2017/08/15 17:00

疲労回復にはまず睡眠!就寝前のコップ1杯の水でぐっすり快眠

心身ともに健康な生活を送るためには、日々の疲労回復が十分であることが重要です。自分が疲労していることに気づかずに日々のケアを怠ると、蓄積した疲労が心身に大きなダメージとなってしまうことがあります。今回は、精神科医で脳科学にも精通する西多昌規(にしだまさき)先生に、正しい疲労回復法を教えていただきました。

目次

  • 疲労の原因
  • 疲労度チェックリスト
  • 疲労を回復させず放置したときのリスク
  • 疲労回復のためのテクニック

疲労の原因

疲労の原因

疲労とは、身体から発せられた「休め」というサインです。ここでは、疲労を感じてしまう原因についてご紹介します。

疲労の原因

人が疲れを感じる原因は大きく分けて「活性酸素の増加」と「セロトニンの減少」の2つです。

活性酸素の増加

「活性酸素」は、呼吸によって取り入れた酸素を利用してエネルギーをつくるときに副産物として常に体内で生まれている物質です。身体に負荷がかかると大量に発生し、分解が追いつかなくなります。増えすぎた活性酸素は、全身の細胞にあるタンパク質や脂質を攻撃して酸化させます。その結果として細胞の働きが鈍くなり、細胞の機能修復に時間がかかるようになるため、身体を動かすためのエネルギー生産が落ちて疲れを感じるようになります。

セロトニンの働きが減少する

ストレスを感じたときには、ストレスホルモンと言われるホルモン「コルチゾール」が活性化されます。高ぶった神経を沈静化させるためには、心身をリラックスさせる神経伝達物質のひとつ「セロトニン」の働きが大切です。しかし、強いストレスを受け続けたり日光を浴びない生活を送ったりしていると、セロトニン伝達に関わる神経が衰え、セロトニンの働きが低下する原因となります。神経の高ぶりを沈静化する作用が働きにくくなり、心身の緊張状態が続いて疲労感を生みます。

疲労度チェックシート

疲労度チェックシート

まずは自分の疲労度を知ることが大事です。原因が明確で1日あるいは週末に休めば回復する疲労については、あまり心配ありませんが、下記のチェックリストで3つ以上チェックがついて、日常生活に影響が出ていれば病気の可能性も考えられます。心配な方は適切な医療機関を受診しましょう。

  • 今までにない疲労感、疲れやすさが続いている。
  • しっかり休養したつもりでも、なかなか回復しない。
  • 日常のパフォーマンスが、疲れが原因で50%ほどに落ちている気がする。
  • 風邪をひきやすい、ひくとなかなか治らない。
  • 検査しても原因がはっきりしない頭痛、腰痛、筋肉痛が続く。
  • 食欲がない、おいしいと感じない。
  • 日中に耐えられないくらいのひどい眠気にしょっちゅう襲われる。
  • よく眠れない。

引用元:『「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本』 西多昌規 著
 
6カ月以上続く疲労も慢性疲労症候群など病気の可能性があります。心当たりの方は専門家へ相談するか、適切な医療機関を受診しましょう。

疲労を回復させず放置したときのリスク

疲労を回復させず放置したときのリスク

疲労が回復せずたまってしまうと心身にさまざまな影響が出てきます。

疲労による心身への影響

疲労は、筋肉のこわばりや思考力の低下などの形で影響します。以下に、主な症状をまとめました。

肩こり・腰痛

疲労の蓄積は、交感神経の動きを活発にして筋肉を緊張状態にするため、肩こりや腰痛といった症状が生じやすくなります。

集中力・思考力の低下

論理的な思考をして判断や計画を行なうときには、脳の「大脳皮質」の中にある「前頭連合野(ぜんとうれんごうや)」が機能します。疲労が蓄積すると「前頭連合野」の働きが低下して注意力が散漫になり、思考もスピードが落ちてしまいます。その結果、柔軟に物事を考えることができなくなり、作業効率が著しく下がる場合があります。

意欲の低下

疲労がたまると老廃物が蓄積し身体が重い、だるい、といった症状が現れます。睡眠不足はそうした症状をさらに悪化させるため、目の前の作業に対するやる気が低下し、新しいことにチャレンジする意欲もわかなくなってしまいます。仕事だけでなく、以前まで楽しめていた趣味が楽しめなくなるなどの変化は、疲労が蓄積しているサインです。

自己評価の低下

疲労が蓄積すると、異様に他人の目が気になる、自分に対しての評価が低くなるなど、物事をネガティブにとらえやすくなります。これは、脳の奥に位置する人間の感情や記憶をつかさどる「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部分が正常に機能しなくなり、感情をコントロールできなくなるからです。さらにネガティブ思考をポジティブに修整する前頭葉の働きも落ちてしまい、自己評価がどんどん下がってしまいます。状況の変化に柔軟に対応できなくなるほか、物事を誤ってとらえてしまうこともあるため、イライラやゆううつ感を引き起こすこともあります。

