2017/12/18 17:00

冬至の「カボチャ」「柚子(ゆず)湯」は快眠の知恵

今年(2017年)の冬至は12月22日(金)です。北半球では冬至が、一年で最も昼が短い日です。そして、この日を境に春に向かって、少しずつ昼の時間が長くなっていきます。しかし、この時期から寒さは本格的に厳しくなっていきます。年末に向けていよいよ忙しくなっていくこのシーズンに、身体の調子を保つ方法を、伝統的な習慣から探ってみましょう。

冬至に「カボチャ」を食べるのはなぜ?

「ん」がつく食べ物は「運盛り」と呼ばれて、運がつくとして好まれてきました。冬至のような季節の変わり目には運を良くしようということで、「ん」がつく野菜であるカボチャ(南瓜・なんきん)が食べられてきたようです。「運盛り」の食材として他には、「銀杏(ぎんなん)」や「人参(にんじん)」、「蓮根(れんこん)」「うどん」などがあります。また、カボチャにはビタミンAやカロテン(カロチン)が多く含まれていて、風邪や脳卒中の予防が期待できます。
 
漢方医学では、身体を温める食べ物を「陽性食品」、逆に体を冷やす食べ物を「陰性食品」と区別しています。陽性食品は、カボチャやニンジン、ショウガ、ゴボウなどの根菜類が含まれます。その他にもやや硬いものや、赤・黒・橙(だいだい)・黄色のもの、北方産のもの、塩分が多い食材は陽性食品です。一方、陰性食品には、葉菜類や軟らかいもの、青・白・緑色のもの、南方産のもの、水っぽいものなどがあります。
 
飲み物では、紅茶や日本酒、赤ワイン、梅酒、お湯割ウイスキーは陽性食品です。水や酢、牛乳、ビール、ウイスキー、コーラ、ジュースは陰性食品です。身体を温めて風邪を予防し、寒い冬を乗り切るためには、これらの陽性食品を多くとるようにしましょう。
 
カボチャは実だけでなく、種も食べたいものです。カボチャの種は「パンプキンシード」と呼ばれています。パンプキンシードには、亜鉛や葉酸、ビタミンA・C・Eなどが多く含まれています。これらの働きにより、血行の改善や冷え性の緩和、むくみの軽減、美肌、アンチエイジングなどの効果が期待されています。
 
パンプキンシードには、睡眠にとって大切な成分である必須アミノ酸の「トリプトファン」も豊富です。トリプトファンは体の中で、睡眠ホルモン「メラトニン」の原料になります。トリプトファンはバナナに多いと言われていますが、パンプキンシード10gでバナナ5本分のトリプトファンをとれます。

冬至に「柚子(ゆず)湯」に入ると良いというのはなぜ?

運を呼び込む前には、身を清めなくてはいけません。冬至に柚子湯に入るのは、季節の節目のお祭りに際して、禊(みそぎ)を行うという意味があります。柚子の香りには、邪を払う効果があるとも考えられていたようです。
 
寒くなると柚子がたくさん取れます。冬至だけでなく寒い季節には、柚子を浮かべた「柚子湯」に入りましょう。身体が温まるだけでなく、柚子の香りが心身ともにリラックスさせてくれます
 
健康な人の体温は、1日の中で1度くらい上下します。体温が下がる時間帯には寝つきやすく、体温が上がる時期には寝つきにくいことが分かっています。ですから、ベッドに入る予定時刻の1~2時間前にお風呂に入ると、体温が下がってくるときにスムーズに眠ることができます。
 
お湯が熱いと交感神経が刺激されて目が覚めてしまうので、37~40度のぬるめのお湯に10~20分ほど入りましょう。半身浴でも同じような効果が得られます。
 
柚子の香りには「リモネン」という精油成分が含まれています。リモネンには血行を促進したり、心身をリラックスさせたりする効果があります。リモネンのほかにも、睡眠の助けになるアロマがあります。ラベンダーやカモミール、ベルガモット、プチグレンなどがお勧めです。これらの精油を数滴、湯船にたらして、アロマバスにしてみましょう。
 
「お風呂の準備やあとの掃除が大変」という方には、手浴+足浴をお勧めします。方法は、42度くらいのお湯を洗面器に入れて、手首から先あるいは足首から下を10~15分間お湯につけます。お湯がぬるくなったら、熱いお湯を注ぎ足します。
 
いろいろな効果が期待できる柚子湯やアロマバスですが、肌が弱い方や妊婦さん、小さなお子さんはお控えください。

寒い夜には「ショウガ湯」で温まる

夕食以降にカフェイン飲料やアルコールを飲むと、寝つきが悪くなったり睡眠の質が悪くなったりします。冬の夜にお勧めの飲み物は「ショウガ湯」です。ショウガには、体を温め気持ちを落ち着けて、眠りやすくする効果があります。ショウガ湯は、親指大のショウガをすりおろして熱湯をかけ、黒砂糖やハチミツを入れて作ります。これに葛粉を加えると、保温効果や滋養強壮作用が強まります。
 
洗面器1杯のお湯にショウガ1個をすりおろして入れると、身体の保温効果が倍増します。安眠効果の他に、手浴には肩こりや肘の痛みを和らげる働きがあり、足浴には腰痛や膝の痛みを軽くし、むくみや水太りを減らす作用があります。

電気毛布より湯たんぽが自然な眠りを導く

冬には寝床を温めるために、電気毛布を使っている人が多くいます。電気毛布は、うまく使わないと自然な眠りを妨げることがあるので、注意が必要です。
 
睡眠中には体温が下がり続け、目覚めるしばらく前に最低となり、そのあと上昇します。この体温の自然な変化を妨げると、睡眠の質が悪くなります。熱帯夜に寝苦しい原因の一つが、睡眠中に体温が十分、下がらないことです。冬でも電気毛布で寝床の中を温めすぎると、熱帯夜と同じく体温が下がりにくくなります。電気毛布を使うなら、寝床に入った時に電源を切ったほうが睡眠の質が良くなります。
 
寝床を温めるなら電気毛布より、昔からある「湯たんぽ」がお勧めです。湯たんぽのお湯は時間とともに冷めるので、体温の自然な低下を邪魔しません。
 
湯たんぽを足元に置いて眠っても、足先の冷えた血液を温めるだけで、それほど効果的ではありません。なるべく太い血管がある太ももやお尻、おなか、二の腕などと、リンパ管が集中している首や脚の付け根などを暖めましょう。そうすることで、内臓の血液やリンパ液の循環量が増えて体の中心の温度が上がり、その温かい血液が手足に運ばれて手足の冷えが改善してくれます。
 
冷え性の治療に湯たんぽを使っている医療機関では、身体が温まることにより、睡眠障害や痛み、胃腸障害、下痢・便秘、食欲不振、疲労感などが改善すると報告しています。昔の人は、湯たんぽにこんな効果があることも、よく知っていたのでしょうね。
 
ただし、低温やけどには十分ご注意ください。湯たんぽは、やや厚手の袋に入れて口をしっかりと縛り、肌に直接触れないようにして使ってください。

まとめ

寒い冬には、身体に優しいものを食べたり飲んだりして、お風呂でリラックスし、温かい寝床で気持ちよく眠りましょう。質の良い睡眠をとることが、風邪やインフルエンザを防ぎ、日中のパフォーマンスを高めることにつながります。ぐっすり眠って、年末年始の忙しい時期を元気に乗り切ってください。

photo:Getty Images

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