2018/05/10 11:00

矯正視力が上がらない大人への視力回復|実践したい具体策

眼科の医師から「眼鏡をかけても視力は向上、または回復しません」と言われたことはありませんか? もしかすると、眼鏡やレーシックなどを試しても視力が向上しないのは、弱視だからかもしれません

今回は、視力の向上や回復の方法、視力が回復しない理由、成人でも視力回復が可能なトレーニング法について解説します。

目次

  • 視力を向上・回復させる方法
  • 視力が向上・回復しない理由と対処法
  • 弱視でも視力が回復する方法
  • 視力回復のために重要な留意点

視力を向上・回復させる方法

眼鏡をかける女性

一般的に視力を向上させるためには、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正や、オルソケラトロジーと呼ばれるコンタクトレンズの装用、レーシックという手術が必要です。ここでは視力の向上や回復させるための具体的な方法について解説します。

眼鏡またはコンタクトレンズを装用する

一般的に視力が落ちてしまう要因として多く挙げられるのは「近視」「遠視」「老眼」の3つです。これらの現象が起こるのは、網膜に「ピント」が合わせられないためです。
 
眼鏡やコンタクトをかけると、ものがはっきり見えるようになるのは、ずれてしまった「ピント」を調整し、網膜に像が鮮明に映るためです。これにより、物が見えやすくなります。

オルソケラトロジーを装用する

オルソケラトロジーは、特殊な形状をしたコンタクトレンズで、網膜にピントが合うように「角膜」を変形させることで視力を上げます。視力の程度と個人差によりますが、専用のコンタクトレンズを一晩装着すると、8時間から36時間程度、効果が持続するとされています。

レーシック(手術)を実施する

レーシックは、網膜にピントが合うように、人体に安全なレーザーでレンズ(角膜)を削る手術で視力矯正をする方法です。

視力が向上・回復しない理由と対処法

目頭を押さえる女性

眼鏡やコンタクトレンズを装用しても視力が上がらないケースがあります。ここでは、眼鏡やコンタクトによる矯正や、レーシックなどの矯正手術でも視力を上げられないケースと治療法について説明します。

目に疾患があるケース

矯正や手術によって視力が上がらない理由は、レンズ(水晶体)やフィルム(網膜)自体に問題があるためです。ここでは、矯正しても視力を上げられない、目に疾患があるケースについて挙げていきます。

白内障

白内障は、目の中のレンズ(水晶体)がにごる病気です。目がかすんだり、物が二重に見えたりすることがあります。白内障の主な原因は、加齢によるもの(老人性白内障)で、40歳を過ぎると、発症しやすくなるといわれています。また、外傷やほかの目の病気の合併症も原因として挙げられています。
 
症状が軽い時は、点眼薬や服薬により病気の進行を抑えます。レンズ(水晶体)がにごってしまうと、元通りにする方法がないので、白内障が進行するとレンズ自体を交換する手術を行います。

緑内障

緑内障は、目の中の圧力(眼圧)が上がることによって、目の神経(視神経)に障害が起こる病気です。緑内障になると、病気が進行するにつれ、目の見える範囲(視野)が狭まっていき、場合によっては目が見えなくなること(失明)があります。日本人が失明する原因として一番多く挙げられているのがこの緑内障だといわれています。
 
緑内障の具体的な治療法として挙げられるのは、薬物療法や手術によって眼圧を下げることです。

網膜剥離(もうまくはくり)

網膜剥離とは、光を受け取るフィルムの働きをする部分(網膜)が剥がれ、光を受け取る力が弱くなってしまい、進行すると失明することがあります。網膜が剥がれる要因は、ボールがあたるなど目に強い力が加わるケースや、加齢によって引き起こされるケースなどです。
 
症状としては、物を見ているときに小さな黒いゴミのようなものが見えたり(飛蚊症)、光がチカチカしたり稲妻がはしったり(光視症)することが挙げられます。剥離が進むと、視野全体が暗くなったり、飛蚊症の影が増えたり、ススがかかったように見える場合があります。
 
網膜剥離の治療法は手術です。網膜に裂け目がある軽度の場合はレーザーによる進行を抑える手術を、剥離(はくり)してしまった場合は網膜を修復する手術を行います。

糖尿病網膜症

糖尿病によって網膜の血管に損傷が起こる病気です。病気が進行するにつれて視力が低下していき、最終的には失明することがあります。糖尿病網膜症の主な治療法は、薬物療法や手術です。

黄斑の異常

黄斑とは網膜の中心部で、加齢により縮んだり、周囲から異常な血管が生じたりすることで視力障害が起こります。具体的には「加齢黄斑変性」などが挙げられます。
 
加齢黄斑変性は、有効な治療方法がないとされていましたが、近年、進行を抑える方法が開発されています。ただし、完全に回復させる方法はないとされています。

視覚野の機能に問題のある「医学的弱視」であるケース

矯正しても視力が上がらないとき、脳の物が見えると感じるとる力(視覚野)に問題のある、弱視であるケースがあります。目に異常がなくても、視覚野の機能が弱いと、結果的に視力が低くなってしまいます。

