2018/04/15 14:00

エビデンスがなくても疑問を忘れるな。「ユリイカ」1988年11月号

 もはや、物書きの世界でも、竹中労の名前を出すと「誰?」であり、沢木耕太郎は「ああ『深夜特急』の人」である。

 知らない、読んでいないは構わない。大切なのは「こういう人物が書いた、こういう作品なのです」と話した時に、ピンとくるかこないか。それは「考えるな、感じるんだ」の世界。言葉を用いる仕事だが、言葉以前の部分で合わない人とは、会話する時間も億劫に思えてくる。

 読んでいなくても「おお! 過去にはそんな作品が」と食いついてくるようなタイプの人。そこまではいかなくても、こちらの提示するベースにある世界観を信頼してくれる人とは、物書きの仕事はやりやすい。

 そこには、小さな仕事でも、それを大勢の人に読んでもらい、あわよくば将来も残る作品にしたいという想いがある。

 でも、将来に残る作品というものは難しい。そう思ったのは「ユリイカ」1988年11月号(青土社)の特集「アメリカン・ノンフィクション」を読んだ時のことである。

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