2019/05/23 18:30

住宅ローン減税終了後、貯金をはたいて一括繰上返済すべき? 

住宅ローン減税終了後、貯金をはたいて一括繰上返済すべき? 
住宅ローン減税終了後、貯金をはたいて一括繰上返済すべき? 

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、住宅ローン減税が終了する際に一括繰上返済を計画していた夫婦。けれど、妻がフリーランスに転向したことで収入が減少。今の家計状況で、このまま一括繰上返済をしても問題はないのでしょうか。FPのたけやきみこ氏がお答えします。

3年前に新築マンションを購入しました。住宅ローンを35年返済で組んだものの、購入時は妻である私も正社員として働いていたため、お金に余裕があり、住宅ローン減税が終わる10年後に、住宅ローンを一括で繰上返済しようと計画していました。そのため10年の期間固定優遇金利でローンを借りました。11年目から変動金利になるタイプです。しかし、諸事情により、私は昨年会社を辞めてフリーランスのライターになりました。その結果、私の収入が月10万円以上下がることになりました。それでも子供がいない(今後も予定はありません)ため、毎月の生活には余裕がありますが、さすがに当初計画していた10年でローン完済は難しいかなという状況です。けれど夫は、絶対に住宅ローン減税の終了とともに繰り上げ返済で完済すると言って聞きません。あと7年で残り3100万円ものローンを返済することができるのか不安ですし、私としてはそんなに無理する必要はないのではないかと思っています。団信に入っていれば安心感もありますし。

そこで、お聞きしたいのですが、今の我が家の家計状況で、夫の言う通りあと7年で住宅ローンを完済できるのでしょうか? そして、繰上返済するメリットはどれだけあるのでしょうか? また今の家計で無駄な出費があれば教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。

〈相談者プロフィール〉
・女性、38歳、既婚(夫:40歳、会社員)、子供なし
・職業:フリーランス
・居住形態:持ち家(マンション)
・毎月の世帯の手取り金額:44万円
(夫:34万円、妻:10万円ほど)
・年間の世帯の手取りボーナス額:80万円(夫)
・毎月の世帯の支出目安:27.8万円

【支出の内訳】
・住居費:11万円(管理費込み)
・食費:3万円
・水道光熱費:2万円
・教育費:なし
・保険料:4万円
・通信費:0.8万円
・車両費:なし
・お小遣い:4万円
・その他:3万円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:16万円
・現在の貯蓄総額:2100万円
・現在の投資総額:なし
・現在の負債総額:3100万円
(住宅ローン:物件購入額3800万円、借入額3400万円、金利0.5%、返済期間35年、残債3100万円


たけや: 新しいマイホームでの暮らしは快適でしょう。住宅ローンを早く返済してしまいたいという心情は理解できます。不要な利息は払いたくないものですね。ご相談者様からの、一括繰上返済は可能か、またそのメリット、そのほか気になった点について回答させていただきます。

一括繰上返済のメリットは?

住宅ローン減税の恩恵が終わる11年目を迎えたら、その後は変動金利への切り替えもあることから、一括繰上返済をされるというプランです。

現在3100万円のローン残高は、住居費11万円のうち毎月の返済額を約9万円(このほかに管理費等2万円)とした場合に、7年後には約2500万円になっていると考えられます。ここで一括繰上返済をした場合は、約159万円の利息を節約できる効果が期待できます。この数字は、金利の条件が現状ではわかりませんので、0.5%で試算をしました。金利がこれよりも高ければ、節約が期待できる利息も多くなります。

※試算結果の数字はあくまでも目安であり、実際の数値と等しくなるわけではありません。

繰上げ返済後の前に確認すべきこと

家計の支出の内訳を拝見すると、無駄使いはされていません。かえって、食費3万円や小遣い4万円という金額の少なさが気になりました。食費は実家などからお米などの仕送りがあると少なくすむこともありますが、そうではないとしたら節約のご苦労の結果だとお察しします。

