2017/06/06 17:00

体内時計の乱れは万病の元!病気のリスクと体内時計の上手な整え方

人間の身体には1日周期でリズムをきざむ「体内時計」がそなわっています。「体内時計」が乱れると、睡眠の質が下がり、さまざまな不調につながります。今回は睡眠の質を上げるために欠かせない「体内時計」が乱れてしまう原因や、「体内時計」の整え方などを紹介します。

目次

  • 体内時計とは
  • 体内時計が乱れるとどうなる?
  • 体内時計が乱れる原因
  • 体内時計の乱れを整える方法

体内時計とは

そもそも「体内時計」とはどのようなものなのでしょうか。ここでは「体内時計」のメカニズムについて説明します。

体内時計のメカニズム

体内時計とは、「朝は太陽の動きに合わせて起き、昼は活動的に過ごし、夜は眠る」という生活のリズムをつくり、身体の健康を維持するための機能です。
 
体内時計には脳の「中枢(ちゅうすう)時計」と、全身の細胞の「末梢(まっしょう)時計」の2種類があります。中枢時計は自律神経をつかさどる、脳の視床下部(ししょうかぶ)の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」にあり、目から入った光の信号を全身の臓器に伝え、睡眠と覚醒や、体温、脈拍、ホルモンの分泌を調整する役割をもっています。
全身の細胞にある末梢時計は、食事をとるなどで胃や腸の消化器官に刺激を与えると、脳を目覚めさせる働きをします。
 
体内時計は、体温や血圧などを朝から昼にかけて高め、夕方から夜にかけては下げることで、一日のリズムを作っています。

体内時計のリズム

体内時計は24時間と少しで一周し、これを「概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズム)」といいます。時計で決められた時刻と概日リズムは同じサイクルではなく、このずれは「同調因子」と呼ばれる外部刺激によって調整されています。同調因子のなかでも影響が最も強いのは明るい光です。朝に明るい光を浴びることで、体内時計のずれた概日リズムをリセットし、時計で決められた時刻に合わせることができます。
 
同調因子には、食事をとるという外部刺激もあります。食事をすると身体が目覚め、その情報が脳に伝わります。すると脳が「食事をすると活動する時間だ」と記憶するので、食事の時間を一定にすることでも体内時計が整うのです。

体内時計と睡眠の関係

体内時計のずれた概日リズムをリセットし、規則正しい睡眠をとるためには、朝に明るい光を浴びることが必要です。明るい光を浴びると、脳から心身を安定させる物質の「セロトニン」が分泌され、その14~16時間後に睡眠ホルモンの「メラトニン」が生成される仕組みになっています。メラトニンは暗くなると脳から分泌されやすくなり、蓄積されるほど眠気が起こり、自然に夜に眠くなります。つまり、セロトニンが分泌されないとメラトニンも生成されず、よい睡眠がとれないため、朝に明るい光を浴びることはとても重要なことなのです。

体内時計が乱れるとどうなる?

体内時計は心身の健康を維持するための機能なので、リズムが崩れると、さまざまな不調があらわれます。以下に体内時計が乱れたときに起こる不調をまとめました。

睡眠不足になる

体内時計が乱れると、夜に寝つけなくなって十分な睡眠がとれなくなったり、睡眠の質が下がり日中眠くなったりする「睡眠不足」の状態になります。睡眠不足が続くと、脳や身体が十分に休息できず、集中力や注意力が低下したり、疲れやすくなったり、イライラしたりします。

肥満になりやすくなる

体内時計が乱れ、睡眠の質が低下すると、満腹感を感じさせる「レプチン」というホルモンが減少し、食欲を増進させる「グレリン」というホルモンが増えます。すると、お腹が空いていなくても食欲を止められず、食べ過ぎてしまい肥満になりやすくなります。

