2018/05/15 11:30

結果を出すリーダーは部下を評価しない?相手を安心させる秘訣

結果を出すリーダーは部下を評価しない?相手を安心させる秘訣
結果を出すリーダーは部下を評価しない?相手を安心させる秘訣

社員20名のベンチャー企業を皮切りに、ミスミやリクルートでキャリアを積み、現在は人材育成や組織活性化を中心に数々の大手企業をコンサルティングしている中村一浩さんは、自らの経験から、ビジネスリーダーの “理想像”に行き着いたそうです。それは、「メンバーの言動に対し、すぐに評価を下さない」ということ。

リーダーの役割は部下を指導し、評価することのはず。中村さんの真意はどこにあるのでしょうか。著書『なぜ、「すぐに決めない」リーダーが結果を出し続けるのか』の第1章「メンバーのパフォーマンスを最大化する」から、その一端をピックアップしました。

結果を出すリーダーに必要な3原則

ビジネスリーダーの日常は多忙を極めます。プレイングマネジャーとして実績をあげつつ部下をフォローし、社内外でのミーティングや資料作りに追われ、部下が帰ったあとにひとりで残務をこなす。先のことを考える余裕がなく、目の前の仕事を片付けるだけで精一杯になりがちです。

こういう状態が続くと、リーダーだけではなく、チームのパフォーマンスも低下していきます。できればそれぞれのメンバーが持てる力を十分発揮して、自律的に動けるチームをつくりたいもの。中村一浩さんは著書のなかで、そのために必要な原則を3つあげています。

・メンバーをよく知ること
・チームの信頼関係を築くこと
・リーダーは常に自然体であること

言葉だけ見ると決して目新しいものではありません。しかし、ビジネスリーダーとして多くの経験を持ち、人材育成や組織活性についての研究もしてきた中村さんのリーダー論は通り一遍のものではありません。ここでは最初の原則、「メンバーをよく知ること」のエッセンスを紹介しましょう。

他者を知ろうとする前に自分を知ること

リーダーは、チームのメンバーのことをよく知らなければ務まりません。当然のようにメンバーと会話し、観察して、理解を深めようとします。

しかし、その前にやっておかなければならないことがある、と中村さんは指摘します。

それは、まずは自分自身に関心を向けて、自分を知ることです。なぜなら、人は思い込みや価値観など、「自分のメガネ」を通して世の中を見ているから。そのメガネの存在に無自覚でいると、世の中や他人のことをありのままに受け入れることができない、というのです。

それをリーダーとメンバーの関係にあてはめると、リーダーは「自分のメガネ」を通してしかメンバーを見ることができない、ということになります。それはつまり、メンバーの「ありのまま」を見ていない、ということです。

中村さんは、自分のメガネを知るために次のような方法を提案しています。

今から、ある人の顔を思い浮かべてください。
どんな人かというと、「嫌い・苦手な人」と「好き・心地よい人」です。誰が思い浮かびますか。頭の中に思い浮かべたら、その人のどんなところが「嫌い」「好き」かを書き出してみてください。頭で想像するだけでは具体的になりづらいので、文字として書き出すことをお勧めします。
(41ページ)

「嫌い・苦手な人」の顔を思い浮かべながら、たとえば「口ばかりで行動しない」「知ったかぶりをする」「傲慢で他人を見下す」といった特徴を書き出していきます。

そうすると、「自分の感情は、他人のこういう言動に対して、“嫌い・苦手”と反応するんだ」ということが具体的にわかります。

そしてまた、中村さんは次のように指摘します。

ここで書き出したことは、よい悪いは関係なく、無意識に自分がしていることです。つまり、「誰かの好きなところ・嫌いなところ」は、すべてあなたの内面にも存在しています。
これを僕は、「自分の何かに反応します」と呼んでいます。
(44ページ)

