2018/04/17 20:00

「働き方改革」とは?|睡眠力向上で実現する長時間労働の解消

「働き方改革」に対する関心が高まり、社員に合わせた多様な働き方やメンタルヘルスケアに重点を置く企業が増えています。生産性を高めるとともに、従業員一人ひとりが健康に働ける職場をつくるための睡眠改善から始める対策法について、北里大学で産業精神保健学教授を務める田中克俊先生にお伺いしました。

目次

  • 「働き方改革」とは?
  • 「働き方改革」推進における日本企業の課題
  • 【働き方改革】睡眠による長時間労働の解決とは

「働き方改革」とは?

人種、性別を問わない多様性のイメージ図

「働き方改革」とは、少子高齢化に伴う労働力不足、働く人のニーズの多様化などを受け、日本企業が直面している問題を解決するために国が打ち出した施策です。政府は働き方改革の推進に際し、以下の目的を掲げています。

長時間労働の是正

長時間労働(※)は心身の健康が損なわれるだけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にする大きな要因です。女性のキャリア形成、男性の育児参加を阻む原因にもなっています。
 
「『働き方改革』最大の目的ともいえるのが、長時間労働の削減です。長時間労働が生産性や意欲(ワークエンゲージメント)の低下に直結するほか、精神疾患につながるケースも多いため、早急な対策が求められています」(田中先生)

※時間外労働の限度に関する法律「36協定」では、残業時間の限度を1カ月45時間(労使との協議を経れば、年6回限度で1カ月60時間までの延長が可能)と定められている。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

日本の雇用形態の抜本的な見直しも、「働き方改革」の目的の一つです。とくに正規、非正規の不合理な処遇の差は、非正規労働者の意欲を損なう原因となっています。
 
「正規、非正規の格差を埋め、一人ひとりの能力が正当に評価される仕組みをつくることができれば、社員のモチベーションはもちろん、労働生産性の向上も期待できます」(田中先生)
 
ほかにも、「柔軟な働き方を受け入れるための環境整備」「病気の治療と仕事の両立」「賃金引き上げ、労働生産性向上」が働き方改革における目標として定められています。

「働き方改革」推進における日本企業の課題

膨大な業務量を前に頭を抱える男性

「働き方改革」の実現に当たり、数ある目的の中でも早急な対応が求められる課題が長時間労働の改善です。政府が打ち出した「働き方改革実行計画」では、長時間労働の是正策として時間外労働の上限に違反した場合の罰則が新たに設けられました。ここでは、長時間労働の原因や企業に求められる対策について紹介します。

「長時間労働」の背景と原因

経済産業省が発表した「働き方改革に関する企業の実態調査」では、長時間労働の原因として以下の内容を挙げています。なお、同調査では「長時間労働を行っていない」と答えた割合は18%に留まり(回答者は33~73歳の男女 経営企画・事業企画と経営管理の部長職以上)、多くの企業が何らかの形で「長時間労働を行っている」との認識を持っていることが分かっています。

長時間労働の原因

  • ・管理職の意識・マネジメント不足(44.2%)
  • ・人手不足(業務過多)(41.7%)
  • ・従業員の意識・取り組み不足(31.6%)
  • ・社員の生産性・スキルの低さ(29.6%)
  • ・長時間残業を是とする人事制度・職場の風土(28.6%)
  • ・経営層の意識(27.2%)

※平成28年度産業経済研究委託事業(働き方改革に関する企業の実態調査)報告書

上記の通り、長時間労働の原因として「管理職の意識・マネジメント不足」が最も多くの回答を集めています。さらに、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った調査でも、労働時間が長くなる要因に「上司が残業を当然と考えている」「上司が個々の部下の業務負担を考慮していない」といった声が寄せられました。
 
「長時間労働は、社員の仕事の管理能力の不足によって生じることもありますが、“残業は当たり前”という上司や企業のスタンスが変わらない限り、抜本的な解決は難しいといえます。企業の体質を変えるためには、まずは経営者や管理職の意識を変える必要があります」(田中先生)

長時間労働解消のために求められる対策

「働き方改革」による長時間労働の削減には、企業の意識改革が必要不可欠です。そこで、企業が取り組むべき対策についてご紹介します。

労働時間の適正な把握

長時間労働を解消するため、企業の管理職は社員一人ひとりの労働時間を把握し、適切に管理する必要があります。社員の始業・終業時間を記録、管理することがその基本です。
 
「社員の労働時間を把握するためには、タイムカードやパソコンの使用時間などの記録をもとにするだけでなく、記録と実態に差異がないかを管理職自らの目で確認することも重要になります。そのためには、管理職教育の実施や休暇の取得状況を人事考課項目として追加することも効果的です。企業が社員の労働時間を適正に把握することができれば、時間外労働は“見える化”され、長時間労働を抑制する第一歩になります」(田中先生)

生産性、労働力を上げる

企業存続のためには、労働時間を減らしつつ、一定以上の成果を残す必要があります。そのため、長時間労働削減のために、作業効率や生産性を高めることが重要です。

労働時間と生産性は、必ずしもイコールではありません。連続労働時間が10時間を超えてくると、どうしても作業能力は低下します。長時間働くことをよしとせず、効率よく仕事を終わらせて早く帰るという職場慣行や雰囲気づくりを、企業のトップが率先して意識する必要があります。また、多様化する市場ニーズへの対応や人材確保といった経営面からも、多様な人材が活躍できる体制づくりが求められます。朝型勤務や時短勤務、リモートワークなど、個人の能力やライフステージに応じて最適な働き方を選べるような仕組みを、企業は積極的に取り入れる必要があります」(田中先生)

