2018/04/14 07:30

「ネットショップ起業」は本当にもう“無理ゲー”なのか

「ネットショップ起業」は本当にもう“無理ゲー”なのか
「ネットショップ起業」は本当にもう“無理ゲー”なのか

さかのぼること20年前、1990年代はネットショップ黎明期でした。楽天市場やYahoo!ショッピングが誕生し、「自宅にいながら買い物ができる」という革命的なライフスタイルは驚きを持って迎え入れられました。

かつては、ド素人でもネットショップを立ち上げて商品を並べるだけで飛ぶように売れた時代があった“らしい”です。なぜ、断定していないかというと、私はそんなうらやましいビジネス体験をしたことがないからです。

今やアマゾン、楽天、ヤフーの大手3社でEC(ネットショッピング)市場シェアの半分を占めるといわれ、残りのパイをめぐって、とてつもない数のネットショップが熾烈な争いを繰り広げています。

このような状況を反映して、

「今さらネットショップ起業なんて完全に出遅れ、成功なんて無理」
「ネットショップの廃業率知ってる?90%だよ。無理無理」
「アマゾンのマーケットプレイスや楽天市場に出店しても、広告費がものすごくかかるから無理!」

といった悲観的な声がネット上にあふれています。

筆者は2015年にフルーツギフトショップを起業しました。世間的にはかなりの後発タイプと見られることが多く、「絶対に成功しないから起業なんてやめておけ」と、たくさんの人からアドバイスをいただいてきました。

しかし、「今からネットショップはもう遅い」というのは間違いだと思っています。ネットショップ起業には夢があふれており、今からでも十分成功できると考えています。実際にネットショップを経営する立場から、「ネットショップ起業=無理ゲー(クリアが困難なゲーム)説」について考察します。

日本のEC市場は伸びしろ十分

経済産業省のまとめによると、2016年度の国内のEC市場規模は15兆1,358億円で、前期比だと9.9%成長をしています。この15兆円というのは途方もない額で、他の業界と比べると、いかに市場規模が大きいのかがわかります(下図)。

現在、大手3社合計で約50%のシェアを持っており、残りの50%である7.5兆円にその他の企業がひしめき合っている構図です。今からネットショップを起業して大手3社に並ぶ会社を育てるのは、残念ながら難しそうです。

しかし、国内EC市場の今後について、「日本は他国と比べるとEC化率(ECで買い物をする割合)は低く、さらなる拡大をする余地を残している」と見る向きもあります。

実際、日本のEC化率は2016年には5.43%と、年々伸びてきていますが(上図)、それでも15%近い英国や8%台の米国に比べると、まだ伸びしろはありそうに思われます。

確かに日本は人口減少や少子高齢化など構造的な問題を抱えていますが、それでも現在の市場規模の大きさと今後の成長見込みを考えると、残りの50%のパイの中でシェアを伸ばすことができれば、今後の市場拡大の恩恵を受けて、成功できる可能性は十分にあります。

惨憺たるネットショップの実態

しかし、もちろん良いことばかりではありません。

ネットショップはリアル店舗より開業資金が必要ないので副業としてお店を持つ人も多く、参入障壁が低いゆえに競合がひしめいています。それだけにリアル店舗の廃業率よりも高いと言われており、ネットショップ業界では「初年度の廃業率は3割、2年目で5割」とされる厳しい世界なのです。

激しい競争の世界で生き残った少数の店舗が“ネットショップの勝ち組”という状況であり、「店舗を出して商品を並べれば勝手に売れていく」という甘い世界ではないことがわかります。これこそが現在のネットショップ業界の実態なのです。

だからといって、資本力のないショップが絶対に勝てない世界というわけでもありません。ネットショップ起業で失敗している人の多くは、次のような過ちをしているのです。

ネットショップ起業失敗の典型例

売れないショップ、稼げないショップの典型例は、ずばり「横並び」です。どこにでも置いてある商品や、他店と同じ売り方をして、失敗するパターンが後を絶ちません。

ネットショップ起業はほとんどが素人の思いつきで始めることが多く、それ故にビジネス感覚がなく、「大手のマネ」で始めてしまいます。ですが、これは100%失敗します。

まず、大手は商品仕入れのスケールメリットや信用度が違います。大量に仕入れることができれば、規模のディスカウントが効きます。

広告宣伝費に投下できる資金もありますから、買い物客にとってはテレビやネットで見聞きした大手ショップからの買い物に心理的抵抗がないのは当然でしょう。信用や資金を文字通りケタ違いに持っている大手と同じ土俵でガチンコ勝負をしても、負けることは決まりきっているのです。