視覚野のメカニズム

人は生まれた直後は、はっきり物が見えていません。はっきり物が見えるようになるためには、目のレンズ(水晶体)を通して入った光の像を、ピントの合った状態で、フィルム(網膜)で受取ることが必要です。通常、人は成長とともに、視覚野が発達し、視力が上がっていきます。この時、ピントが合わなかったり、目に異常が出たりするなど、網膜で正しく「像」を受取ることができないと、視覚野が発達しないので、視力が低いままになります。この状況を「医学的弱視」といいます。
 
●弱視について
日本弱視斜視学会によると、弱視は次のように説明しています。

弱視という言葉は、「通常の教育をうけるのが困難なほどの低視力」という意味で一般的に使われていますが、医学的には「視力の発達が障害されておきた低視力」を指し、眼鏡をかけても視力が十分でない場合をさします。

視覚野が発達する期間は8歳ごろまでといわれているため、医学的弱視の人が視力を上げるためには、この期間に適切な治療をする必要があります。

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医学的弱視とは? 医学的弱視の原因と対処法

→大人の医学的弱視について詳しく解説しています

弱視でも視力が回復する方法

遠くを眺める女の子

近年、脳科学の観点から視力回復法の研究が進んでいます。ここでは、目に異常がなければ、手術をしなくても視力が回復するトレーニング方法について説明します。

知覚学習による視力回復方法

脳科学の観点から視力回復へのアプローチをしている研究グループによって実用化されているのが、知覚学習を利用した視力回復法です。知覚学習による視力回復に関する研究結果は、世界的に有名なNatureという権威ある学術雑誌に掲載される(2012年)など、近年注目されています。

知覚学習法とは

知覚学習とは、聞く、見る、感じるなどの知覚に関連する特定の音、光、刺激などを受ける経験を重ねることで、それらの刺激を感じとる力が鋭敏になるというものです。
 
下の図のような、ガボールパッチと呼ばれる縞模様を見ると、視覚野が大きく反応することが過去の研究により示されています。知覚学習による視力回復法は、この研究結果を取入れたもので、効率的に視覚野が発達するように、ガボールパッチの縞模様を変化させた視覚訓練を重ねることにより、視力の回復を促すものです。

ガボールバッジ

研究論文によると、知覚学習による視力回復方法によって、近視や老眼の裸眼視力が上がったという結果や、大人になると視力回復が難しいといわれていた成人の医学的弱視の人に対しても、視力が回復した結果が示されています。

知覚学習の導入例

アメリカでは、知覚学習による成人の医学的弱視向けの視力回復法が医療機器として承認されています。過去に約1万人以上の方の使用実績があり、実際に視力が回復しています。また、ヨーロッパでは近視や老眼の人向けに、視力回復プログラムが医療機器として登録されています。

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弱視の種類と治療法|大人の視力回復のための具体的方法とは

→大人の医学的弱視の視力を回復させる方法について説明しています

視力回復のために重要な留意点

眼科を受診する女性

物が見えづらくなったとき、眼精疲労や加齢が原因と考えがちですが、視力の低下は、眼の疾患で起こるケースが多いとされています。視力低下は、疾患の可能性を示すサインです。

定期的に眼科へ検診に

緑内障のように眼の神経に障害が起こる病気など、治療をしても病気の進行を抑えるだけで、失った機能を回復できないものもあります。このような病気は、自覚症状が出てから病院に行っては遅いのです。
 
物が見えづらくなったかな、と感じたらすぐに眼科医に見てもらいましょう。自覚症状なく病気が進行することもあります。失ってしまった機能が回復しない病気は、「早期発見・早期治療」が大切です。日本眼科医会では、年に一度は眼科医に診てもらいましょうと呼びかけています。
 
監修:森岡清史先生

 
<参照>
日本眼科学会
日本眼科医会
日本弱視斜視学会
目の健康JP (日本眼科医会運営)
浜松医科大学 眼科学教室
独立行政法人国立病院機構
RevitalVision
 
<参照論文>
Uri Polat 他, “Improving vision in adult amblyopia by perceptual learning,” PNAS, vol. 101, no. 17, pp6692–6697, April 27, 2004
Uri Polat 他, “Training the brain to overcome the effect of aging on the human eye,” Nature Scientific Reports, 2 : 278, DOI: 10.1038/srep00278
Daniel Durrie 他, “COMPUTER-BASED PRIMARY VISUAL CORTEX TRAINING FOR TREATMENT OF LOW MYOPIA AND EARLY PRESBYOPIA,” Trans Am Ophthalmol Soc, Vol 105, 2007
 
<参考文献>
丸山敏夫(編)他, “視能学”, 第2版, 分光堂

photo:Getty Images

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