2018/03/23 17:00

過敏性腸症候群の症状と対処法|ストレスと緊張が症状を引き起こす

過敏性腸症候群は、下痢や便秘、お腹の痛みやなど、腸の異常によって生じる症状が慢性的に起きる病気です。心身症のひとつともいわれており、症状が現れると、日常生活にも支障をきたすことがあります。今回は内科・胃腸科の専門「松生(まついけ)クリニック」の松生恒夫院長に、その症状や原因、対処法、予防法についてお伺いしました。

目次

  • 過敏性腸症候群の症状
  • 過敏性腸症候群の原因
  • 過敏性腸症候群の対処法
  • 過敏性腸症候群の予防法

過敏性腸症候群の症状

腸の悩みを抱える女性

過敏性腸症候群は、下痢や便秘、お腹の痛みなど、腸の異常によって生じる症状が慢性的に起きる病気です。
 
日本消化器病学会ガイドラインに記載の過敏性腸症候群の診断基準「ローマⅢ基準」によると、「最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こる」という症状に加え、以下3項目のうち2項目以上の条件に当てはまると過敏性腸症候群だと判断されます。

  • 排便によって症状がやわらぐ
  • 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
  • 症状とともに便の形状が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

過敏性腸症候群の特徴

過敏性腸症候群は、一般的に「腸の粘膜に炎症やポリープなどの病変がないにもかかわらず、慢性的に便秘や下痢を繰り返す病気」と定義づけられています。過敏性腸症候群による下痢と便秘の発生には、以下のような特徴があります。

突発的な下痢

緊張感やストレスにさらされる場面で、突発的に下痢になってしまう場合、多くは過敏性腸症候群によるものと考えらます。
 
「『試験や会議など、緊張感やストレスを感じるときの突発性の下痢』は、過敏性腸症候群による下痢が想定できると思います。過敏性腸症候群においては、便秘よりも下痢が発症するケースの方が圧倒的に多いです」(松生先生)

便秘

便秘も過敏性腸症候群の代表的な症状だといわれていますが、下痢になることによって発症するケースが大半を占めます。
 
「便秘の場合、過敏性腸症候群が直接引き起こしている症状というよりは、下痢によって便を出し切ってしまったがために、腸が空っぽになってしまったことで現れる症状と考えてよいでしょう」(松生先生)

下痢と便秘が繰り返される

「過敏性腸症候群になると、緊張やストレスを感じたときに下痢を起こしやすくなります。下痢のあと腸が空っぽになって便秘になっても、時間が経ち腸に内容物が溜まり、ストレスを感じると、また下痢をしてしまいます」(松生先生)
 
これにより、過敏性腸症候群は「下痢と便秘を繰り返す病気」といわれているのです。

過敏性腸症候群の見分け方

過敏性腸症候群の特徴である下痢と便秘を繰り返す症状が出ていたとしても、自分自身で過敏性腸症候群であると判断することは難しいといわれています。下痢と便秘が繰り返されるという症状は、アルコールの摂り過ぎや生活習慣の乱れ、女性の場合は生理周期にも起因しているため、実際に過敏性腸症候群であるかどうかは分かりづらいそうです。
 
「過敏性腸症候群か否かを正確に知るためには、内視鏡検査を受診する必要があります。下痢と便秘が1ヵ月以上続く場合、過敏性腸症候群の可能性がありますが、別の病気が潜んでいる可能性もあります。早めに内科を受診しましょう」(松生先生)

過敏性腸症候群の原因

腹痛の男性

過敏性腸症候群は、ストレスなどが原因で発症すると考えられていますが、その全容は未だ明らかになっていません。明らかとなっているものとして、以下の要因が挙げられます。

神経伝達物質の乱れ

腸と脳は密接に関係しており、脳がストレスを受けると、腸にその信号が伝わり、活動に影響を与えます。過敏性腸症候群の場合、セロトニンなどの神経伝達物質が正常に分泌されないことにより、脳からの信号が腸に伝わりやすく、腸が過剰に働いてしまいます。すると、腸にたまっていた便が肛門につながる直腸へと押し出されて便意が起こり、直腸から脳に信号が出されて排便につながる反応(直腸反射)が過度に生じるため、まずは下痢の症状が発生してしまうようになります。

自律神経の乱れ

腸の働きは、自律神経によってコントロールされているところが大きく、ストレスや睡眠不足などで自律神経のバランスが乱れると、腸管が正常にコントロールされなくなります。そのため、過敏性腸症候群になる、過敏性腸症候群である場合は症状が悪化する、ことにつながります。
 
「ストレスは過敏性腸症候群の大敵。生まじめな性格の人や気にしやすい性格の人も、過敏性腸症候群になりやすいといえます。統計的には、女性よりも男性の方が多いです」(松生先生)

過敏性腸症候群の対処法

おなかをいたわる

過敏性腸症候群との診断を受けたら、どのような対処をすればよいのでしょうか。以下に、過敏性腸症候群と診断されたときの対処法をまとめました。

下痢止めは極力使用しない

過敏性腸症候群は、ストレスや緊張を感じたときに、お腹の痛みをともなう下痢として発症することが多く、市販されている下痢止めなどを使って症状を和らげる人も少なくありません。しかし、下痢止めの使用はできるだけ避けましょう
 
