2017/11/08 16:00

【川本三郎氏書評】大阪の小出版社と著者とのきめ細かい交流

涸沢純平・著『遅れ時計の詩人』
涸沢純平・著『遅れ時計の詩人』

【書評】『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』/涸沢純平・著/編集工房ノア/2000円+税

【評者】川本三郎(評論家)

 出版社の多くが東京に集中しているなか、編集工房ノアは大阪の文芸出版社として孤軍奮闘している。足立巻一、天野忠、山田稔ら関西在住の作家、詩人たちの本を数多く手がけてきた。ノアのファンは文学好きに多い。

 一九七五年に涸沢純平が創業。当時まだ三十歳の手前。以来、文学書が売れなくなった時代のなか良書を出版し続け、四十年を超えた。その涸沢氏の回想記。それなりの規模の会社と思いきや、奥さんと二人だけの家内工業のような会社であることに驚く。

 小出版社だからこそ、きめ細かく著者と接する。よく著者と会い、酒を飲む。文学談義が最高の酒の肴になる。その熱意、意気に大御所の富士正晴をはじめ、多くの著者に可愛がられる。本が出来上がると、著者のもとに届けに行く。ハンセン病の詩人、塔和子の詩集が出来上がると、瀬戸内の島にある療養所にまで届けにゆく。著者はうれしいだろう。

今日の運勢

おひつじ座

全体運

反抗心が強くなりそう。その気持ちを自分のオリジナルなやり方...もっと見る >