また、小遣いが夫婦おふたりで4万円というのも少なく感じます。精神的にストレスが溜まっていないか、心配になりました。節約はそれを実行する人にストレスがかかります。食費はご相談者様がやりくりされているとして、小遣いは夫婦ともに我慢されているということはございませんか。住宅ローン完済後にリバウンドが起こらないように、今一度ご検討ください。

ローンの繰上返済は、実行することでその効果を実感できますが、やり直すことができません。一度、返済した資金は戻ってこないということです。

現在、貯蓄残高は2100万円です。毎月の貯蓄額は16万円ですから192万円を毎年貯蓄できることになります。単純に計算すると、7年間×192万円(年額)=1344万円で、貯蓄額は現在2100万円なのが、7年後には3444万円になります。

ここから一括繰上返済の資金として、2500万円を引き出しますと、貯蓄額は一気に944万円に減少します。

マイホーム購入から10年も経過すれば、家電の買い換えもあるでしょうし、水回りやちょっとした修繕も出てくる時期です。また、マンションの大規模修繕工事の話も聞こえてくる頃です。マンションの修繕積立金に関するガイドラインに沿った修繕積立金であっても、不足すれば徴収や値上げも考えられます。

一括繰上返済をする前に、生活に必要なメンテナンス費用が、いつ頃、いくらかかりそうかを考えておき、問題がないかをしっかり検証してから実行しましょう。

個人事業のための蓄えは家計と分別して

今回のような、繰上げ返済をしたらいくらの効果があるのかなど計算上の試算は、数字として見ることができるので、その効果を実感しやすいと思います。しかし、実際は計画や試算どおりにはいかないこともあります。

会社員を辞めて、転職ではなく、フリーランスのライターになられた経緯や理由はここでは触れていらっしゃらないのでわかりません。

ローン完済をするというプランは退職される前から実行されていたことと思います。ライターとしての収入をどのように考えて退職されたのか、今一度、振り返ってみてはいかがでしょうか。と言いますのも、収入が減るのは予測ができたことだと思ったからです。

現状のままで進めば、7年後の一括完済は可能です。しかし、予定通りに貯蓄ができなくなることが起きてしまうと、ローン完済はあきらめるか、完済時期を延期するなどの事態は誰でも想像がつきます。配偶者が、万が一就労ができなくなってしまった場合は特に大きな打撃になります。

実は、私も会社員からフリーランスになった経験があります。これまでは決まった時間に家を出て帰ってくるという生活スタイルから、自宅と仕事場所が同じというスタイルに変わりました。会社員から在宅勤務に変わると、家族からは時間に余裕があるように見えてしまうことがあります。これまでやってくれていた家事や用事を手伝ってくれなくなった経験をしました。もしも、ご相談者様の家事負担が増えてしまうと、仕事に使える時間が減ってしまい、売上が増えない要因につながります。私の場合はなるべく早い段階で自宅以外の仕事場所を探しました。

会社員とは違い、業務を受託して収入を得るため、収入は一定ではありません。売上の目標額を立てておくことや、ライターとして正当な報酬を得るための料金体系、ブランディングや差別化を考えることも大切です。まずは、退職前の収入を目標にすることでもいいでしょう。

また、経費を差し引いた手元の収入をそのまま家計に入れることはせずに、事業ための蓄えとしていくらか残しておくと安心です。パソコンなど備品を購入する際にここから持ち出すことができます。個人事業としてのお金を、家計と混在させないように分別管理をして、家計にいくら入れると決めておきましょう。

新しい働き方、そして新しい生活のスタートを切られたばかりですね。何はともあれ、健康で仕事を続けられることが一番です。繰上返済の目標の7年後も、20年、30年後もどうかお変わりなくお過ごしください。

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答える「みんなの家計相談」の過去の記事一覧はこちらから。

(たけやきみこ)



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