【働き方改革】睡眠による長時間労働の解決とは

夜遅くまで仕事をする男性

「働き方改革」の根幹ともいえる長時間労働解決、また、メンタルヘルス対策として田中先生が重要な要素だと話すのが「睡眠への意識改革」です。

「働き方改革」に対する睡眠教育の役割と意義

睡眠による「働き方改革」を行う場合、導入側となる企業経営者や担当者だけでなく、睡眠改善の役割や意義について理解を促すため、社員に対して睡眠教育を行うべきだと田中先生。
 
睡眠時間が短くなったり、睡眠の質が低下したりすると、脳は十分に休養できず、ストレスや疲労が蓄積し、さまざまな心身の不調が生じやすくなります。こうした事態を防ぐためには、社員にまず睡眠について正しい知識を身につけてもらうことが大切です」(田中先生)

仕事における睡眠の重要性

良質な睡眠は社員の心身の健康を改善するだけでなく、企業にとっても大きなメリットがあります。

生産性、労働力の向上

睡眠をしっかり確保することで脳の疲労がリセットされ、本来の力が発揮できるようになります。集中力やモチベーションの向上にもつながり、仕事の質が高まるため、業務効率もアップします。最初は個人レベルでの業務効率アップかもしれませんが、やがて全社に広がっていくことで企業の生産性向上へつながっていきます。
 
「米国では、労働安全性や生産性向上のため、労働者の睡眠に注目すべきとの国家的な報告書「Wake Up America: A National Sleep Alert」が出されています。ここでは、睡眠時無呼吸症候群をはじめ、不十分な睡眠を自覚していないケースが多いことも大きな問題として取り上げられています。脳が疲れた状態では、集中力やクリエイティブな発想力が損なわれ、仕事の質や効率も低下していきます。
 
作業効率が悪化することで生産性も低下し、長時間労働を招く原因になってしまいます。日中のパフォーマンスは、脳の健全さがあって発揮されるものです。良質な睡眠を心がけることで、脳のオンオフの切り替えもスムーズになり、生産性は自然と高まります。まずは睡眠を大事にとることを第一に考えることが、生産性向上のためには必要だと思います」(田中先生)

睡眠とメンタルヘルス

睡眠には、日中に蓄積したストレスや疲労を解消して、心身を健やかな状態に保つ効果があります。
 
「良質な睡眠は、免疫やホルモンの働きを整え、自律神経のバランスを整えてくれます。また、脳の中の感情を安定させる機能を促進し、不安や緊張を引き起こす部分の活動を抑えてくれます」(田中先生)

社員のメンタルヘルスケア

メンタルヘルス不調は精神状態を不安定にし、集中力や思考力、意欲などの低下を招くため、仕事のパフォーマンスにも悪影響を与えます。このメンタルヘルス不調の多くが、不眠から始まっていることが分かっています。
 
「不眠などの睡眠障害は、メンタルヘルス不調を引き起こす重要な要因というだけでなく、心身の不調を増悪・遷延(せんえん)化させる大きな要因です。これまではどんな強いストレスにも打ち勝ってきた社員でも、たまたま不眠が重なったばかりに、ひどいうつ病にまで進展してしまったというケースも数多くあります。メンタルヘルスケアのためには、睡眠ケアが欠かせません」

睡眠ケアから始めるメリット

さらに、田中先生によると「最初に睡眠ケアに取り組むことで、メンタルヘルスケアを進めやすくなる」とのこと。
 
「まだまだ精神疾患に対する抵抗は大きく、企業がうつ病予防をテーマにメンタルヘルスケアに取り組んでも、社員はなかなか相談には来てくれません。一方、睡眠は誰にとっても身近なテーマであり、何か不調が生じれば気軽に相談に来てくれます。また、不眠は万病のもとでもあるので、不眠の段階で相談に来てもらうことで、精神疾患や身体疾患の予防にもつながります」(田中先生)
 
睡眠の悩みは従業員にとっても身近な問題であるばかりでなく、従業員のメンタルヘルス不調や生産性、安全性を低下させる大きなリスク要因でもあります。「働き方改革」の第一歩として、社員の睡眠改善に注目してみてはいかがでしょうか?

タイプ別の睡眠ソリューションで健康経営を支援
「Sleep Styles睡眠力向上プログラム」とは?
経営的な視点から社員の健康管理をサポートする法人向けプログラムです。社員が抱える睡眠の課題を、それぞれのタイプに合わせたアプローチで効果的に解消へ導くことで、医療費削減や生産性の向上など、企業課題の改善をお手伝いします。
 
睡眠力向上プログラムの問い合わせはコチラ

<参照>
働き方改革の実現
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/sankou_3.pdf

第2回働き方改革実現会議 治療と仕事の両立等について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai2/siryou13.pdf

テレワークで はじめる 働き方改革 – 厚生労働省
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/01_01.pdf

柔軟な働き方に関する検討会 報告
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000189524.pdf

長時間労働の削減に向けて
http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/pdf/chojikanroudou.pdf

「仕事特性・個人特性と労働時間」調査結果(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
http://www.jil.go.jp/press/documents/20101207.pdf

平成28年度産業経済研究委託事業(働き方改革に関する企業の実態調査)報告書
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000377.pdf

photo:Getty Images

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