2019/01/25 16:00

【関川夏央氏書評】「文学産業」は滅んでも文学は不滅

『最後の読書』津野海太郎・著
『最後の読書』津野海太郎・著

【書評】『最後の読書』/津野海太郎・著/新潮社/1900円+税
【評者】関川夏央(作家)

 蔵書家というものがいた。本に飢えた戦中を過ごし、戦後はむさぼるように読んだ。高度成長期には大量生産された本を買っては売り、売っては買ううちに本は際限なく増えた。背景には「昭和戦後」の「教養主義」がある。一九三〇年代生まれの本好きがこのコースを歩みがちだった、と三八年生まれの著者・津野海太郎はいう。三四年生まれの井上ひさしの蔵書は十四万冊に達した。

 本は場所を取る。一部屋つぶすくらいでは済まない。家族が迷惑がる蔵書処分は「終活」の柱だ。しかるに古書業界は事実上消滅し、図書館は本の寄付を断る。捨てるほかないとは情けない。

 津野海太郎も無類の本好き、歩きながら読書する少年だった。長じて編集者となり書き手となっても歩行読書癖はつづいた。独身時代には頻繁な引越しのせいか蔵書は三、四千冊にとどまったが、五十歳を過ぎて結婚すると七千冊まで増えた。

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