2017/12/17 12:00

何皿でも食べられる“スーパーB級グルメ” キングオブ餃子は芸術品のような美しさ

 カジュアルなプライスながら本能でおいしい! と唸ってしまう、「B級グルメ」と呼ばれるソウルフードたち。日本全国に数多くあるなか、グルメが集う東京近郊においては、本当の実力が求められる。

 つい先日も、ミシュランガイドにおいて「ビブグルマン」が発表され話題になり、カジュアルダイニングのシーンがいかに魅力的かを世の中に知らしめた。そんな中、餃子を筆頭にB級フードの奥深さに目覚め、終わりなき行脚を続けているのが、ワインスタイリストでありながら、“餃子セレブ”の異名を持つ藤崎聡子さん。

「餃子」「唐揚げ」「中華丼」という3つの好物に焦点を当てて食べあるき、ついに見つけたとっておきのメニューを、SB級=スーパーB級グルメと命名。その中からいますぐ訪れるべき名店を各3軒ずつ紹介します!


浅草の名店、その名も「餃子の王さま」の逸品餃子。相棒は、冷えたビールで!

藤崎聡子さんが考える
SB級グルメ三箇条 2017

「SB級グルメ」を厳選するにあたり、藤崎さんが基準にしたのがこちらの三箇条。ただ安くておいしいだけじゃない。トータルバランスと、フードを通してハッピーになれる付加価値に重きをおき、大人の女性のために考案された“SB級マニフェスト”をまず知っておこう。

●条件その(1) お酒と合う
「ビール、レモンサワーといったカジュアルなものから、古酒、ワイン、シャンパンにだって負けない。お酒と合わせることで味わいが完成する、存在感のあるフードを選びました」と、藤崎さん。シャンパンのマリアージュについてつねに考えている藤崎さんが、各料理に合わせて選ぶお酒を、最後のコラム「聡子の眼」で紹介。

●条件その(2) 毎日食べられる
 藤崎さんいわく、「おいしいものとは、飽きがこないもの。疲れていても、お腹がいっぱいでも、目の前にあると頬張ってしまうもの」だとか。今回紹介したセレクトに関しても、30年越しで通っているお店や、何百食も食べてきた殿堂入りメニューがオンリスト。

●条件その(3) 言葉でシェアしたくなる
“インスタ映え”が、料理の魅力のひとつの要素となりつつある昨今。SB級フードの魅力は、写真だけでは伝わりにくいと藤崎さん。「カリッと焼き上がった餃子の皮、あふれる肉汁などは、写真ではなく言葉で表現したくなる。心底おいしいものを食べると、この素晴らしさを伝えねばという、謎の使命感にかられます」と笑う。“おいしい”は、自慢するものではなくて、伝承するものなのだ。

 以上の三箇条を肝に銘じ、まずは第1回の「餃子編」を幕開け!

●餃子の王さま(東京・浅草)


王さまの餃子 420円(写真は2人前)。

ビブグルマン2018に選ばれた
キングオブ餃子

“餃子セレブ”藤崎さん。おすすめを聞かれると、まず思い浮かぶのがこちらのお店だとか。「もっちりした皮、カリッとした食感、いわゆるみんなが好きな餃子のイメージの、ありそうでない完成形のような餃子です。そして、いつ来てもぶれない焼き色、香ばしさ、皮と餡がグッドバランスなのも飽きがこないポイント」と聡子さんが褒めちぎるのがこちらの餃子。おいしい餃子を求めて遠方からわざわざ来る人が増えてきている注目店は、先日のビブグルマンの餃子部門に選ばれた。ますます混みあうこと必至。先手必勝、今すぐ訪れて。


水と油が餃子全体にまわるように鉄のフライパンをゆらすので、焼きムラがない。水と油がジュワーとした協奏曲を奏でたら、おいしく焼き上がっているサイン。


自家製ラー油。まずはそのままで、それからラー油と酢で食べるのがおすすめ。

生餃子だからこその
香ばしい焼き加減

 現在、お店で鍋をふるう佐々木さんは、3代目。戦後、祖父がここ浅草に「餃子屋」としてのれんを掲げたのがはじまり。商売が軌道にのり、いざ屋号を考えようとしたとき、客の「餃子の王さまだよ!」との言葉から今の店名になったとか。その名のごとく、ムラのない美しい焼き色は堂々たる風格。餃子のレシピは、先代のものを継承。餡の作り方も、生餃子というスタイルも変わらない。


客の8割がオーダーするという野菜餃子。野菜と肉の配合、シャキシャキ感、すべてのバランスが絶妙。


皮は特注。平日は500から、多いときは1000個出るという。土日はその3倍だとか。

 餡の材料は、豚肉、キャベツ、にら、にんにく、しょうが。野菜を中心に、豚肉を旨みのアクセントとして忍ばせる。冷凍、冷蔵ものは一切使わず、生餃子から焼き上げるため、火の通りが早く、あっという間に焼き上がる。


2階にはテーブル席も用意。ライブ感あふれる1階のカウンター席もいいが、2階席で様々なメニューを食べ比べるのも一興。

▼聡子の「眼」

「美しい焼き色は、浅草の芸術! 
相棒は、冷えたビールで」


 至極のベーシック餃子といえるこちらには、“鉄板コンビ”のビールをあえて合わせたい。キリリとした喉越しに導かれ、何皿でも食べられそう。店名の通り、ここは餃子屋。餃子がメインで、ラーメンや焼きそばがサブというのも“餃子道”を感じて好きですね。その、サブメニューも抜群においしいのだけども(笑)。


