2018/05/02 16:00

【嵐山光三郎氏書評】西部邁氏による日本と日本人への絶望

『保守の遺言 JAP.COM衰滅の状況』/西部邁・著
『保守の遺言 JAP.COM衰滅の状況』/西部邁・著

【書評】『保守の遺言 JAP.COM衰滅の状況』/西部邁・著/平凡社新書/880円+税

【評者】嵐山光三郎(作家)

 1月21日に自裁をとげた西部邁の絶筆である。西部氏が規定する「保守」は、「危機において平衡をとる英知」で、「負けを覚悟の言論戦」となる。自由民主党も立憲民主党も民主主義を標榜する、デモクラシーは素直に民衆政治と訳されるべきであった。古代アテネでのソクラテスやプラトンの議論では、デモクラシーが衆愚政治に転落して、金権政治となり、独裁政治に帰着した。

 と、西部氏は、あの人なつっこい顔でギロンを仕かけてくる。「自衛隊という憲法違反の存在」を国民の93%が肯定しているにもかかわらず、その六割以上が当該の憲法条項の改正に反対している。これは国民精神の統合失調症じゃないのか、と。憲法九条には「侵略の禁止」があるけれど、侵略と自衛の区別は不可能で、これまでの侵略はすべて自衛を口実にしていた。

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