2018/01/29 07:00

思想史研究家・先崎彰容氏が選ぶ「天皇」を読む7冊

思想史研究家の先崎彰容氏 写真/五十嵐美弥
思想史研究家の先崎彰容氏 写真/五十嵐美弥

「平成」は残り1年あまりとなった。天皇の譲位は、江戸時代後期の光格天皇以来、約200年ぶりとなる。国民にとっては「天皇」について考える機会が訪れているといえる。ベストセラー『違和感の正体』の著者で思想史研究家の先崎彰容氏が、「天皇」を読む7冊を紹介する。

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 2016年8月8日、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」が発表されると、我々日本人の心の中であらためて「天皇」が浮上した。「天皇」は、ふだんは心の奥深くに潜んでいるが、時代の節目になると顕在化し、大きな存在感を示す。そして、我々に問いを突きつける──日本と日本人のアイデンティティとは何なのか、と。つまり、「天皇」について考えることは、日本国と私たち国民のあり方を問うことなのだ。

 では、先人たちはどう考えてきたか。敗戦直後と、1960年代末の政治の季節に発表されたものを中心に選んだ。

 敗戦直後、天皇について賛否両論が噴出したとき、批判的に論じた代表が政治学者丸山眞男であり、その「超国家主義の論理と心理」(1)である。それは戦後論壇の記念碑的論文となった。丸山はナチスドイツのファシズムと戦前日本の「超国家主義」は決定的に異なるとした。ドイツの場合、ヒトラーら指導者層には戦争中の行為について明確な意思があり、それゆえ責任の所在も明確だ。一方、日本の場合、下位が上位に従う関係が連鎖し、世俗の最上位者たる首相は御簾の向こう側にひれ伏し、天皇その人もまた万世一系の権威と伝統によって物事を決定する。つまり、どこまで行っても「責任の主体」が見えてこない。その結果、日本は状況に流されて戦争に突入してしまったと、丸山は看破した。

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