2018/01/10 17:00

女性の更年期、まずは医師に相談|更年期障害の対処法

体がほてる、だるいなど、閉経前後に始まる更年期の症状。これは卵巣の寿命による女性ホルモン分泌の低下に加え、ストレスなど、環境の変化によって引き起こされます。

今回は更年期障害の症状から対処法まで対馬ルリ子女性ライフクリニックの対馬ルリ子院長にお伺いし、男女別に解説していきます。

目次

  • 更年期障害の症状と原因(女性)
  • 更年期障害の対処法(女性)
  • 更年期障害の症状と原因(男性)
  • 更年期障害の対処法(男性)

更年期障害の症状と原因(女性)

汗を拭く女性

更年期とは、主に女性の閉経前後5年、約10年間の期間を指します。女性が閉経する年齢で最も多いのが50歳なので、45歳から55歳ぐらいの年齢が該当します。「更年期障害」とは、更年期に起こる、心身のつらい不調のことをいいます。ここでは、その症状と原因について解説します。

女性の更年期障害の原因

女性の更年期障害の原因には、女性ホルモン・エストロゲンが大きく関係します。エストロゲンが分泌されるピークは20代で、30代後半から減り始め、40代後半から50代前半にかけて急激に減ります。 更年期には、卵巣機能の低下にともなって、急激に減少するのです。40代後半から50代にかけての比較的に短い期間で、血液中のエストロゲンがゼロに近い状態になってしまうことで、脳をはじめ心身がバランスを取ろうと調整するため、さまざまな変化が起こります。また、病状の程度にはエストロゲンだけではなく、年齢を重ねることによる心理的なストレスや社会的なストレスも影響します。

血管運動神経症状

更年期には、個人差がありますが「血管運動神経症状」という血管や自律神経などの働きが変化する、以下のような症状が現れます。

  • ほてり、のぼせ
  • 多汗
  • 動悸
  • めまい、神経過敏
血管運動神経症状の原因

更年期になり、エストロゲンが減少すると、減ってしまったエストロゲンを回復するように反応し、脳の中心にある「間脳」の働きが高まります。間脳の一部である視床下部は、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを調整しながら、心臓や血管、発汗など全身の内臓の働きをコントロールしています。視床下部の働きが高まると同時に自律神経が暴走してしまい、ほてりやのぼせ、発汗などの血管運動神経症状が起こります。

精神症状

更年期は、脳のストレスに対する抵抗力が弱まり、以下のような症状が現れます。

  • 抑うつ、くよくよしてしまう
  • 不安
  • 焦燥感、いらだち
精神症状の原因

視床下部の働きが高まると、下垂体という場所の働きも高まり、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンというホルモンが分泌されます。すると副腎が刺激され、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」が分泌されます。「コルチゾール」は免疫機能などの調節に重要な働きをする一方で、抑うつや不安の症状を引き起こします。
 
また、エストロゲンの分泌量が減少することで「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質・セロトニンが分泌されにくくなるため、気持ちの落ち込みなどが起こります。

月経不順、膣の乾燥

エストロゲンの分泌が減少すると月経の頻度が減り、排卵もなくなって、定期的にあった月経の間隔が開いてきます。また、エストロゲンにより粘膜や皮膚のコラーゲンが減少するため、膣が乾燥しやすくなり、それによって性交痛につながります。

月経不順、膣の乾燥の原因

卵巣の機能低下により、月経サイクルが乱れます。また、エストロゲンの減少で膣粘膜が萎縮することによって、膣の乾燥が起こります。

腰や肩をはじめとする関節の痛み

日常生活の中で、腰や肩をはじめとする関節の痛みが出ます。

腰や肩をはじめとする関節の痛みの原因

エストロゲンの減少により、筋や関節の柔軟性が失われ、軟骨が減ってきてしまうため、腰痛や肩こり、関節の痛みが起こります。

睡眠障害

寝付きの悪さや中途覚醒、浅い眠りなどによって、眠りの質が落ちてきて熟睡感を得にくくなります。

睡眠障害の原因

エストロゲンの減少とともに、セロトニンの分泌が減ることで、セロトニンから作られる睡眠ホルモン「メラトニン」が減少し、スムーズな入眠ができなくなることで睡眠時間が不足したり、中途覚醒が起こることで睡眠の質が低下したりします。

更年期障害の対処法(女性)

婦人科を受診する女性

更年期の不快症状を感じたら、まずは専門機関の受診を検討しましょう。自身の症状を理解したうえで、適切な治療を受けることができます。

医療機関に相談する

更年期の不快症状が出て、生活に支障が感じられる場合、まずは更年期についてよく理解している医師に相談し、専門的なアドバイスを受けましょう。更年期には、本人が心身に起こる変化を理解できずに、戸惑うケースがよくありますが、女性ホルモンの変化による心身の反応のメカニズムを知ることで、冷静に自分の症状に向き合い、安心することができます。以下に、医療機関で受ける治療についてまとめました。

