2017/09/03 13:00

インドで1億5千万人の仏教徒を導く、81歳の日本人僧「私には黒い血が流れている」

小さな村の式典に呼ばれ、花びらの上を歩く佐々井さん。どこに行っても人気がある。インドのお坊さんは庶民から、大変に尊敬される存在だ 撮影/白石あづさ
小さな村の式典に呼ばれ、花びらの上を歩く佐々井さん。どこに行っても人気がある。インドのお坊さんは庶民から、大変に尊敬される存在だ 撮影/白石あづさ

 幾度、暗殺されかけようとも屈せず。ブッダを説き続ける。仏教発祥の地、インドで1億5千万人の信徒を導く、日本出身の僧・佐々井秀嶺。若いころ、人生に絶望し自殺を図るが僧となる。数奇な運命からインドに導かれ、仏教復興と“不可触民(※)”という最下層の人々のために半世紀以上も闘ってきた、その激動の人生と日本への思いとは──。

※不可触民(ふかしょくみん)とは、厳しい身分制度で知られるインドのカースト制度にあって、最底辺のシュードラにすら入れない、カースト外の最下層に置かれ「触れると穢れる」と差別されてきた人々。

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 肌の白い僧がひとり、大ステージへと向かう。足取りはゆっくりだが、その眼光は虎のように鋭く、全身からは熱情がみなぎっている。日本の穏やかな高僧とは対照的なその姿に、ここが灼熱のインドであり、混沌とした国であると思い知らされる。

 インドのど真ん中、デカン高原にある街、ナグプール。この地で年に1度、開催される仏教の式典「大改宗式」にインド人僧を従え、式の総責任者である佐々井秀嶺(81)が登場した時、日もすっかり暮れていた。朝から各地を駆けずり回り、満身創痍(そうい)で最後の大会場に到着したのだ。主役の登場を今か今かと待っていた改宗広場を埋め尽くす数十万人の信者が、インド仏教の挨拶である「ジャイ・ビーム!」と歓声を上げ、佐々井を熱狂的に迎える。

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