2018/02/17 16:00

【山内昌之氏書評】内輪の専門家への疑問も鋭い日本通史

本郷和人・著『日本史のツボ』
本郷和人・著『日本史のツボ』

【書評】『日本史のツボ』/本郷和人・著/文春新書/840円+税

【評者】山内昌之(明治大学特任教授)

 ツボを押えれば歴史が分かるというわけでもなかろう。それでも、7つのツボを親切に教えてくれる本書を読むと、日本史の流れを理解できた気分になる。それは本書が天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済というツボに沿って、独自の日本通史を試みているからだ。

 たとえば、天皇は室町時代まで公家や武士や寺社などの「権門」の上に君臨したという見解にも、承久の乱以降北条氏が天皇を誰にすべきかという最高の人事権を握った以上、朝廷が果たして幕府より上位の権力機構だったのかと明快に反論する。

 それでは、足利尊氏の執事高師直(こうのもろなお)が“木や金の像でもよい、天皇にはいてもらわないと困る”と傲慢にも述べたのは何故だろうか。それは、土地の権利をめぐる論理として「職の体系」が必要であり、官職叙任権をもつ天皇家を滅ぼすと土地の権利が大混乱を来し武家政権の信用も丸つぶれになるからだと、これも明快そのものなのだ。

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