2019/02/20 11:00

高血圧治療ガイドライン「130未満」に引き下げたら何が変わる

高血圧患者は推計4000万人以上いる
高血圧患者は推計4000万人以上いる

 今年4月の高血圧治療ガイドライン改訂で、高血圧の治療目標が、これまでの上(収縮期血圧)が「140未満」から「130未満」にまで引き下げられる方針だ。“ちょっと厳しすぎるのでは”と思った人は、大きな勘違いをしている──。

「血圧130」のリスクを明らかにした『NIPPON DATA80』という調査がある。同調査の主任研究者で滋賀医科大学名誉教授の上島弘嗣氏が話す。

「1980年に厚生省(当時)が実施した調査を起点に、全国からランダムサンプルした約1万人を、14年にわたって追跡調査したものです。国民の代表集団を追跡した大規模な調査は国内では他に例がなく、2003年の発表以来、現在に至るまで、各種研究や日本動脈硬化学会の診療ガイドライン策定などに活用されてきました」

 同調査によれば、上の血圧が120未満の人に比べて、130台の人は2.62倍、180を超える人は4.69倍も脳卒中による死亡リスクが高かったのだ。

「血圧が上がると必然的に血管へのダメージが大きくなる。脳の血管が破れたり詰まったりするリスクが上昇する。ですが、現在は一般に“正常値”とされる130台でも脳卒中死亡リスクが2.62倍になるというのは驚かれる方も多いかもしれません」(同前)

◆「薬で下げる」のもリスク

 難しいのは「血圧を120未満にするために降圧剤を飲めばいい」とはいかないところだ。高血圧の予防治療が専門の新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が指摘する。

「降圧剤の服用には、腎機能の低下を招くなど副作用のリスクが伴います。薬の効果が強く出ることで血圧が下がり過ぎ、脳に血流が届かずめまいによる転倒や交通事故といったことも起きています。特に高齢者の転倒事故は大腿骨骨折など寝たきりの生活に直結するケースも多い」

 高血圧と薬の両方のリスクを考える必要があるのだ。前出の上島氏はこういう。

「降圧剤を飲み始める前に、まず減塩を中心とした食生活の見直しに取り組む。規則正しい生活やジョギングなど有酸素運動を日常生活に取り入れることも有効です」

 すでに降圧剤を服用している人も、「2種類以上の血圧の薬が入った配合剤や、複数の降圧剤を飲んでいる人は医師と相談して減薬を考えたほうがいい」(前出・岡田氏)という。

 重要なのは「年齢」の観点だ。『NIPPON DATA80』でも、年齢が上がるほど、血圧が高い人と低い人の死亡リスクの差は縮まっていく。

「血管は加齢とともに固くなり、血圧が高くなるのは自然なことでもある。服用による転倒リスクなども考えれば、65歳以上になったら、動脈瘤などの既往歴がある人を除き、降圧剤を飲み続けるべきか、慎重な判断が必要となります」(同前)

 かかりつけ医などと相談しながら“薬に頼らない血圧コントロール”を探りたい。

※週刊ポスト2019年3月1日号

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