店主の佐々木光秋さんと、餃子談義に花が咲く藤崎さん。取材時はまだビブグルマン受賞前。


餃子の王さま
所在地 東京都台東区浅草1-30-8
電話番号 03-3841-2552
営業時間 11:15~14:45(L.O. 14:30)/16:00~20:45(L.O. 20:30)
定休日 火曜

●中華成喜(神奈川・川崎)


餃子 5個 378円。1個70円で追加可能、テイクアウトもOK。

知られざる「餃子の街」
川崎に息づく老舗の味

「“川崎餃子”の底力を知ってほしい」と、藤崎さんがセレクトしたのがこちらのお店。都内だと蒲田、東京近郊だと宇都宮や浜松といった「餃子の街」と呼ばれるエリアがある。そんな、餃子を通して地域活性化を行う9都市のなかに川崎も含まれるのをご存じだろうか。2017年の秋には「全国餃子まつり」を川崎に誘致し、2日で10万人を動員した。その立役者が、「かわさき餃子舗の会」会長を務める「中華成喜」の店主、鬼塚保さん。

「“中華偏差値”の高い川崎で、餃子がおいしくないはずがない。政令指定都市でもある川崎市には大手中華チェーン店も軒を連ねる。そこで長年続いている=地元民に愛されている、というのがなによりの味の証明ですよね」と、藤崎さんもその実力をたたえる。


町の中華屋といった形容がしっくりくる、どこか懐かしさ漂う店内。藤崎さんがロケハンに訪れた際、すべての客が餃子を頼んでいたのが感慨深かったそう。

店主が紡ぐ
川崎餃子の現在と未来

 昔は日本料理店だったこちらの創業は、昭和12年。先代が渋谷の恋文横丁で食べた餃子に魅了されて、お店でも出すようになり大評判。昭和28年から餃子を作り続け、じわりじわりと人気に火がつき、中華料理店となったそう。


餡は、豚肉と、キャベツ、ねぎ、にら、しょうが。にんにくはアクセント程度に入れる。

 2007年に「かわさき餃子舗の会」を結成した後、同会のメンバーで川崎餃子らしさをどう打ち出すかを考えたという。そこで辿り着いたのが、タレで個性を出すこと。試行錯誤を重ね、2010年に「かわさき餃子みそ」が誕生した。

 軽やかな味噌だれは、各店の餃子の個性を活かし、さらなるおいしさを提案してくれる。「作ったからには定着してもらわないと。開発には苦労しましたが、今でも愛される、一過性ではないタレができあがりました」と語る鬼塚さんは、川崎餃子の未来を見据えている。


「餃子みそ」は、店内で販売している。餃子のタレ以外にも、炒め物やスープの隠し味として使うのもおすすめ。

▼聡子の「眼」

「味噌だれで食べる川崎餃子には
レモンサワーを合わせてすっきり軽やかに」


 ちょっぴり濃厚な味噌だれと、トレンドでもあるレモンサワーが好相性。ここの餃子のジューシーさは、野菜の旨みと甘みがベース。もたれない、飽きのこない味付けで、2人前はぺろりと食べられそうですね。もっちりした皮も◎。


店主の鬼塚さんが語る川崎餃子の歴史を、興味津々の様子で聞く藤崎さん。


中華成喜(ちゅうか なるき)
所在地 神奈川県川崎市川崎区小川町2-11
電話番号 044-244-4888
営業時間 11:00~21:30(L.O. 21:00)
定休日 無休

●中華料理 大宝(東京・南麻布)


餃子 5個 650円。豚肉、キャベツ、にらを主としたシンプルな具材の餡。にんにくは入っていない。シャキシャキしたしょうがの食感が楽しい。

通いつめて数十年
食べると元気が出る餃子

 中華料理店として名高いお店ながら、ハイレベルで存在感のある餃子に魅了されて、はや数十年。藤崎さんにとって「おふくろの味であり、あこがれの味」というこちらの餃子は、シンプルながら滋味深く、旨みがしっかり利いていながら優しい、幸せの味わい。


餃子を包むのはママの担当。皮は特注。

「ママの手作りの温もりが感じられる餃子。この餃子とであっていなかったら、餃子に開眼することもなく、シャンパンと合わせようとも思わなかったかも。つまり、いまの自分はいなかったかも知れませんね」

スーパーサブとして
楽しみたい餃子


一品料理も充実。自家製スープを使った炒めものに麺と、どれも必食。

 創業は、昭和35年。餃子は創業時からあるメニュー。とはいえ、あくまで中華料理店。麺類ほか、通常メニューのおいしさも忘れず楽しみたいところ。その味を求めて、お店は常に大盛況。夫婦で切り盛りするだけに、厨房はいつも大忙しだ。餃子単品だけのオーダーはなるべく避け、スーパーサブとして楽しみたい。

▼聡子の「眼」

「シンプルな味だからこそ
深みのある紹興酒が引き立つ」


 余計なことはしない。技とセンスがもたらす、最高にシンプルな餃子だからこそ、インパクトのある紹興酒でも受け止めることができます。歯ごたえのある皮が残す小麦の余韻、ショウガの香り高い餡が奏でるハーモニーを完成させるには、中華料理店ならではのお酒、紹興酒が最適ですね。


店内には厨房を囲むカウンター席と、テーブル席がある。主人の手仕事が見えるカウンターの真ん中が、藤崎さんの定番シート。


中華料理 大宝
所在地 東京都港区南麻布2-7-23
電話番号 03-3452-5625
営業時間 12:00~14:00/20:00~22:00
定休日 土曜・日曜・祝日

文=吉村セイラ,撮影=平松市聖

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