2019/01/16 19:20

作家・柴崎友香が綴る“チョコ”エッセイ『チョコレートのある世界』

ひとかけら口に入れると、充電という言葉がふさわしいくらい、そのほろ苦い甘い塊が融けて体内に入っていくのが感じられる。普段ならほんの二、三かけでじゅうぶんなのに、仕事をしているときはついつい、食べてしまう。脳がエネルギーを欲してるのだなあ、と思う。その疲労感も、チョコレートのためにある気もする。

チョコレートだけが。

ゆったりした憧れも、懐かしさも、ちょっとうしろめたい快楽も、繰り返しの毎日の中の小さな楽しみも、みんな味わわせてくれる。

チョコレートだけがいつも特別だから、わたしは箱の中に一粒、そのしあわせを取っておきたくなる。

しばさき・ともか 作家。1973年、大阪府生まれ。2000年『きょうのできごと』でデビュー。近著に『つかのまのこと』(KADOKAWA)、『公園へ行かないか? 火曜日に』(新潮社)など。’18年は、著書『寝ても覚めても』の映画化も話題となった。

※『anan』2019年1月23日号より。写真・枦木 功(nomadica) スタイリスト・岡尾美代子 撮影協力・AWABEES

(by anan編集部)


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