2019/02/04 07:00

親の認知症対策 「成年後見」と「家族信託」の使い分け方

認知症700万時代を迎え、済ませておくべきことは?
認知症700万時代を迎え、済ませておくべきことは?

 認知症700万人時代を迎え、「老親がボケるリスク」は、どの家族にもある。“その時”に親の資産が凍結されてしまうのを防ぐために「成年後見(任意後見)」「家族信託」という制度があるが、その普及は進んでいない。「どこに相談すればいいかわからない」「手続きが難しそう」──そんな不安をいち早く解消し、迫り来るリスクに備えなくてはならない。

 いまや65歳以上の15%、85歳を超えると5割以上が認知症になると推計されている。親が認知症になった時、家族には思いがけないリスクが降りかかる。

 認知症が進行して金融機関の窓口で「判断能力がない」と判定されると、口座を事実上凍結され、家族も、本人さえも引き出せなくなるケースがある。介護費用などに親の資産を使えなくなるのだ。

 本誌・週刊ポストでは、親の認知症への対策として、「成年後見(任意後見)」と「家族信託」の2つの制度があることを紹介してきた。「成年後見(任意後見)」は親の判断能力があるうちに家族の1人を後見人に指名(契約)しておき、認知症が進んだ段階で後見人が家庭裁判所に届け出て親の財産を管理する制度だ。

 後見人になれば親の口座などから預金を引き出す権限を持つが、その使途は裁判所が選任した後見監督人(司法書士や弁護士など)に厳しくチェックされる。

「家族信託」も親が元気なうちに家族に資産の一部を信託し、運用・管理を委ねる制度だ。信託した財産は、受託者である家族に管理を委ねられるため、信託契約の内容次第で家族は広い財産処分権を持つ。ただし、親名義のままの資産は扱えないという制約がある。

 メリットとデメリットがあるため、どちらの制度が適しているかは、その親子の置かれた状況によって変わってくる。

 たとえば、同じ「親を老人ホームに入れたいケース」でも、【1】「親の家」を売って入居一時金にしたいなら家族信託、【2】ホームの毎月の費用を「親の年金」で払う場合は任意後見にしておく必要がある。

 他にも、「親の保有株」を売りたいなら家族信託、親のクレジットカードやスポーツジムなどの会費を解約するなら任意後見、といった違いがあるのだ。

 ところが、この2つの制度は家族の安心を支える備えとなるにもかかわらず、まだ認知度が低く、あまり普及していない。「どこに相談し、手続きすればいいのかわからない」──本誌にはそうした声が多く寄せられた。

 まず押さえておきたいのは最初の相談窓口だ。

 任意後見制度を利用したい場合は、弁護士や司法書士、行政書士に報酬を支払って依頼する方法もあるが、決して難しい手続きではないので、必ずしも介在してもらわなくてもいい。後見制度及び家族信託制度に詳しい遠藤英嗣・弁護士が語る。

「公証役場に行き、後見契約について相談してください。制度の説明も受けられ、そこで具体的な契約内容を決め、必要な書類を準備すると、後日、公証役場から『準備ができました』と連絡が来ます」

 相談窓口を見つけにくいのが「家族信託」だ。混同されがちだが、家族信託は親子など家族間で信託契約(民事信託)を結ぶ制度で、銀行などが受託者になる商事信託とは制度も法律も違う。そのため、銀行で家族信託の相談を受けるケースはまだ少ない。

「実際に民事信託の契約をするなら、民事信託推進センターや専門にやっている弁護士に相談する。相談だけなら無料で応じてくれるケースもあります」(同前)

※週刊ポスト2019年2月15・22日号



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