2017/05/19 17:00

角田光代さんが今月買った10冊

 ボクシングの試合を活字で「観る」ことを、その興奮を私に教えてくれたのは、沢木耕太郎さんだ。沢木さんがボクシングを描いたドキュメンタリーを私はむさぼるように読んできた。その作者によるボクシング小説! 『春に散る』を一気に読んだ。四人の老いた元ボクサーが再会を果たし、ひとりの若きボクサーに技を教えていく……というストーリーなのだが、読んでいて驚くほど気持ちがいい。ボクシングだけではなくて、どのようにまっとうに生きることが可能なのか、ということを描いていて、読む気持ちよさはきっとそこからきているのだと思う。

 写真集『ナスカイ』が切り取る男子たちの日常も、ものすごくまっとうだ。地震の被害により那須高原から東京へと校舎を移し、やがて閉校となる学校で、男の子たちの真剣さや不真面目さ、ふと垣間見せるあどけなさなんかが胸に残る。

 犯人側からではなく、被害者側に徹底的に寄り添ったドキュメンタリー『いつかの夏』。ごくふつうの女性、と括られる中に、なんと多くのドラマがあるのだろう。後半に、事件の様相がどんどん変化していくのを固唾を呑んで読み進んだ。小説だったら嘘だと言ってしまいそうな、現実に起きたすごい奇跡が最後に描かれている。

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