疲労回復のためのテクニック

疲労回復のためのテクニック

疲労回復には規則正しい生活を送ることが最も効果的です。食事、運動、睡眠の面から、より効果的な疲労回復法をご紹介します。

疲労回復のための食事のとり方

食事は体内で分泌されるホルモンの生成にかかわります。身体を休めるためには食事のとり方に気をつけましょう。

朝食を少しでも食べるようにする

疲労回復のために大切なのは、ストレスによって興奮した神経を沈静化し、「セロトニン」の分泌量を増やすことです。セロトニンは脳内で睡眠の質を向上させる睡眠ホルモンの「メラトニン」に分解されます。セロトニンがメラトニンに分解されるまでには10時間ほどかかるため、セロトニンの原料となるアミノ酸の一種「トリプトファン」を朝食にとることで、夜にはメラトニンが正常に生成されるようになります。一日だけトリプトファンをたくさん取っても急に眠れるようになるわけではありませんが、ずっと朝食抜き生活を続けていると、セロトニン・メラトニン不足によって落ち着かせる働きが弱まるなどの影響が出てくる可能性が高くなります。トリプトファンは納豆や味噌などの大豆製品や牛乳などの乳製品、肉、魚介類に多く含まれるので、積極的に朝食に取り入れるようにしましょう。

満腹状態で寝ない

満腹になった直後は消化のために胃腸が活性化して身体と脳が十分に休まらず、睡眠の質が低下します。胃に食べ物が入ったまま横になってしまうと、食べた物が口の方に逆流しやすくなり、逆流性食道炎の原因にもなりえます。また人間は体温が下がると自然と眠くなりますが、寝る直前に食事をとることによって体温が上がってしまいます。食事は寝る3時間前までに済ませるようにして、満腹になる手前の腹7〜8分目に留めるようにするとよいでしょう。

疲労回復を促す運動

毎日ランニングをしたり時間をかけてジムで運動したりすることは難しくても、毎日少しずつ運動習慣を取り入れることが大切です。うっすら汗をかく程度の適度な疲労がたまると夜の寝付きがよくなり、中途覚醒することなく朝までぐっすり眠れるため疲労回復につながります。

1日15分の「ちょい汗」ウォーキング

疲労回復のためには身体の緊張をほぐす運動も有効です。適度な運動による程よい身体的疲労には夜の安眠をもたらす効果もあります。ただし、激しい運動は疲労の原因になる活性酸素をかえって増加させてしまうので、軽い運動に留めましょう。脈拍が少し上がり、汗ばむくらいのウォーキングがおすすめです。1日最低15分ほど取り入れてみてください。

疲労回復を助ける睡眠

疲労回復には睡眠の質が重要です。ここではまず睡眠が効果的な理由を解説し、快眠を促す入眠の儀式や、十分な睡眠時間が確保できないときの対処法をご紹介します。

疲労回復に睡眠が効果的な理由

自律神経を整える

睡眠時間が不足すると自律神経の乱れにつながり、疲労回復を妨げる原因となります。自律神経には「緊張」をつかさどる交感神経と、「休息」をつかさどる副交感神経の2種類があります。睡眠不足やストレスなど心身に負荷がかかると、交感神経が優位な状態がつづき、副交感神経が正常に作用しなくなって身体も脳も休まらなくなります。身体や脳を休ませて全身の緊張をほぐすには、自律神経を整えることが大切です。

免疫力を回復させる

睡眠中は成長ホルモンやメラトニンといったホルモンが分泌され、免疫力が高まることで病気に抵抗する力を養います。睡眠を十分にとることは疲労が回復するだけでなくホルモン分泌量が安定して免疫力が回復するため、感染症などへのリスク低下にもつながります。

寝つきをよくする方法

疲労回復を促す入浴法

毎日忙しい日々を過ごしていると湯船につからずシャワーだけで済ませてしまう人も多いはずです。しかし、疲労を感じたときこそしっかり湯船につかることが大切です。身体を芯まで温めることで副交感神経が刺激されて一日の疲れがほぐれ、リラックスした状態になります。また、入浴後は身体の深部体温が徐々に下がるため入眠もスムーズになって睡眠の質が高まります。38〜40度程度のぬるま湯に20〜30分ほどゆっくりと入るか、時間がなければ手浴もおすすめです。
 
下記リンクで快眠入浴法をご紹介しているので、参考にしてみてください。

Check

睡眠効果UPの入浴方法とは?温度や時間、タイミングは?

