2019/01/30 16:00

【法律相談】夫が会社の保険のみ加入 妻に保険金は?

夫が会社の保険しか入っていなかったら?
夫が会社の保険しか入っていなかったら?

 家族を養っていた人物が突然亡くなった時、残された家族にとって大事なのが生命保険。ただし生命保険にも色々な種類があり、個人ではなく会社の保険にしか加入していなかった場合、何とか夫の保険金を分けてもらうことはできないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 女性読者です。再婚して1年も経たないうちに、自営業の夫が病死したのですが、個人的な生命保険の類には加入しておらず、会社の保険だけでした。そこで保険金を分けてもらえるよう共同経営者の方にお願いしたら、あっさり拒否。この場合、妻の私にも保険金が入るような法的な手助けはないですか。

【回答】
 ご主人は共同経営者として会社の取締役をしておられ、ご主人を被保険者、受取人を会社とする生命保険に入っていたものと思います。これは「経営者保険」といい、保険金は会社に支払われます。

 ご主人が被保険者であっても、当然に保険金の分配を求める権利は生じません。あなたが取締役の相続人として会社に対し、請求できる根拠が必要です。そのよすがになるのは退職慰労金となります。

 経営者保険は、死亡取締役の退職慰労金の財源確保が目的で締結されることが多く、また、それに限らず、対外的信用を担っていた取締役の死亡で取引が難しくなったり、金融債務の期限の延長が断わられるなど、経営に支障をきたす可能性があり、その経済的困難に対する備えの意味があります。あるいは、支払保険料が損金計上できることから、法人税対策を兼ねている場合も考えられます。

 他方、取締役の退職慰労金は在任中の業務に対する報酬で、会社がこれを支給するためには、会社法の定めにより、株主総会の決議が必要となります。ただ、今の共同経営者は残念ながら、そもそも支払う意欲がなさそうです。しかし、経営者保険は被保険者の同意がないと、契約できません。ご主人が何を目的に被保険者になることに同意したかが重要です。

 退職慰労金規定がある会社の経営者保険の事例で、保険金の範囲内で規定に従った退職慰労金を遺族に支給することを予定し、取締役も、その認識で被保険者となることに同意した場合は、退職慰労金相当額を遺族に支払う旨の合意が成立したと認め、遺族に対する支払いを命じた裁判例があります。

 会社に協力者がいれば、ご主人が経営者保険の被保険者になることを同意した事情を確認して、加入保険のパンフレットなども準備し、弁護士に相談してください。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年2月8日号



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