ビジネスの価値提供の1つに、「他の人がやらないことをやる」ということが挙げられます。ありきたり、横並びの店舗を作っても、より安く、より信用できる店舗に流れるだけで、成功することはありません。

ECの「正しいビジネス」とは?

ネットショップの運営支援などを手掛けるSUPER STUDIOの林紘祐氏によると、ネットショップビジネスの勝利に必要なのは広告宣伝費の予算などではなく、「正しいビジネス」だといいます。

たとえば、ショップ開設後はそもそも来店客を増やす必要があるため、「とりあえず広告を」という店舗が多いのですが、他社の広告システムに依存すると、どの広告の採算が取れているのか、適切に把握できないといいます。

また、購入完了までに買い物をするうえでまったく関係のないページが入っていないか、といったノウハウも必要です。経費のかかる大手モールへの出店ではなく、利益率の高い自社のショッピングサイトを持つこと、効果的な広告宣伝の施策を打つこと、そしてユーザーが買い物をしやすいサイトを持つことが重要だといいます。

筆者もネットショップは夢にあふれていると確信しています。なぜなら、ネットショップ起業で失敗しているのは確実に失敗するパターンに陥っているからで、それさえ回避すれば成功率を高めることができるからです。

ネットショップ起業の3大魅力

起業にはいくつものビジネスがありますが、筆者はネットショップ起業にはさまざまなメリットがあると考えています。いくつもあるメリットのうち、大きいものが「小資本」「自動化」「起業のハードルが低い」という3つです。

ネットショップはリアル店舗での起業と異なり、巨額の費用は必要ありません。筆者の運営するネットショップは、店舗を維持する固定費は月々1万円程度です。もちろん、売り上げに連動する変動費はそれなりに高くなりますが、その分、売り上げと利益になりますから、大きな問題はありません。

また、起業から広告宣伝費はゼロ円で経営しており、大きな経費がかかっていないのです。これはネットショップだからこそできることで、リアル店舗でゼロ円集客をするとなると、寒い中、駅前でお手製のチラシを配ったりするなど、かなりの人力が必要となります。

私が経済的理由でネットショップから撤退する時は、毎月の固定費1万円を支払うことができなくなった時ですが、おそらくその可能性は低そうです。

そして、ネットショップは仕組みを作り上げれば、自動化できます。私の経営している会社では、事務と荷造りスタッフを従業員として雇い、自分がいなくても電話やFAX、ネット受注を処理して商品を発送する仕組みを作り、日々の業務を続けています。

経営者の仕事はマーケティングですから、自分は何もやることがなくなってしまうということはありません。今より規模が大きくなれば、その分、人を雇えば済むので、稼ぐほどに自由な時間がなくなってしまうということもありません。

ネットショップ起業の最大のメリット

しかし、ネットショップ起業の最大のメリットは別にあります。それは「起業しやすい」ということでしょう。

筆者は、ネットショップは最も手軽に起業ができて、成功する可能性の高いビジネスと思っています。会社に勤務しているサラリーマンも、ネットショップなら起業ができます。

筆者自身も、東京の外資系企業で働きながら、週末起業でネットショップを興しました。ビジネスが軌道に乗るまでお給料を受け取ることができたので、経済的に困ることは一切ありませんでした。

ネットショップ起業は、やろうと思えば、会社員を続けながらできてしまうのです。「売るものがない」という人も、手芸に長けていたり、実家が農作物を作っているなら、それを売るネットショップを立ち上げることができてしまいます。

ネットショップ起業で失敗している人は、歴史に学んでいないのです。過去に同じ失敗で市場から消えている先人が山ほどいるのですから、その失敗を研究し、同じ轍を踏むことのないようにしたいものです。

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