2018/04/19 16:00

【平山周吉氏書評】梶芽衣子の「損を承知の生き方」

『真実』/梶芽衣子・著
『真実』/梶芽衣子・著

【書評】『真実』/梶芽衣子・著/文藝春秋/1350円+税

【評者】平山周吉(雑文家)

『女囚さそり』の孤高、『曽根崎心中』の一途、四十年も前のスクリーンと少しも変わらない、俗な世間を刺し殺すような視線がみなぎっている本である。梶芽衣子、七十歳の自伝は、「媚びない、めげない、挫けない」という信条そのままで齢を重ねた人の清々しさがある。ここまで損を承知の、ストイックな生き方を知ると、読む方が怖気づくほどだ。

 梶芽衣子は最後の「撮影所育ち」の世代である。日活での同期には渡哲也がいた。渡は生意気と風評の立った梶を撮影所の食堂に呼び出し、説教をする。「お前な、女なんだから可愛いがられなきゃ駄目だ」。渡のやさしい忠告にも、ついつい言い返してしまう。

「お上手をいうのが苦手な」江戸っ子娘は、「さそり」主演のオファーにも素っ気なかった。「女囚なんか嫌よ」と断る。もし引き受けるとしたら、「せりふを一言も発しない」というアイディアで演じていいのなら。梶の破天荒な演技プランが大ヒットを生み出す。当時はヒット作のシリーズ化が当り前。梶はそれにも肯(がえ)んじない。四作までで“勇退”する。

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