免疫力の低下につながる

睡眠中は、日中に傷ついた細胞組織を修復したり、病原体への抵抗力を高めたりする「成長ホルモン」が多く分泌されます。体内時計が乱れて睡眠不足になると、成長ホルモンが分泌されなくなり、免疫力が低下する原因につながります。免疫力が低下すると、病原体への抵抗力が下がり、風邪をひきやすくなります。

概日リズム障害になる

睡眠と覚醒のリズムがずれ、眠りたい時刻に眠れなくなったり、目覚めたい時刻に目覚められなくなったりして、日常生活に支障をきたしてしまう睡眠障害を、概日リズム障害といいます。概日リズム障害には大きく分けて5つの種類があります。

(1)睡眠相後退性症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)

就寝時刻が遅くなり、昼過ぎまで眠ってしまい、起きられなくなります。無理に起きようとすると、強い眠気や倦怠(けんたい)感などにおそわれ、日常生活に支障をきたす人も多くいます。

(2)睡眠相前進症候群(すいみんそうぜんしんしょうこうぐん)

就寝時刻が早くなり、夜に起きていられなくなります。夕方ごろから耐え難い眠気におそわれたり、深夜に目が覚めてなかなか寝つけなくなったりします。

(3)非24時間睡眠覚醒症候群

起床後に体内時計が正常にリセットされず、眠る時刻と起きる時刻が約1時間ずつ後ろにずれていく症状。長期休暇によって、昼夜逆転生活を送ったあとに起こりやすい症状です。

(4)不規則型睡眠覚醒パターン

起きている時間と眠っている時間が不規則になることで、「朝に起きて夜に眠る」というメリハリがなくなる症状です。日中に強い眠気を感じたり、夜に寝付けなくなったりします。病気療養などで長期間、昼夜に関係なく眠ったり起きたりする不規則な生活を送っている人に、多く起こる睡眠障害です。

(5)交代勤務障害

勤務時間に変動がある職業に就いている人に、多く見られる症状です。生活リズムが変わっても、体内時計は外の世界と同調して働くため、睡眠と覚醒のリズムに乱れが生じます。すると、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下してしまいます。

高血圧のリスクが上がる

体内時計が乱れることで睡眠時間が不足したり、睡眠の質が下がったりするとストレスを感じます。すると、目覚めをつかさどる「交感神経」が活発になり、そのまま眠りにつくことになります。本来、睡眠中は休息をつかさどる「副交感神経」が優位になり、血圧が下がるはずですが、「交感神経」が活発なまま眠りに入ると、睡眠中に下がるはずの血圧が下がらなくなり、起きた後も血圧が高いままになってしまいます。すると一日中、血管に高い圧力がかかり、動脈硬化が進んだり動脈が狭くなったりするので、さらに血圧があがって、「高血圧」の状態になってしまいます。

糖尿病のリスクが上がる

糖尿病とは、血中から臓器の細胞にブドウ糖(血糖)をとり込ませる「インスリン」というホルモンの作用が低下し、血液中のブドウ糖が多くなってしまう病気です。睡眠不足になると、インスリンの分泌量が減ったり、インスリンの作用を受ける細胞の感受性が悪くなったりします。そのため、ブドウ糖が細胞に取り込まれないまま血中に残り、高血糖状態が続き、糖尿病のリスクが高まります。

体内時計が乱れる原因

体内時計が乱れる原因は生活習慣のなかに多くみられます。以下に体内時計がうまく働いていない人の生活習慣をまとめました。

夜更かしをしている

通常、夜になると休息をつかさどる「副交感神経」が優位になり眠くなります。しかし、夜更かしをすると覚醒をつかさどる「交感神経」が優位なままになり、覚醒し続けることで体内時計が乱れます。また、睡眠時間が短くなり後ろにずれ、起床時刻が遅くなると睡眠と覚醒のタイミングがずれ、体内時計が乱れてしまいます。

