2019/02/27 07:00

「相続」改正で変わる自筆証書遺言 手軽になるが落とし穴も

「自筆証書遺言」こう変わる
「自筆証書遺言」こう変わる

 遺産の分配は故人の遺志が最優先され、遺言書があれば相続人による協議の必要はない。だが、相続を巡る係争で多いのは、兄弟の遺産分配協議がまとまった後、親の自筆の「遺言書」が見つかるケースだ。

「親父は何で先に言っておいてくれなかったのか」

 公証役場で作成保管する公正証書遺言と違って、自筆証書遺言は保管場所が決まっていないことが原因だ。遺言の内容次第では、せっかく円満に分割していたのに、かえって遺産争いを招きかねない。

 それを防ぐのが来年7月施行の「法務局における自筆証書遺言保管制度」だ。これは遺言者本人が作成した自筆遺言を所管の法務局に持参して保管申請することで、本人の死亡後、相続人が遺言書の保管を照会し、交付を受けられる制度だ。

 保管申請にあたって法務局の専門官が遺言書の内容をチェックするため、不備があれば指摘してもらい訂正できる。円満相続税理士法人代表の橘慶太氏が説明する。

「自筆証書遺言はトラブルを招きやすいが、一番多いのが紛失。信頼する人に預かってもらうのが一般的ですが、いざ相続が起きる頃には相手も高齢化していることがある。かといって自宅に保管すると改ざんの心配もある。法務局で保管すればそうした心配がなくなる」

 自筆証書遺言は相続人立ち会いの下、家庭裁判所で開封する「検認」という作業が必要だが、法務局に保管された遺言書はその手続きも必要なくなる。

 自筆遺言の作成も楽になった。これまではすべて自筆で書かれている必要があり、誤字などがあれば書き直さなければならなかったが、遺言書に添付する財産目録についてはワープロ作成や預金通帳のコピーの添付が認められたからだ(今年1月13日から先行施行)。

 だが、リスクがなくなったわけではない。橘氏が言う。

「今回の法改正によって、自筆証書遺言を選択する人が増えると予想されます。しかし、一般の人が遺言書を書くのは難しい。とくに複数の子供がいて1人に多くの遺産を与えたい場合など、親の死後に分配に不満を持った子供たちが遺言の瑕疵を見つけて無効を申し立てることも珍しくありません。

 相続争いを避けるには、生前に家族会議で分け方について子供たちに遺言の内容を説明して同意を得たり、プロの助言で遺言書を作成するのが望ましい」

※週刊ポスト2019年3月8日号



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