2018/04/19 17:00

歯ぎしりの意外な原因と治し方|ストレスや胸やけがあったら要注意

睡眠中に歯ぎしりをしていると言われたり、朝起きたらアゴが痛かったりすることはありませんか? 歯ぎしりの原因として多いのは、ストレスや不安です。

しかし、最近では逆流性食道炎などの病気との関係が注目されています。ここでは、歯ぎしりの原因や治し方などについて解説します。

ひどい歯ぎしりは睡眠障害の1つ

悔しい思いをしたときに、悔しがって歯をかみしめてギリギリ音を鳴らす「歯ぎしり」。睡眠医学では、歯ぎしりの他に強くかみしめることやカチカチと歯を鳴らすことを含めて「睡眠時ブラキシズム」という病気としてとらえられています。
 
欧米やアジアでの調査によると、歯ぎしりによる不快な雑音を自覚している人の割合は、子どもで10~20%、成人では5~8%、高齢者になると2~3%程度です。歯ぎしりは年齢とともに減り、男女間に頻度の差はありません。
 
歯ぎしりには、遺伝的な影響が半分ほどあります。歯ぎしりを自覚する人の約半数では、家族や親戚に歯ぎしりを自覚している人がいます。また、遺伝子が半分だけ同じ二卵性双生児よりも、全く同じ一卵性双生児のほうが、二人ともが歯ぎしりをする頻度が高くなります。さらに、歯ぎしりをする人の約90%は、子どものときにも歯ぎしりした経験を持っています。

逆流性食道炎と歯ぎしりの新しい関係

目覚めているときの歯ぎしりは、悔しい思いをしたときによく出ますが、眠っているときに歯ぎしりする人も、強い不安やストレスを感じている傾向があります。歯ぎしりが激しい人は軽い人よりストレス度が高くないという調査もありますから、歯ぎしりはストレス解消に役立っているのかもしれません。
 
詳しいメカニズムは分かっていませんが、アルコールやタバコ、カフェインをとることでも歯ぎしりが多くなります。薬では、うつ病の治療薬である選択的セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)を飲むと、歯ぎしりが悪化することがあり注意が必要です。
 
以前は、「かみ合わせが悪いから歯ぎしりが起こる」と考えられていました。しかし今では、かみ合わせの悪さは歯ぎしりの直接の原因ではないことが分かっています。
 
最近注目されているのは、逆流性食道炎と歯ぎしりの関係です。逆流性食道炎というのは、横になったときなどに胃液が食道に逆流して、胸やけやムカツキなどを起こす病気です。逆流性食道炎の患者さんは睡眠中の歯ぎしりが多くなり、治療薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を飲むとそれが減ることが分かりました。もしかしたら、歯ぎしりは逆流してきた胃酸を胃に戻すために行っているのかもしれません。
 
睡眠障害に合併して、歯ぎしりを起こすことがあります。眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」では、大きないびきや無呼吸のほかに、歯ぎしりしたり寝言を言ったり、叫び声をあげることがあります。また、夢で見た行動を実際にしてしまう「レム睡眠行動障害」では、睡眠中に体を動かすことのほかに、歯ぎしりや幻視、身体のこわばりなどが見られることがあります。

歯ぎしりで歯がすり減って顎が痛くなる

歯ぎしりが激しいと、咀嚼筋(そしゃくきん:かむときに働く筋肉)や顎の関節、歯への負担が大きくなります。強くこすられるために歯や入れ歯の表面に凹凸がなくなったり、折れてしまったりすることがあります。また、目覚めたときに顎から頭にかけて、不快感や疲労感、痛みが出ることもあります。歯ぎしりをする本人が不眠になることは少ないですが、ベッドパートナーにはいい迷惑です。
 
ヨーロッパで行われた1万人規模の電話調査では、週に一回以上、歯ぎしりをする人のうち、54%で歯や顎などに何らかの症状が出ています。内訳は、歯が磨り減っている人が23%、起床時の顎の筋肉痛が8%、同室者からの歯ぎしり音の指摘が23%でした。歯ぎしりを減らすことは、家族のためにも必要なことのようです。

本気で歯ぎしりを治したい人は歯医者さんへ

歯ぎしりが起こるメカニズムがまだ不明なため、歯ぎしりを完全になくす治療法がないのが現状です。いろいろな対症療法を組み合わせていくのが、現実的といえます。アルコールやタバコ、カフェインが原因の場合は、それらをとらないか減らしましょう。薬を飲むようになってから歯ぎしりが始まったりひどくなったりした人は、主治医と相談して薬を減らすか変えてもらったほうが良いでしょう。
 
不安やストレスは歯ぎしりの原因の一つですから、リラクゼーションやストレス管理は重要です。せめて寝床に入る前の1時間はリラックスタイムにして、自分の好きなことを楽しんでください。布団に入ったら悩まず、「明日はきっといい日になる」と自己暗示をかけましょう。
 
睡眠時無呼吸症候群やレム睡眠行動障害が疑われるときは、早めに睡眠の専門医に相談しましょう。肥満があって無呼吸を起こす人は、減量が基本です。食事を見直して、運動を習慣化しましょう。
 
インターネットなどで買える軟性マウスガードは、手軽に使えますが、歯ぎしりの長期的な管理にはやや不向きです。使用者の半数では、マウスガード自体がストレスとなって、歯ぎしりが増えることもあり要注意です。歯科で作ってもらう硬い口腔内装具(スプリント)は、上顎の歯を覆って歯ぎしりした時の機械的負担を減らすものです。ただし、必ずしも歯ぎしりが減るとは限らず、悪化させることもありますので、事前に歯科医とよく相談しておきましょう。
 
歯や顎の痛みが強いときには、非ステロイド性消炎鎮痛薬が処方されることがあります。血圧を下げる薬の1つである「クロニジン」は、歯ぎしりを60%減らすと報告されています。ただし、副作用として起床時の低血圧やめまいを起こすことがあります。
 
歯ぎしりのほかに胸やけやムカツキがある人は、逆流性食道炎が歯ぎしりを起こしている可能性があります。かかりつけ医や消化器科で逆流性食道炎の治療を受ければ、歯ぎしりも減るかもしれません。自分でできることとしては、甘いものやすっぱいもの、油っぽいものを避けること、食事のあと2時間は横にならないことなどがあげられます。

photo:Getty Images

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