【お風呂の時短&節約】入浴後の眠気を誘う“手浴”で疲労回復

コップ1杯の水を飲んでから眠る

人は睡眠中に汗をかくことで体温を下げ、身体の深部の温度を下げます。日中に活動をしているときは脳や身体の温度は上がっています。夜はしっかり温度を下げることで脳も身体も休まり、眠りが深まります。睡眠中にかく汗によって脱水状態になってしまうと目が冷めやすくなるため、就寝前には必ずコップ1杯の水を飲みましょう。脱水を予防することで、睡眠時間が短くなることによる目覚めのだるさも解消されます。ただし、冷えた水は身体を緊張させて覚醒を促すおそれがあるので、水は常温の方がよいでしょう。

リラックス効果のある香りを嗅いでから眠る

嗅覚は脳と深く結びついています。よい香りを嗅ぐと副交感神経が刺激されて心身がリラックスした状態になり、寝付きもよくなります。寝付きが悪いときは自律神経の乱れの影響も考えられるため、ラベンダーやカモミールなどの安静効果があるアロマがおすすめです。

目のまわりを温めてから眠る

顔へのほどよい刺激は副交感神経を優位にしてリラックス状態に導き、スムーズな入眠を促します。特に目のまわりは疲労しやすいので、家庭で簡単に作れるホットタオルを活用してよく温めることにより血行を促進すると、疲労回復に効果的です。
 
ホットタオルの作り方は、濡れタオルを3枚お皿に載せて電子レンジで500Wなら1分半、600Wなら1分間温めます。熱いので火傷をしないように、1枚目を広げて冷ました上に2枚目と3枚目を重ねて目の上に置きます。最低でも5分ほど温めることが大事です。冷めてきたら、タオルの順番を入れ替えましょう。

丹田呼吸法を行って眠る

眠る前にリラックスするためには呼吸を整えることも効果的です。初心者でも簡単にできる「丹田(たんでん)呼吸法」は、ヘソから指四本分下にある「臍下丹田(せいかたんでん)」に意識を集中し、ゆっくり呼吸をする方法です。
 
吐く時間を長くとることで、交感神経の働きを徐々に抑制し、リラックスしているときに働く「副交感神経」を優位にする効果があります。下記のリンクで、丹田呼吸法を応用したストレッチなども紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

Check

【呼吸から健康を支える】 緊張をゆるめ、安眠を導く「丹田呼吸法」

自律訓練法を行って眠る

「自律訓練法」とは、セルフコントロールのための呼吸法です。不安をやわらげて眠気をもたらす方法で、よりリラックスしたい人におすすめです。睡眠の質が高まるので効率よく疲労回復できるだけでなく、身体の痛みやだるさが軽減する効果も期待できます。自律訓練法の簡単な方法は、以下のとおりです。

  • ソファに深く座り、気持ちを落ち着ける。(ベッドや床に横になってもOK)
  • 「右腕が重たい→左腕が重たい→両足が重たい」と、心の中でゆっくりと唱えながら3分間かけて順番に想像する。
  • 「右腕が温かい→左腕が温かい→両足が温かい」と、心の中でゆっくりと唱えながら3分間かけて順番に想像する。
  • のど、鼻、口、胸、腹など、息の出入りする部分に意識を向ける。呼吸を無理にコントロールしようとせずに自然な呼吸を3分間行う。
  • 立ち上がって背伸び、屈伸(くっしん)運動をして終了する。

夜の睡眠以外で疲労回復を助ける方法

日頃の睡眠の質を高める以外にも疲労回復に効果的な方法があります。

瞑想(メディテーション)

アメリカでは、瞑想によって睡眠の質の改善や疲労感の解消、抗ストレス・抗うつが期待できるという科学的効果が研究されています。瞑想は、15分ほど考えることをやめてぼーっとしたり、窓から景色を眺めたりするだけでもOKです。実践後は、いま頭の中で何を考えてどう感じているのかに気づき、心がふっと軽くなります。瞑想法の一例をご紹介します。

  • 静かな部屋で、楽な姿勢で座る。手は膝に置く。
  • 目を閉じて、力を抜く。
  • 呼吸は鼻で行い、呼吸に集中する。
  • 息を吐くときだけ、秒数を数える。
  • 10〜15分ほど続ける。
仮眠をとる

日中に感じた疲労をすぐにリセットしたいときには、正午から15時までの間に15〜20分程度の仮眠をとりましょう。短い時間でも休息をとることで脳の中の情報が整理され、集中力も高まります。たとえ眠れなくても、目を閉じるだけで脳に入ってくる情報を遮断して脳を休ませることができます。ただし、15時以降に仮眠をとると体内時計のリズムが崩れて夜の寝付きが悪くなるため、夕方以降の仮眠は避けましょう。
 
【参照】
『「昨日の疲れ」が抜けなくなったら読む本』西多昌規著(大和書房)
科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/crest/immunesystem/result/05.html

photo:Getty Images

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