2017/12/10 07:00

美術家・横尾忠則が語る「我が人生の書」6冊

 1960年代に大きな影響を受けたのはヘルマン・ヘッセの【5】『シッダルタ』。インドを舞台にある若者が悟りの境地に至るまでの道を描いた物語です。1967年に初めてヒッピーカルチャー最盛期のニューヨークに行ったときにはヒッピーの間でヘッセはスイスの聖者として尊敬され、この本はバイブルになっていました。この本をきっかけにして後に何度もインドに行くことになります。

 老齢になってからよく読むようになったのが、貝原益軒の【6】『養生訓』です。益軒さんは体だけでなく心の養生も説いていて、体の養生と心の養生が一対になっているんですね。ひと頃いろんな人の養生訓を読みましたが、帰ってくるのは結局益軒さん。いろいろな訳のものを読んでいて、いま手に入るものは全部持っているんじゃないかな。ちなみに、最近は本屋さんに行くと、日野原重明さんの本ばかり買って、読んでいます。

 僕にとって本は、教養を得るためではなく、生き方に興味があって読むもの。それと、どこかで自分の創作に結びつくんですね。だから、そんなにたくさん読むわけではありませんが、ここで挙げた本も含め、気に入った本は折あるごとに繰り返し読みます。

【PROFILE】よこお・ただのり/1936年兵庫県生まれ。『ぶるうらんど』(中公文庫、泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(青土社、講談社エッセイ賞)、『本を読むのが苦手な僕はこんなふうに本を読んできた』(光文社新書)他、著書多数。自身の作品を展示する横尾忠則現代美術館(兵庫県)、豊島横尾館(香川県)がある。

※SAPIO 2017年11・12月号

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