ストレスをためている

ストレスを感じると、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)という物質が分泌され、脳が覚醒状態に入ります。副腎皮質ホルモンは、通常朝に分泌され、心身を活動的にする働きを持っていますが、ストレスを感じていると夜にも分泌されます。すると、覚醒状態が続き、睡眠時間が後ろにずれてしまうため、体内時計が乱れる原因となってしまいます。

運動不足

脳や身体は疲れを感じると、身体を休ませようとして自然と眠気が起こりますが、身体が疲れていないと眠気が起こりません。そのため、夜になっても眠くならず、就寝時刻が遅くなるため、体内時計が乱れてしまいます。

不規則な勤務シフトで働いている

夜勤や交代勤務など、不規則な勤務シフトで働いていると、睡眠・覚醒リズムが不規則になり、外の世界の明暗リズムとずれて体内時計が乱れてしまいます。交代勤務による睡眠障害を予防するためには、不規則な睡眠・覚醒リズムによる体内時計の狂いを最小限にし、さらに夜間勤務により蓄積した睡眠不足を、できるだけ早く解消することが大切です。

体内時計の乱れを整える方法

体内時計を正常に保つためには、概日リズムを整えるための外部刺激「同調因子」を取り入れることが必要です。「同調因子」には「明るい光」と「食事」があります。ここでは乱れた体内時計のリセットの仕方を説明します。

朝、明るい光を浴びるために規則正しい生活をする

ずれた体内時計を整えるためには、朝に明るい光を浴びて脳内伝達物質の「セロトニン」を分泌させることが大切です。明るい光を浴びるために、規則正しい時刻に起きる生活をしましょう。
 
休日に夜の時間をダラダラと過ごし、夜更かしをして起きる時刻を遅らせてしまうと、明るい光を浴びる時間が遅れて、体内時計が乱れてしまいます。休日も、起きるタイミングは平日と同じ時刻にしましょう。
 
また、明るい光を浴びながら腹式呼吸を取り入れたヨガをすると、自律神経が整い、睡眠の質が上がります。体内時計のリセットに効果的なヨガについては、下記を参照にしてみてください。

Check

体内時計をリセット!たった10分でできる朝ヨガプラクティス

→ポジティブに過ごすための行動改革の具体的な方法を紹介します

規則正しい食事をする

食事をすると身体が目覚め、その情報が脳に伝わります。すると脳が「食事をすると活動する時間だ」と記憶するので、体内時計が整いやすくなります。できるだけ3食同じ時刻にとるようにしましょう。
 
ただし、夕食は消化にかかる時間を考慮して、就寝3時間前までには食べ終えておくようにしましょう。就寝時に胃の中に食べ物が残っていると、胃腸に負担がかかり、眠りが浅くなってしまいます。
 
また、バランスのよいメニューの食事をとることも大事です。朝食にはごはんやパンなど、脳のエネルギー源となる糖質や、肉や魚、卵などのタンパク質をとるようにしましょう。とくに、タンパク質には目覚めをうながす神経伝達物質の「セロトニン」の原料となる「トリプトファン」が含まれているので、体内時計が整いやすくなります。
 
昼食は、エネルギー代謝が活発になり、消化吸収が促進される時間帯なので、麺類やお米といった、エネルギー源となる炭水化物をとりましょう。
 
夜はエネルギー代謝が落ちるため、できるだけ糖質は避けましょう。また、脂肪の多い肉や乳製品、ナッツなどの脂質も、過剰にとらないようにしましょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
参照
『睡眠専門医が教える!一瞬で眠りにつく方法』坪田聡(宝島社)
『睡眠障害のなぞを解く 「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』櫻井武(講談社)
『睡眠の病気』内山真(NHK出版)
「脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法』白川修一郎(永岡書店)
『イラストでわかる!赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(株式会社かんき出版)
『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(株式会社アスコム)
 
e-ヘルスネット 高齢者の睡眠
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html
 
武田薬品工業「体内時計.jp」
http://www.tainaidokei.jp/mechanism/3_4.html

photo:Getty Images

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