つまり、他人に対してイライラするのは、実は自分の内面にある「見たくない自分」を見せられているからなのです。

感情的になる前に冷静に立ち止まる

ピンとこない人もいるかもしれませんが、家族や自分の子ども、身近な人の言動に感じるイライラを思い浮かべてみると納得できるのではないでしょうか。

思い通りに動いてくれないメンバーにイライラを感じ、リーダーは時に感情的に「反応」してしまいます。自分の内面にあるメガネに無自覚な場合、それは反射的で激しいものになりがちです。

「口ばかりで行動しないと、信頼されないよ。これはビジネスの基本だよ!」
「知らないことはきちんと知らないと言うこと。そうでないと成長できないよ!」

もちろん相手のことを思っての苦言であり正論なのですが、このような反射的な叱責は相手に伝わりにくいでしょう。「反応」には自分の「メガネ」が影響していて、相手の「ありのまま」ではないかもしれない、と考えられれば、冷静になって一度立ち止まることができるはずです。

相手を知るにはまず自分を知る。リーダーとしての最初のステップだと、中村さんは指摘します。

「保留する」ことで相手は安心して話ができる

自分のメガネを自覚できたら、次は「保留」を取り入れるといいそうです。では、何を保留するのでしょうか。

ある説によると、人は1日あたり1万~5万回の選択をしているそうです。そのほとんどは無意識に行なわれています。そしてそれらの選択は「評価判断」を伴います。人はものごとを評価し、判断して行動するからです。

仕事の現場で考えれば、チームリーダーは、メンバーの言葉や仕事への態度をほとんど無意識に評価判断していることになります。そのなかにはネガティブなものもあるでしょう。

「やっぱり、あいつの言うことはあり得ない」
「だからあいつはダメなんだ」

しかし、こうした評価判断はリーダーが一方的に下したものであって、必ずしも相手の「ありのまま」を受けとめたものではありません。先に述べた「メガネ」や「反応」と同じように、自分のものの見方による評価判断なのです。

このことに気がつかずにいると、相手の話を正しく理解できないだけでなく、相手に「この人は話を聞いてくれない」「この人に話しても無駄だ」と思われてしまい、非常に残念なコミュニケーションギャップが起こってしまいます。

これを回避するのが「保留する」ということなのです。

評価判断を横に置いて話を聴こう

中村さんは評価判断を「するな」と言っているのではありません。それは、どうしても頭に浮かぶものだからです。では、どうすればいいのでしょうか。

相手の言葉、1つひとつを受けて、評価判断が頭に浮かんできたら、そんな評価判断があることを認め、受け入れたり受け流したりするのでもなく、横に置いてください。そして、ひたすら、話に耳を傾けてください。次の話を聴いて、また評価判断が出てきたら、それも横に置き、とにかく評価判断は横に置き続けながら話を聴いていきます。
(54ページ)

急がず、焦らずに「保留」しながら聴く。こうすることで、相手は「否定されない」と安心し、思考が整理されて、間違いに気づいたり、発想を広げたりすることができます。つまり相手の自主性を引き出すことができるのです。

一生懸命なリーダーほどメンバーへの指導に熱心ですから、相手の話に評価判断をはさまずに聴き続けることに抵抗を感じるかもしれません。しかしその評価判断が、必ずしも相手のありのままの姿ではない、という考えがあれば、難しいことではないはずです。

メンバーと本当の意味で理解し合うためには、相手の言動にすぐ評価判断を下すのではなくそれを「保留」し、「いつか理解できる」という気持ちを持って話を聴くこと。それがメンバーの心を開くことにつながるのです。

チームが高いパフォーマンスを維持するには、メンバーが自律的に動かなければなりません。そのためにはメンバーをよく知り、信頼関係を築き、いつも自然体でいることのできるリーダーが求められる。現場での経験に裏打ちされた中村さんの指摘は、いままでとは違うリーダー像を提示しています。

なぜ、「すぐに決めない」リーダーが結果を出し続けるのか? 中村一浩著


「速さ」だけでは、長期的な成功を望めない。ミスミで事業戦略を徹底的に学び、リクルートでモチベーションの根源を突き詰めた著者が、15年かけて導き出した、「迷いがなくなり」「チームに活気が戻り」「結果が自然とついてくる方法」を実践的に解説。

記事提供/日本実業出版社

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