2018/03/13 17:00

「春は寝ても寝ても眠い? 春の眠気の原因と対処法」

「春眠暁(あかつき)を覚えず」といわれるように、春はいつまでも寝ていたかったり、日中眠かったりすることがあります。

これは寒暖・気圧の差が激しいことや日の出が早くなることによる、自律神経・生活リズムの乱れが影響しています。今回は、春に眠くなる原因とその対処法について解説します。

9割の人が「春バテ」状態

寒かった冬が終わり、少しずつ暖かくなる春。寒さで縮こまっていた身体と心も、のびのびとできるはずの季節です。ところが、春になると「体がだるい」とか、「やる気が出ない」などの不調を感じる人が多いのも事実です。春におこるこのような心身の不調は、「春バテ」とも呼ばれています。
 
春バテの症状には、「目覚めが悪い」「昼間に眠い」「夜によく眠れない」など、睡眠に関連するものがあります。ある調査によると、男女とも約9割の人が春バテを感じているそうです。春に眠気で悩んでいる人がいかに多いかに驚かされます。

春に眠いのはホルモンや自律神経の乱れが原因

1年の間では、季節によって睡眠時間が変わってきます。冬に最も長かった睡眠時間は、春になると少しずつ短くなります。そして、夏には就床時刻と起床時刻が早まり、1年で最も睡眠時間が短くなります。その後、秋になると睡眠時間が徐々に長くなり、冬には最長を記録します。もともと睡眠不足気味の人は、冬には睡眠時間が長いので寝不足を感じにくくても、朝の明るくなる時刻が早まる春になると、睡眠時間が削られて睡眠不足が明らかになってしまいます。
 
さらに、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンは、冬から夏にかけて、分泌量のピークが早い時間帯に移動します。睡眠に大きな影響を与える体温も、同じように最も低くなる時刻が早まります。自律神経でも、寒い冬には交感神経が活発ですが、だんだん暖かくなると、副交感神経が優位になってきます。
 
このように、体の中のいろいろなリズムが変わってくると、新しい状態に慣れるまで体と心の不調を生じることがあります。春には眠気が強くなるだけでなく、自律神経のバランスが崩れたり、抑うつ気分が強くなったりするのは、このためです。
 
気候の変化も大きな要因です。冬の朝、寒くて目が覚めてしまう人でも、春になって寝室の温度が15~20℃くらいになると、気持ちよくなって寝過ごしたり二度寝したりします。また、春になると西高東低の冬型の気圧配置がゆるみ、移動性高気圧が周期的に日本上空に来ます。雨が降ったり晴れたりと天候が目まぐるしく変化すると、自律神経が影響を受けて体調を崩しやすくなります。このように気温や気圧が変化することでも、春の眠気が強まってくるのです。

花粉症やその治療薬が眠気の原因のことも

日本人の半数近くの人が苦しんでいるといわれている花粉症。花粉症の一番の原因は、春にたくさん飛ぶスギ花粉です。花粉症によるくしゃみや鼻づまりの症状がひどいと、なかなか寝つけなかったり、眠っている途中で目が覚めてしまって熟睡できなかったりして、日中の眠気が強くなります。また、花粉症の薬を飲むと、薬の副作用として眠くなることもあります。
 
花粉症の治療でまず初め使われる薬は、「抗ヒスタミン薬」です。花粉が体に入ると、アレルギー反応として「ヒスタミン」という物質がたくさん作られます。このヒスタミンが、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を起こします。ですから、花粉症になったらヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬を飲んで、花粉症の症状を抑えます。
 
ところが、このヒスタミンは鼻やのどの周りだけではなく、脳の中にもあります。脳内のヒスタミンは、神経と神経の間の連絡に使われています。このような神経を「ヒスタミン神経」と呼びます。ヒスタミン神経は、目を覚ましておく覚醒系の神経として大切な働きをしています
 
