2019/01/28 07:00

便潜血検査、3人に1人の割合で大腸がんが発見されない

便だけでは分からないことも
便だけでは分からないことも

 がんを早く見つけたいから検査を受ける。問題なければ安心する。しかし、それは必ずしも「がんではない」ことを意味しない。“見落とされた”というケースは、「例外」と済ませられないほど多いのだ。まず、都内在住の65歳男性のケースを紹介する。

「10年前に大腸にできたポリープを取ってから、自治体の『がん検診』を毎年欠かさず受けてきました。それからずっと異常なしだったのですが、今回は大腸に『陽性』が出たんです。

 その時は“またポリープかな”と思っていたのですが、精密検査を受けると、医師から『進行している大腸がんです。2年前には見つかっていておかしくないサイズです』と告げられ、すごくショックでした。どうしてもっと早く見つからなかったのでしょうか……」

 1月に発表された厚労省の最新統計で、男女合わせた新たな患者数が最多の15万8127人となった大腸がん。食生活の欧米化などが原因で増加し続けているという。

 大腸がんは、早期に発見すれば治癒可能で、I期の5年生存率は97.6%に達する。しかし、進行するまで自覚症状がないことがほとんどだ。

 そのため、早期発見には検診が重要となる。よく知られているのが、自治体が公費で行なう大腸がん検診(40歳以上対象)や、個人が自己負担で受ける人間ドックなどで広く実施されている「便潜血検査」だ。便の表面を擦って採取した検体を専用の容器に入れて医療機関に提出する、いわゆる「検便」のことだ。とよしま内視鏡クリニック院長の豊島治医師が解説する。

「大腸内に発生した腫瘍と接触した便に、肉眼ではわからないほどわずかな血液が付着することがあります。これを検知するのが便潜血検査で、1日の便を採取する『1回法』と、精度を高めるために2日間の便を採取する『2回法』があります」

 厚労省は大腸がん検診として「便潜血検査」を推奨度が最も高いグレードAと定めており、2016年度に自治体でこの検査を受けた人数は524万人に上る。「陽性」が出ると、再検査や精密検査が求められる。

 しかし、便潜血検査で「陰性」と判定されたからといって、がんを発症していないわけではない。先の都内在住65歳男性はまさにその典型的なケースだ。

「便潜血検査では、3割強の大腸がんに陰性反応が出るという研究結果があります」

 そう指摘するのは、宮崎善仁会病院消化器内科の押川勝太郎医師だ。つまり3人に1人の割合で大腸がんが“見落とされている”ということだ。

「大腸がんは、大腸粘膜の表面にある細胞から発生します。中でも多いのは、良性である『腺腫性ポリープ』ががん化するケースですが、このタイプは、ある程度の大きさにならないと出血しないため、便潜血検査では発見できず、検査結果が『陰性』となることがあります」(押川医師)

 前出の男性が毎年受けていたのはこの「便潜血検査」だったため、発見が遅れた可能性があるという。

「腹部の右半身側にある『上行結腸』は小腸に近く、水分の多い便が運ばれてくるため、腫瘍と便が接触しても出血しにくい。たとえ出血があっても、その後に腸内を通過する過程が長いため血の出た痕跡が薄まり、便潜血検査では検知が難しくなります。そのため進行したがんでも1~2割を見逃すといわれます」(押川医師)

 検体採取を受診者が自ら行なうことも、発見のネックとなりやすい。

「便潜血検査では、排泄した便の表面をまんべんなく擦る必要があります。しかし、“ちょんちょん”とつつくように採取してしまうと、便に含まれる血液まで付着しないことがあります」(豊島医師)

 そもそも便潜血検査は、「がんの有無」を確定するための検査ではないという。

「便潜血検査は、“大腸がんを効率的に見つけ出すための検査”で、最初からがんを見逃すリスクを織り込んでいる。検査が『陰性』だからといって、必ずしも大腸にがんが存在しないわけではありませんし、一方で『陽性』が出ても痔などが原因であったりするケースも珍しくないのです」(押川医師)

※週刊ポスト2019年2月8日号

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