2019/03/03 16:00

認知症の母がちぎり絵体験 テーマ無視して緑色で埋めた理由

◆野菜サラダか、それとも父へのお供えものか

 完成した母の作品は、もはや月見団子ではなかった。三宝(台)の上の団子の丸い線は完全に無視され、数種の緑色の点があふれていた。

「ん? 野菜サラダかな?」と、娘がナイスフォロー。その場が和み、母も一緒に笑った。自作の解説はなかったが、母も意外に満足顔だ。

 その後、お茶とお菓子をいただきながら周囲の人たちに「認知症というのはね、頭がボーッとする感じ。でも私は治ったのよ」と、おしゃべりも全開。来て正解だった。

 それから2か月後のことだが、父の七年祭(七回忌)の儀式の後、娘がつぶやいた。

「おばあちゃんのマステアート、お供えものだったかも」

 実家の法事は神道式で、儀式には海産物や野菜、果物を供える。父の葬儀や法事でも、確かに、月見団子の下絵に描かれていたような三宝の上に、葉つき大根や小松菜などをのせて供えていた。

“アートは心の中の表現”だといわれる。あのとき母の心に何が浮かんでいたのかはわからないが、下絵に目もくれず夢中で貼った緑色は、もしかしたら本当に父へのお供えだったかもしれない。

※女性セブン2019年3月14日号



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