2019/02/26 07:00

故人の親の凍結口座から葬儀費用最大150万円引き出し可能に

「預貯金の仮払い制度」でかさむ出費に対応
「預貯金の仮払い制度」でかさむ出費に対応

 2019年7月1日、「相続」のあり方が大きく変わる。40年ぶりに民法の相続規定(通称「相続法」)が改正され、遺言書の作成や遺産分割、故人の預金引き出し、自宅の相続方法まで新ルールが実施されるからだ。

 例えば、実家の資産価値は低いが、預貯金など金融資産は多い場合、配偶者の生活を守るために新設される「配偶者贈与」の利用で相続税対策は可能だ。

 だがその場合も、不動産の名義変更にかかる登録免許税や取得税は相続より贈与の方が高くなるため、メリットは乏しい。むしろ、今回の制度改正で遺産に預貯金が多い親を持つ人に朗報なのは、「預貯金払い戻し制度」ができることだろう。

 親が亡くなると、故人名義の口座は事実上“凍結”され、預金の払い戻しには、相続人全員で合意した「遺産分割協議書」と、全員の署名捺印と印鑑証明を添えた書類を金融機関に提出する必要がある。遺産分割の話し合いがまとまるまでは葬儀費用や残された妻の生活費さえ引き出せなくなるのだ。

 そこで7月からは「預貯金の仮払い制度」が創設され、遺産分割協議がまとまる前でも、相続人1人の請求で故人の口座から預金の一定額の支払いを受けることができるようになる。相続に詳しい税理士・犬山忠宏氏の説明だ。

「新制度では故人の預金を引き出す場合、金融機関に戸籍謄本など自分が相続人であることを証明する書類を出せば、相続人全員の同意書までは必要なくなると思われます。相続分の前払いにあたるので、使途や理由を説明する必要もありません」

 引き出せる金額は〈口座残高×法定相続分〉の3分の1で計算され、上限は金融機関ごとに150万円だ。相続人が妻と2人の子供の場合、預金残高が900万円なら、妻は150万円、子供は1人あたり75万円までになるが、金融機関が複数あればそれぞれの口座から引き出せる。

「葬儀代やお布施は俺が親父の口座から下ろして払っておくよ」

 そんなふうに長男が葬儀代を立て替えることも容易になる。注意が必要なのは、長男が引き出した預金は、その後の遺産分配で長男の相続分から差し引かれることだ。

「相続人の1人が葬儀費用などを立て替える場合、葬儀社の領収証をはじめ、役所に死亡届を出しに行くときの交通費、戸籍謄本などの取得にかかった印紙代など、経費の証拠を残しておくことが重要です。そうすれば、遺産分割協議でその金額は相続人全員で負担すべき経費だと主張できます」(犬山氏)

 領収証がないと、“そんなにカネがかかったわけがない”と家族の無用なトラブルになりがちだ。新制度がかえって“争続”のタネになるリスクを知って、備えておきたい。

※週刊ポスト2019年3月8日号

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