ホルモン補充療法

飲み薬、塗り薬、貼り薬を使ってエストロゲンやプロゲステロンを補い、症状を軽減する治療です。ホルモンの補充療法の効果は個人差があるため、医師と相談のうえ治療を進めていきましょう。

薬物治療

抑うつや不安の症状に対しては向精神薬を、ほてりやのぼせに対しては漢方薬を使うなど、症状に合わせて処方する薬はさまざまです。

相談窓口

女性特有の悩みに関する相談窓口として、「NPO法人女性医療ネットワーク」「NPO法人女性の健康とメノポーズ協会」という組織があります。病院へ行く前の相談窓口として利用してみてもよいでしょう。

更年期障害の症状と原因(男性)

更年期障害に悩む男性

男性更年期障害は、40代から80代にかけて徐々に進む体力の低下や、環境の変化にともなって起こる、身体や精神面における不調の症状の総称です。ここでは、男性更年期障害の症状と原因についてまとめました。

抑うつ、気分の落ち込み

  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • 意欲の低下
  • 情緒不安定
  • 無力感

抑うつ、気分の落ち込みの原因

60代を迎えると定年になったり、働く機会が減ったりして、ライフスタイルが大きく変わります。こうした環境の変化が引き金になり、自分は社会に必要とされないのではと気分が落ち込んだり、抑うつの症状が出たりします。

睡眠障害

女性更年期と同じように、寝つきが悪くなったり、熟睡できなくなったりします。

睡眠障害の原因

男性ホルモン・テストステロンが加齢にともない減少するため、自律神経のバランスが乱れ、交感神経の働きが過剰になります。それによって、寝付きの悪さや眠りの浅さを感じることがあります。

内臓脂肪の増加

加齢にともなって、運動量が減少することで、内臓脂肪の量が増加しやすくなってしまいます。

内臓脂肪の増加の原因

加齢とともにエネルギーの消費量(代謝)が減少するため、使いきれなかったエネルギー源が脂肪として蓄積されます。

骨粗鬆症

骨の密度が低下して、関節や筋肉の痛みが出やすくなることもあります。

骨粗鬆症の原因

テストステロンは骨密度を高める働きがあるため、加齢により減少すると、骨粗鬆症の傾向が出てきます。

性欲低下・勃起不全

勃起をしている時間が短くなったり、夜間陰茎勃起現象(朝立ち)の回数が減ったりします。性欲や勃起能力は40代をピークに徐々に低下していきます。

性欲低下・勃起不全の原因

加齢により精巣機能が低下し、精巣で作られるテストステロンの分泌量が減少します。テストステロンの減少にともなって性機能が低下し、性欲が減退します。

男性の更年期障害の対処法

ジョギングをする更年期の男性

男性の更年期障害の対処法には、生活習慣の改善が有効です。男性ホルモンの分泌量の減少や精神的な問題については、ホルモン補充療法で対処する方法があります。

食事と運動

男性は年齢を重ねるとともに新陳代謝が落ちたり、運動量が減ったりすることで内臓脂肪が増加しやすくなります。食事を規則正しく三食摂る、寝る直前の食事やアルコールの飲み過ぎを避ける、といったことが大切です。また、普段から適度な運動を習慣づけるけることで、内臓脂肪の増加を防ぎ、ストレスの発散にもつながります。

生活リズムを整える

脳や臓器など身体の部位の働きを司る体内時計が整うと、スムーズな入眠や熟睡につながります。体内時計の乱れは、起床後すぐに朝の光を浴びるとリセットされるため、朝にカーテンを開けて光を浴びるという習慣を、生活のルーチンに取り入れてみましょう。
 
また、日中に交感神経の働きを優位にし、夜間は副交感神経の働きを優位にすると自然に入眠できるようになります。夜は交感神経を休ませ、リラックスできるようにすることが大切です。就寝の1時間ほど前までに、ぬるめのお湯に入浴すると、副交感神経の働きが優位になり、眠気を感じやすくなります。スローテンポの音楽をかけたり、ラベンダーやベルガモット、フランキンセンスなどのアロマオイルを使って気持ちを落ち着かせたりすることも有効です。

ホルモン補充療法

医療機関で男性ホルモンの値を測定し、年齢の基準値より低い場合は、テストステロンやその前駆体の補充療法が行われることがあります。
 

<参照>
「はじめての「女性外来」』(PHPエル新書)
「カプラン臨床精神医学テキスト第3版」ベンジャミン・J・サドックなど編著・井上令一監修(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
「NEWエッセンシャル産科学・婦人科学」池ノ上克ほか編(医歯薬出版)
「ハリソン内科学第5版」デニス・L・カスパーほか編・福井次矢ほか監修(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
「今日の治療指針2017年版」福井次矢など編(医学書院)
 
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH 症候群) 診療の手引き(日本泌尿器科学会、日本Men’s Health医学会)
https://www.urol.or.jp/info/data/gl_LOH.pdf
 
NPO法人女性医療ネットワーク
http://www.cnet.gr.jp/
 
NPO法人女性の健康とメノポーズ協会
http://www.meno-sg.net

photo:Getty Images

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