいと思える価格で提供するという、酒呑みとしてのこだわりが随所に貫かれています。

未知のバイスサワーに初挑戦!


パクチーのせもやしナムル(250円)。

 黒板メニューにあるたくさんのおつまみからは「パクチーのせもやしナムル」「愛媛県産カンパチ刺」をチョイス。


パクチーはちょっと苦手だというもなりさんですが……。

「もやしのナムル大好きなんですけど、パクチーはちょっと苦手で。でも、挑戦してみます……わっ、美味しい! ここのパクチーは食べられます(笑)。ナムル自体の味付けも好みだし、もやしもシャキシャキしてて美味しい。これは絶対ビールに合いますね! ちなみに値段は……えっ、250円!? 安ーーーい!」

 立ち呑み初体験の勢いに任せて、なんと苦手なパクチーまで克服してしまったもなりさん。こういうのもビギナーズラックと言うんでしょうか。


愛媛県産カンパチ刺(400円)。

「カンパチのお刺身も、新鮮で脂がのってて美味しい! もっといろんなおつまみも食べたくなりますね」

 ここで、お店の名物のひとつ「とり天」も追加でオーダー。


名物とり天(300円)。

「うーーーん、美味しい! しっかり下味がついてて、ちょっと餃子みたいな味にも感じたんですけど、おかしいですかね? ここにビールを流し込むと……うーーーん、やっぱり最高です(笑)」


とり天と赤星、相性の良さは抜群!

 瓶ビールの旨さを堪能したところで、他にも別のものを呑んでみましょう。會田さん、何かオススメはありますか?

「バイスサワーなんかどうでしょう? シソの風味がついた炭酸飲料(割りもの)なんですけど、女性のお客さんは色がかわいいって呑む方が多いですね」(會田さん)

 ということで、バイスサワーに初チャレンジ! ちなみにベースのお酒は金宮焼酎。赤星と金宮は、名店と呼ばれる店に置いてあることが多いので、酒呑みが店を選ぶ時にひとつの基準になるようです。


バイスサワーを今日初めて知ったもなりさん。

「なるほど〜。赤星と金宮が置いてある店は名店かあ(メモ)。バイスサワー、初めて見ましたけど、ホント色がかわいいですね! これ、量はどれぐらい入れるのが正解なんですかね?(笑)」

 最初に入ってる焼酎の量にもよるけれど、最初に瓶の半分ぐらい割りものを入れて呑んでみましょう。それでも濃いようだったら、割りものをさらに足してアルコール分を薄めて。1杯目が呑み終わってまだ割りものが残っていれば、追加で焼酎の「中(ナカ)」だけを頼んでおかわりしてもいいでしょう。


バイスサワー(350円)。

「じゃあ、バイスサワーいただきます。わ、美味しい! 子どもの頃によく食べた、〈小梅ちゃん〉って飴ちゃんを思い出しますね。飲みやすいから、クイクイいっちゃう。あんまり他のお店では見た事ないんですけど、どこにでも置いてるものじゃないんですか?」

一人呑みの極意を達人から学ぶ


バイスサワーのピンクに、ブルーのネイルが似合ってます。

「そうですね。下町の小さな工場で作られてるから、そんなにたくさん流通してないんです。だからバイスがあるところではバイスばっかり頼む人もいる。うちの店でもバイスしか呑まない人もいますね」(會田さん)

「へーっ! わかりました。赤星と金宮とバイスがあるお店は、いいお店!ってことですね(笑)。えるえふるに来るのは、どういう方が多いんですか?」


アナログレコードを模したコースター。

「半分ぐらいは音楽好きな方。CDショップで売ってる音源を試聴しながら呑むこともできるんですよ。あとは地元の方とか、ネット見つけて安くて美味しそうな酒場があったので来ましたっていうお酒好きな人とか。20代が一番多くて、女性のお客さんも多いですね」(會田さん)


「エサ箱」をDigするもなりさん。

「私も一人でいろんな居酒屋さんとか行ってみたいと思うんですけど、なかなかのれんをくぐる勇気がなくて。會田さんは、一人で呑みに行かれることが多いんですか?」


タコとアボカドのマリネ(350円)。

「そうですねぇ。基本的に一人で行きますね。というか、僕は一人で呑むのが好きなんです。よく『一人で呑んでる間は何してるの?』って聞かれるんですけど、何もしてないんですよ。強いていえば、その店の雰囲気を楽しんでる」(會田さん)

 そして、ずーっとメニューを見ているのだという。

「一人だと食べられる量に限界があるので、この中だったら俺はどれをチョイスするんだ?っていうのをずっと考えてる(笑)。で、まわりの人が食べてるものもチラっと見たりして『ああ、あれが名物なのか、これが美味しいんだな』とか、だんだん把握していくんです」(會田さん)

「面白そう! 私みたいなのが一人で酒場に入っていったらおかしいですかね?」


タコとアボカドのマリネが美味しさに、自分でも作ってみようと思案中のもなりさん。

「全然そんなことはないと思いますよ! 若い女性で一人で呑みに来てる人も多いですし、まわりのお客さんからは喜ばれるんじゃないでしょうか。自分の親世代とか、もうちょっと上の世代も多いから、立ち呑み屋に若い女の子がいるってだけで、めちゃくちゃおごってもらえたり。男の僕でも若いってだけで、そういう体験は何度もありましたよ(笑)」(會田さん)

「えっ、そうなんですか!?」

「でも、そこは難しいところでもあるし、危ない部分でもあるんですけどね。うるさく絡んでくるやつは、ずっとうるさいままだし……そこでスマートに『よく来たね』みたいな感じでさっとおごってくれたりする雰囲気になれれば、すごく面白くなると思います。それに、入ってみてあんまり雰囲気が合わないなと思ったら、すっと帰れるのが立ち呑み屋の良さでもあるから」(會田さん)


レコードやCDに囲まれながら呑むお酒は、また格別。

「なるほど〜。思い切ってのれんをくぐってみると、何か面白い世界が待ってるかもしれないですね」

 シンガーとしての扉を開いた新代田の地で、酒呑みとしての新たな扉も開けちゃったかもしれないもなりさんなのでした。


飲み屋 えるふえる
所在地 東京都世田谷区代田5-28-3
電話番号 03-6883-7180
営業時間 月~金曜 19:00~24:00、土・日・祝 17:00~24:00
※14:00~の場合もあるので、詳しくはTwitterを確認のこと
定休日 不定休

文=宮内 健,撮影=山元茂樹

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