「下痢は本来、身体から便を『出し切って』しまうことが好ましいため、薬の力を借りて身体の中にとどめてしまうのはよくないのです」(松生先生)

便秘薬は不快感が強いときのみ使用する

松生先生によると、便秘の症状において不快感がかなり強いときのみ、薬の使用は問題ないとのことです。ただし、便秘薬は生薬をメインに作られた「アントラキノン系」と言われる刺激の強い成分が含まれています。使い続けていると腸がその刺激に慣れ、薬がなければ排便できない状態になる恐れがあるため、注意が必要です。便秘薬は「どうしても苦しいときに、一時的に出す」という目的で使用し、常用は避けるようにしましょう。

腸内環境を整える食生活

神経伝達物質であるセロトニンなどを正常に分泌し機能させるには、アミノ酸やビタミンB6を多く含む食品を摂ることが大事です。しかし、便秘や下痢など過敏性腸症候群の症状が深刻であると、せっかく摂った栄養素も吸収されずに排出されてしまいます。まずは腸内環境を整える食生活を心がけましょう。そのためには腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてください。善玉菌を増やすには、悪玉菌を弱体化させる乳酸菌や、乳酸菌の活動をサポートしたり、有害物質を吸着したりする働きをもつ食物繊維を積極的にとるとよいでしょう。

発酵食品

「乳酸菌を増やすためには、味噌やキムチといった発酵食品が有効です。これらの食品に多く含まれる植物性乳酸菌は生きたまま腸に届いて活動するため、積極的に摂ることを勧めています」(松生先生)

食物繊維

「食物繊維には、レンコンや海藻などに多く含まれる水溶性と、レタスやキャベツなどに含まれる不溶性の2種類があります。水溶性の食物繊維はお腹の中でゲル状になって腸の中の有害物質を吸着し、便のかさを増し、便意を起こしやすくしてくれます。不溶性の食物繊維は善玉菌のえさになって腸内環境を整えるという作用があります。どちらか一方に偏らず、水溶性と不溶性、両方の食材をバランスよく食べるのが理想的でしょう」(松生先生)

症状を過剰に気にしない

過敏性腸症候群になってしまったときに大切なのは、「悩みすぎない」ことだと松生先生は言います。
 
「この病気の大きな問題は、慢性的な下痢によりQOL(生活の質)が低下してしまうことにあります。しかし、過敏性腸症候群は、悩みすぎてストレスに感じると症状が悪化してしまいますので、深刻にとらえすぎず過ごすことも対処法のひとつです」(松生先生)

過敏性腸症候群の予防法

ベッドで瞑想

過敏性腸症候群を完全に予防することは難しいですが、なりにくくすることはできると考えられています。ここでは、過敏性腸症候群の予防法について解説します。

ストレスをためない

過敏性腸症候群の予防で最も重要なのは「ストレスをためないようにする」ことです。「ゆっくりお風呂に入る」「好きな音楽を聴く」など、自分なりのストレス解消方法を見つけて、しっかりとストレスケアをしていきましょう。ウォーキングや筋トレなど適度なスポーツや運動も、ストレス解消になります。

お腹を冷やさない

お腹を温めると、腸が弛緩して、便を押し出すぜん動運動が正常に機能します。さらに、お腹を温めると副交感神経が優位になるため、心身がリラックスして腸の働きが活発になり、腸を健康な状態に保つことができます。

睡眠の質を上げる

質のよい睡眠をとることは、ストレス解消につながる、腸内環境を適切に保つ効果も期待できる、過敏性腸症候群に適した予防法です。
 
「睡眠中は、腸の運動を促す機能がある『モチリン』と呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンは、胃腸が空状態の方がよく働くという特徴があるので、満腹状態で入眠しないことがポイントです。食事はベッドに入る3時間前までに終わらせ、食べたものをきちんと消化してから眠るようにしましょう。モチリンの分泌を促し、しっかりとリラックスして眠るためには、眠る前にスマホやテレビなど、光や音の強いものの使用をできるだけ避けて、心身を落ち着けることも大切です」(松生先生)

我慢しない

下痢であっても「便意を我慢しない」ことが重要です。便意を我慢してしまうことでだんだんと直腸の感覚が鈍ってしまい、脳に信号が送られにくくなって便秘を引き起こし、下痢と便秘を繰り返してしまいます。
 
過敏性腸症候群は自己判断で対処をすると、病気を見逃したり症状を悪化させたりする恐れがあります。不安になったら、早めに専門医を受診しましょう。
 
<参考資料>
『朝の腸内リセットがカラダを変える』松生 恒夫(主婦の友社)
『「排便力」をつけて便秘を治す本』松生 恒夫(光文社)
『腸はぜったい冷やすな!』松生 恒夫(光文社)
『「腸ストレス」を取り去る習慣』松生 恒夫(青春新書)
 
日本消化器病学会

photo:Getty Images

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