2018/12/26 18:00

歯周病が早産の原因に!?低体重児出産との関連や出産前の治療

歯垢(しこう)ができて炎症を起こす歯周病。いろいろな病気の原因になりますが、妊婦にとっても危険因子です。早産や低体重児出産などを引き起こすリスクがあるからです。歯の衛生は健康な出産に影響します。もし妊婦で歯周病なら、出産前に治療をしておきましょう。

歯周病とは?

歯周病は歯の病気です。歯や歯と歯肉の境目がきちんと掃除されていないと、細菌が溜まって歯垢ができて、腫れたり炎症を起こしたりします。軽度の人までいれると、日本人の成人の約8割が歯周病にかかっているとも言われています。
歯周病は、放っておくと歯肉炎から歯周炎、歯槽膿漏とどんどん重症化してしまいます。進行すると歯を支える土台が溶けて、歯が抜けてしまったり、抜歯をしなくてはならなくなったりします。

歯周病の原因
歯周病の最大の原因となるのは歯垢(プラーク)で、白いカス状のものとなって歯の表面や歯と歯の間に溜まってしまいます。虫歯菌や歯周病菌が歯の表面につくことで歯垢ができますから、歯周病は感染症ともいわれます。

症状
歯や歯のすきまに溜まった歯周病菌が歯肉に入ると、赤く腫れて歯肉炎になります。また、歯周炎になると歯と歯ぐきの溝が深くなり、歯垢や歯石が歯の根元に潜り込んで感染が拡がっていき、歯の周囲の骨(歯槽骨:しそうこつ)を溶かしてしまいます。歯槽膿漏とは歯周炎の末期症状で、歯ぐきから膿が出ている状態をいいます。

歯周病は早産リスクを高くする

歯周病が原因となってさまざまな病気が引き起こされますが、歯周病は病気だけでなく、妊娠にも作用することがわかっています。
一つは早産への影響です。通常、妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなることが専門家によって指摘されていますが、これには女性ホルモンが関わっています。エストロゲンは歯周病原細胞の増殖を促し、プロゲステロンは炎症の元になるプロスタグランジンを刺激することなどがわかっています。
このプロスタグランジンは、子宮筋を収縮させて早産につながる危険性を高めることがあります。とくに妊娠中期から後期にかけてはこの影響が強くなるため、妊娠性歯肉炎になることを避けることが大切です。

歯周病は低体重児出産にも影響する?

■低体重児出産との関連性
歯周病が妊娠に及ぼすもう一つの影響は、低体重児出産のリスクを高めることです。
歯周病が重度になるほど、歯周組織の中にプロスタグランジンが増えます。それが羊膜腔・胎盤膜などに作用して子宮収縮を引き起こし、子宮頚部の拡がりを促したりします。その結果早産となり、低体重児を出産することにつながります。
そのリスクは、歯周病のない人の約7倍といわれています。

■流産する可能性もある?
歯周病が原因で流産するとは言い切れません。流産を引き起こす要因はあまりにも多く、また重なっていると考えられていますので、一概には言えないのです。
しかし、お伝えしたように妊娠中はホルモンの変化などの影響で歯周病が進行しやすい環境にあります。何にせよ、セルフケアだけでなく歯科医院で診てもらっておくほうがよいでしょう。

■他の病気を引き起こすリスクもある
歯周病が進行すると、歯周病菌とその毒素が血液中に流れて全身に回ってしまいます。それによってさまざまな病気が引き起こされます。
たとえば、高齢者に起こりやすい誤嚥性肺炎や認知症、腎臓病、関節リュウマチ、がん、糖尿病といった全身疾患、動脈硬化や心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞などを引き起こしたり、悪化させたりします。

歯周病になりやすい生活習慣

歯周病の原因となる歯垢ができるのは、歯磨きがきちんとできていないために口の中の環境が悪化してしまっているからです。とくに、妊娠期は女性ホルモンの影響で唾液の粘り気が強くなり、歯肉の炎症や出血も起こりやすくなります。つわりの影響で歯磨きが困難になったりすることもあって、口腔環境が悪くなりがちですから注意をする必要があります。
もう一つ、喫煙も要注意です。タバコを吸うことで口の中が細菌の格好の住みかになり、悪影響を与えます。さらに、菌に感染した歯周組織の再生も妨げられて、歯周病の進行を早めてしまいます。

歯周病の治療にかかる期間・費用

歯周病治療に関しては、初期段階なのか重度なのかによって、治療期間も費用も違ってきます。
自治体の補助によって、通常は妊娠中や産後の一定期間中に無料で歯科検診を受けられます。まずはそれを受けて、歯周病や虫歯がないか調べてもらいましょう。

歯周病の予防・治療方法

■予防方法
歯科医師は次のような予防法を提起しています。


〇禁煙:タバコは歯周病にとって最大の危険因子
〇歯ブラシに血がついたら受診を:歯磨きの時に歯肉が出血しているのは、感染が起こり、歯肉が腫れているため
〇電動歯ブラシを使う
〇フロスや歯間ブラシを活用する
〇キシリトールガムを噛む:歯垢ができるのを予防
〇うがい薬で歯磨きの代用はしない:うがい薬には歯垢を落とす効果はない
〇一日1回舌ブラシを使う:舌苔落としに使用


歯のケアは実際には自力では難しいところもあります。セルフケアの他にも、3ヵ月に1回は歯科を受診して、歯垢や歯石を取ってもらうことも予防には効果的でしょう。

■治療方法
歯周病がどれくらい進行しているかによって、いくつかの治療法が行われています。大きく分けると、歯周病の進行程度に関わらず行われる「基本治療」と、進行が進んでしまったときに行われる「外科治療」とがあります。
基本治療には「歯垢の除去(プラークコントロール)」、歯垢や歯石を機械で取り除く「スケーリング」、歯の表面のざらざらや歯石を取って毒素や微生物による汚染を除去する「ルートプレーニング」、「かみ合わせの調整」などがあります。
外科治療としては、歯垢によって深まった歯と歯の間の溝(ポケット)を減少させたり、特殊な材料で失われた骨を再生させたりする処置が行われています。そして、これらの治療によって改善されると、通常のブラッシングで歯周病予防のメンテナンスを行います。

歯が抜けた場合、最近はインプラントを希望する人が多いのですが、歯周病がある場合はすぐにインプラントは入れられません。歯周病は、インプラントの支えとなる歯周組織を破壊して、顎骨を溶かしたりする病気のため、まずは治療をきちんと行ってからとなります。

■治療を受ける際の注意点
治療を受ければそれで終わりではありません。治療後の日常生活で、正しい歯磨き(ブラッシング)によって、歯周病にならないように歯や口の中をケアしていくことがとても大事です。特に妊婦の場合、歯や口腔ケアがおろそかになりがちですので、意識して歯磨きなどを行っていくようにしましょう。
また、出産後は赤ちゃんの世話などいろいろと忙しくなってしまうので、歯周病の治療は妊娠中に行っておくことが望ましいでしょう。

執筆者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ 社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

<参考>
日本臨床歯周病学会 歯周病と妊娠
日本臨床歯周病学会 ホームページ
NIKKEI STYLE 20歳以上の8割は歯周病 実は若い人にも多い

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