2019/01/31 16:00

ピロリ菌除去しても胃がんリスクは3割残る

胃カメラの様子(写真/AFLO)
胃カメラの様子(写真/AFLO)

 がんに関連した検査を受けて「問題ない」「陰性」という結果が出たとしても、それは必ずしも「がんではない」ことを意味しない。“見落とされた”というケースは、「例外」と済ませられないほど多いのだ。

 患者数2位の胃がんはI期の5年生存率は97.4%と非常に高く、早期発見が求められる。

 しかし、広く行なわれている胃がん検査にも“落とし穴”がある。ポイントとなるのは、近年、胃がんの原因として研究が進んでいるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)だ。

「胃の中に生息する細菌で、口から口への経口感染が主な感染ルートです。日本では高齢者ほど感染者が多く、70代の5割、60代の3割、40~50代の2割が感染しており、6000万人が感染していると推計されます」(宮崎善仁会病院消化器内科の押川勝太郎医師)

 ピロリ菌に感染すると、菌が発する毒素によって胃の粘膜が炎症(萎縮性胃炎)を起こし、それが長期化することで細胞ががん化する。

「世界各国の研究により、胃がんの原因は95%がピロリ菌だとされています」(押川医師)

 そのため、「ピロリ菌を除去すれば、胃がんにかからない」と言われているが、押川医師は「その考えは間違っています」と指摘する。

「除菌薬を用いて仮にピロリ菌を100%除菌できたとしても、それまでにピロリ菌によって受けたダメージが蓄積しており、萎縮性胃炎を経て胃がんを発症するケースがあります。また、除菌前から顕微鏡レベルでしか見えないがん細胞がすでに胃に存在していれば、そこから進行することもあります。

 除菌しない人と比べて、除菌した人の発症リスクは3割まで抑制されるとの研究結果があります(グラフ参照)。それは裏を返せば、『3割はリスクが残ってしまう』ということでもあるのです」(押川医師)

 自治体による胃がん検診や、人間ドックなどで一般的に行なわれる「バリウム検査」にも注意が必要だ。

 バリウムを飲んだ後に検査台に全身を固定され、ぐるぐると回転しながらX線撮影をする検査法だが、近年はその結果に疑問が呈されている。

 厚労省の「地域保健・健康推進事業報告」(2016年度)によると、1年間で13万人発生する新規の胃がん患者のうち、自治体のバリウム検査で見つかったのはわずか4500人だった。

「バリウム検査は、『手術可能な大きさまで進行した胃がん』を見つけるために開発されたもので、そもそも早期発見には向いていません」(押川医師)

 他にもリスクがある。押川医師が続ける。

「X線による被曝リスクのほか、排便が固まって便秘になったり、バリウムが体内に固着して腸などに穴が開く『穿孔(せんこう)』が起きるなど、リスクがメリットを上回ります。一般のドクターで、自らの胃がん検査をバリウムで行なっている人はいないでしょう」

※週刊ポスト2019年2月8日号



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