2019/02/20 07:00

白血病の抗がん剤治療 16歳時の経験者が語る辛い無菌室生活

日本中が病気の克服を祈っている(共同通信社)
日本中が病気の克服を祈っている(共同通信社)

 水泳の池江璃花子選手(18)の白血病公表は、世間に衝撃を与えた。白血病は“血液のがん”と呼ばれる。血液をつくり出す造血幹細胞に異常が起き、がん化した白血球(白血病細胞)が増殖する病気だ。「急性」と「慢性」の2種類があり、急性が7割、慢性が3割だという。さらに、それぞれ骨髄系幹細胞に異常が起きる「骨髄性」とリンパ系幹細胞で起きる「リンパ性」がある。

 白血病と診断されると、基本的には抗がん剤治療に移ることになる。新潟県立がんセンター新潟病院の内科・血液・化学療法臨床部長の張高明医師が解説する。

「大腸がんなどの固形がんとは違い、血液のがんの場合には、抗がん剤治療の臨床効果は確立されていて、どの抗がん剤を組み合わせて使用するかもはっきりしています。

 骨髄性の場合は1週間から10日ほど、リンパ性で2か月ほど『寛解導入療法』と呼ばれる抗がん剤治療を行ないます。これで白血病細胞はほとんどなくなる。正常な造血細胞もすべてなくなりますが、その後1~2週間で正常な造血細胞が増え始めます。

 1か月ほど経ったら、また入院して残った白血病細胞を根絶やしにする『寛解後療法(地固め療法)』という抗がん剤治療を行ないます。これを何度か繰り返し、個人差はありますが、治療には半年以上かかります」

 白血病の抗がん剤治療といえば、免疫力が著しく下がるため、感染症対策として無菌室に入院することが基本となる。経験者からすると、これが最も辛いものだったという。

 16歳で急性リンパ性白血病を発症したNPO法人わたしのがんnetの共同代表、羽賀涼子さん(48)は、32年前の治療体験をこう語る。

「無菌室での60日間は本当につらかった。当時の無菌室は完全に隔離されていて、両親との会話は窓越しのインターフォンで、担当医が聴診器を当てるのも透明なベール越しでした。気晴らしは窓から見える空の風景や流し見しているテレビくらいでした」

 が、現在ではこうした環境は大きく改善されているという。前出の張医師が言う。

「除菌した上でマスクに手袋をしてもらえばお見舞いもできます。患者はスマホでSNSもできますし、コンピュータゲームも楽しめます。私の病院の無菌室には、足腰を鍛えるための自転車もリハビリ用に置いてあり、お風呂も毎日入れます。それでも個室からは一切出られないので、売店に行ったり、散歩したりもできません。個室に隔離されるという状況はやはりつらいものがあります」

 前出の羽賀さんは、池江選手にこう言葉を送った。

「池江さんは病気が分かったばかりで混乱していて、励ましの言葉もなかなか耳に入ってこず、心に受けとめられるような隙間もない時があるかもしれません。今は自分を中心に考えて、ゆっくり体を休めて根治してほしいです」

 日本中がそう願っている。

※週刊ポスト2019年3月1日号

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