2019/02/15 09:15

医療保険で「儲かった」? 医療保険に加入するのは損なのか

医療保険に加入している人が入院して15万円の医療費を支払い、後日、保険会社から20万円の給付金を受け取ったとします。入院の体験談を読んでいると、このような場合に「5万円儲かった」としているものを見かけることが多いですが、筆者には違和感しかありません。 そこで今回は、この話を元にして、医療保険に加入することの損得について考えてみます。 

その計算、間違ってない?

「入院して病院に15万円支払ったけど、保険会社から20万円を受け取ったので5万円儲かった!」
 
医療保険の利用体験談にはこのような話がよく出てくるのですが、ちょっとおかしいですよね。なぜなら、医療保険から給付金を受け取った人は、それまでの間、保険料を支払っているからです。
 
仮に保険期間10年の定期医療保険に加入し、毎月2000円の保険料を支払っているとします。入院したのが加入してからちょうど3年目だったとすると、それまでに支払った保険料は2000円×12ヶ月×3年=7万2000円です。
 
そうすると、入院を終えた時点での支払総額は15万円+7万2000円=22万2000円となるので、トータルでは2万2000円のマイナスと考えるのが自然ではないでしょうか。
 

損得を考えるなら保険期間の通算で計算すべき

もし、医療保険に加入したことの損得を考えるなら、保険期間の通算で計算するべきでしょう。つまり、この場合は10年間のトータルで考えるということです。
 
先述の例で、仮にその後一度も入院せずに10年が経過した場合の損得を計算すると以下のようになります。
 
20万円(給付金)-24万円(※保険料の総額=2000円×12ヶ月×10年=24万円)-15万円(医療費)=△19万円
 
しかし、医療保険に加入しなかった場合は以下のようになります。
 
0万円(給付金)-0万円(保険料)-15万円(医療費)=△15万円
 
この計算によれば、医療保険に加入した結果、加入しなかった場合と比べて4万円、損をした計算になります。このように、本当の意味で損得を計算したいのなら保険期間が終わったときに行うべきです。
 

入院給付金を最大で1095万円受け取れる

入院給付金が1日につき1万円、通算保障日数が1095日の医療保険に加入した場合、最大で1095万円の給付金を受け取れます。これが医療保険に加入することの最大のメリットです。
 
30歳の男性が終身医療保険に「60歳払済」という条件で加入することを想定し、某保険会社の保険料シミュレーションを利用して試算したところ、月額保険料は4797円でした。
 
支払う保険料の総額を計算すると、4797円×12か月×30年=172万6920円です。つまりこの医療保険に加入すると、約172万円を支払うことで最大1095万円の給付金を受け取れる可能性を得ることになります。
 
ただし、次の2点が理由でこの話には現実味がやや欠けます。
 
1.1回の入院で受け取れる給付金に上限があること
医療保険の給付金は、1回の入院で受け取れる入院日数に上限が設けられています。たとえば60日型なら1回の入院で60日まで、120日型なら120日までと決められています。
 
そのため60日型に加入している場合、1095日分の給付金を受け取るためには1095日÷60日=18.25なので、最低でも19回の入院が必要となります。しかも、退院の翌日から180日以内に再入院した場合は基本的に同じ入院とみなされてしまうため、この条件を満たすのは容易ではありません。
 
2.入院日数が短期化していること
厚生労働省が公表している「平成26年(2014)患者調査の概況」によると、病院と一般診療所を合わせた平均在院日数(全病床)は31.9日です。
 
この値は平成2年の44.9日をピークに減り続けているので、生涯のトータルで考えたとしても、1095日も入院するというのは現実離れしているように感じるのではないでしょうか。
 

掛け捨ての保険は損をする人のほうが多いのが当たり前

火災保険にはたいていの人が加入しているでしょうが、火災の被害に遭って保険金を受け取った経験のある人は少ないのではないでしょうか。掛け捨ての保険は不幸なことがあった人にまとまったお金を回す必要があるため、何事もなく過ごせた人は損をする仕組みになっているわけです。
 
そのため、医療保険も加入すれば最終的には損をする人が多いのが当たり前です。
 
筆者は「一生涯の」医療費の備えとして医療保険に頼り切るべきとは考えていません。しかし、若くて貯蓄が少ない間は役立つでしょうし、入退院を繰り返す病気にかからないとも限りません。
 
このように医療保険が有効に機能するときもあるので、不要と感じた時点で解約するのも1つの選択肢に入れたうえで、上手に活用するのが良いのではないでしょうか。
 
出典 厚生労働省「平成26年(2014)患者調査の概況」3退院患者の平均在院日数等
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 
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