抗ヒスタミン薬を飲むと、一部ですが薬が脳の中にも入っていきます。脳内の抗ヒスタミン薬がヒスタミン神経の働きを弱めると、目覚めていられなくなって眠くなってきます。そのため、花粉症の薬を飲むと、眠気が強くなるのです。

眠気対策は眠るか起きるか

春に眠くなる人の多くには、睡眠不足があります。これを機会に、睡眠時間や就寝・起床時刻を見直しましょう。健康的な生活をするためには、6~8時間の睡眠時間が必要です。こういうと「6時間眠れば大丈夫なんだ」と、勘違いする人がたくさんいます。寝床に入って目を閉じたら間もなく眠りに落ち、朝は目覚まし時計のアラームを使わなくても自然に目覚め、日中はあまり眠気を感じないぐらい眠るのが、必要十分な睡眠時間です。
 
十分な睡眠時間をとっても襲ってくる眠気に対抗する方法は、2つあります。眠気に従って眠るか、眠気に対抗して起きているかです。朝の眠気に従うなら、二度寝が有効です。ただし、二度寝は20分1回だけにしておきましょう。眠気を振り払うなら、起きる時刻が来たらすぐに思い切り布団を蹴飛ばしましょう。寒くて眠っていられず、目が覚めてきます。この起き方は、「せごどん」こと西郷隆盛さんをやっていたそうです。ただし、高血圧や心臓の病気がある人にはお勧めできません。
 
寝床を出たら、冷たい水で顔を洗うと眠気が減ります。ただし、効果時間が短いので、コーヒーやお茶でカフェインもとりましょう。朝ごはんを食べると、胃腸にある体内時計も目覚めてくれます。これまでは何も食べずに出かけていた人も、牛乳とバナナなど食べやすいものを、少しとることから始めてみましょう。
 
気を抜くと、日中にも眠気が襲ってきます。そんなときは、ガムをかんだり近くを歩いたりしてください。このようなリズム運動をすると、脳を覚醒させる働きがあるセロトニン神経が活性化されます。1人で勉強や仕事をしているときに眠くなったら、他の人とおしゃべりすることも効果的です。
 
どうしても眠気に勝てそうもないときには、いっそ眠ってしまいましょう。「居眠り」ではなく「パワーナップ」と呼べば、後ろめたさもなくなります。横にならずに椅子に腰掛けたまま、10~20分ほど眠ります。机に突っ伏して眠るときは、よだれに注意しましょう。

花粉症では薬選びが大切

薬局で買える花粉症の市販薬は、飲んだ後しばらくすると眠くなることがよくあります。それは、薬局の薬の多くが、「第1世代」の抗ヒスタミン薬だからです。第1世代というだけあって、これらの薬は以前から使われていて、効果があることは実証済みです。しかし、眠気の副作用が出る割合は、病院でもらう「第2世代」の抗ヒスタミン薬に比べて数倍です。できれば、医療機関を受診して第2世代の抗ヒスタミン薬を処方してもらいましょう。
 
クシャミや鼻水はそれ程でもないけれど鼻づまりが強い方には、「トロンボキサン」や「ロイコトリエン」などの働きを抑える薬が効果的です。これらの薬はヒスタミンには関係しないので、眠気が出ることはあまりありません。
 
飲み薬では眠気が出るという人は、副腎皮質ステロイドの鼻噴霧薬という手もあります。抗ヒスタミン薬とは違う作用の仕方なので、眠くなることはほとんどありません。また、血液中に薬が入る量もごくわずかなので、副作用の心配も少なくなっています。

まとめ

春に眠くなるのは、気候や体内リズムの関係から自然なことです。日中の眠気が強くて困るなら、まず、生活習慣を見直して十分な睡眠時間を確保しましょう。それでもまだ眠ければ、眠気に従って二度寝や仮眠をとるか、眠気に逆らって体を刺激して頑張りましょう。花粉症の人は医療機関で相談して、眠くなりにくい薬を処方してもらいましょう。

photo:Getty Images

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