2018/04/19 07:00

困難に負けない「折れない心」を育てるために、親ができること【世界一幸せな国デンマークの子育て Vol.2】

人生をプラスに変える世界一幸せな国の子育て
人生をプラスに変える世界一幸せな国の子育て

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40年以上もの間、世界でもっとも幸福な国であり続けるデンマーク。その国で「親が子どもに与えられる最高の贈り物」とされているのが「リフレーミング」というテクニックです。今回は、そんな「リフレーミング」についてお伝えします。
【世界一幸せな国デンマークの子育て】連載
Vol.1 日本の子育ては、子どもを「幸せな大人」にできるのか?

■大人になって成功できるのは「折れない心」

「リフレーミング」とは、自分が世界を見ている額縁(フレーム)をとり替えること、いわば情報を再解釈するテクニックです。アメリカの多くの企業では、リフレーミングの研修が行われています。なぜなら、リフレーミングは、レジリエンス(折れない心)に欠かせない能力と見なされているからです。

レジリエンスは、最近の教育界の「キーワード」でもあります。教育関係者に取材すると皆さん異口同音に、「今、もっとも子どもたちに必要なのは、レジリエンス(折れない心)です」と、おっしゃいます。

ハーバード・ビジネス・レビュー誌の記事では、アメリカのある創業者社長がこんなふうに言っています。「経験よりも訓練よりも、人のレジリエンスのレベルが成功者と落語者を決定づける。それはガン病棟でも、オリンピックでも、役員会議室でも言えることだ」。
 
■「折れやすい心の子」にしてしまう親の言葉

ところで、私たちが既に持っている「フレーム」は、何によって形づくられているのでしょうか? それは、言葉です。普段、何気なく子どもにこんな「フレーム」を投げつけていませんか?
あなたは、何をやってもダメよね
この子は、繊細すぎる
あなたは、わがまま!
この子は、数学が苦手
あなたはスポーツがあまりできない

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親からそう言われ続けている子どもは、これらの「フレーム」につじつまを合わせる行動をとるようになります。やがて子どもは「自分はそういう子だ」と信じ込むようになって、何かにトライするなんていうことはせず、「折れやすい心の子」の一丁あがりです。

与えられた物語がいったん人生の一部になると、自分のなかから追い出すのは至難の業。つまり自分や子どもについての気に食わないことをくり返し口に出すことで、まさにその欠点を強化してしまうのです。

■デンマーク流の言葉がけ

では、どうしたら良いのでしょうか? デンマーク人は、子どもに対しての言葉がけがとても上手です。子どもが不機嫌な時、一緒に感情の波に巻き込まれて乱暴な「フレーム」を投げつけるかわりに、そうなった理由を子ども自身が気づけるように促します。
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少し長くなりますが、デンマーク流の親子の会話例を引用してみましょう。私は、この会話を声に出しながら読んでみました。声に出してみると「心に入って来る言葉」はわかるものですね。読み進むうちに、私はゆったりとした気持ちになりました。
「どうしたの?」
「別に」
「様子がちょっと変だけど、何かあった?」
「まぁね」
「どういうことなの?」
「わからない」
「悲しいの? 怒ってる? 嬉しい?」
「悲しい」
「どうして悲しいの?」
「悲しいのは、ゲイリーが遊び時間に私の人形を取ったから」
「彼が人形を取ったのね。どうしてあなたの人形をとったのかしら」
「彼が意地悪だから」
「彼は意地悪だと思う? ゲイリーはいつも意地悪なの?」
「そうよ」
「でも、先週はゲイリーとたくさん遊んでいたんじゃなかった?」
「そう」
「そのときは意地悪だった?」
「ううん」
「なるほど。じゃあゲイリーは優しいときもあるのね?」
「うん。優しいときもある」



デンマークの親は、子どもが自分の感情をきちんと言い表せるようになるのを上手に手伝い、建設的な思考へと導きます。これはリフレーミングに欠かせない作業です。

自分の感情を、きちんと言い表せるようにする。これ、本当に大切ですよね。私自身、ひとりの母親として、「子どもと、そんな会話をしたことなかった」と反省しきり…。

■ネガティブなことばかり言ってしまう場合
会話の続きに戻ります。
「彼が人形を取ったとき、どうなったの?」

「私が泣いちゃったの」

「人形を取られて悲しくなったのね。その気持ち、わかるわ。じゃあ、今度ゲイリーに人形を取られたとき、悲しくならないためには、どんなことをすればいいと思う?」

「ゲイリーに返してちょうだいって言う。それとも、先生に言おうかな」

「返してちょうだいって言うのが、良い解決策だと思うわ。ゲイリーは人形遊びが好きなの?」

「時々ね」

「返してちょうだいって言う以外に、何かできることはあるかしら?」

「一緒に人形で遊んでもいいかもしれない」

「それは素晴らしい解決策だわ。ゲイリーは、本当は優しい子なんだから、今度そんなことがあったら、一緒に遊びたい? ってきいてみたら?」

「そうする!」



「物ごとの良い方の面を見る」というテクニックは、あらゆる状況に活用できます。出来事をきちんと分析し、状況を建設的にリフレーミングするために必要なキッカケを探す。そこから物語を紡ぎなおす。ママ自身がリフレーミングを知ることで、いまよりもっとハッピーな気分になれるのではないでしょうか? 

たとえば子どもに対してネガティブな決めつけを言いそうになったときは、「わが子の違ったストーリー」を見つけてみては? ふとわれに返れたとき(返れなくても、落ち込まず…)、自分に少し余裕があるとき、一つずつでも「わが家の言葉」を変えていくだけで、子どもに大きなプレゼントができているのだと私は思います。

「リフレーミングは、練習を積めば楽にできるようになり、楽しめるようになるでしょう」とは『デンマークの親や子どもを褒めない』の著者の弁。何だか、希望が湧きますね!
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■今回の記事の参考文献
『デンマークの親は子どもを褒めない~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~』

『デンマークの親は子どもを褒めない~世界一幸せな国が実践する「折れない」子どもの育て方~』
ジェシカ・ジョエル・アレキサンダー/イーベン・ディシング・サンダール 著/鹿田昌美 訳/集英社 ¥1,500(税別)
ジェシカ・ジョエル・アレキサンダーさん
アメリカ人の作家、コラムニスト、文化研究者。デンマーク人と結婚して13年になり、常に文化の違いに強い関心を持ってきた。
イーベン・ディシング・サンダールさん
ナラティブ・セラピーの認定療法士など資格を持ち、コペンハーゲン郊外で個人診療を行う。専門は家族と子どものカウンセリング。
翻訳者 鹿田昌美(しかた まさみ)さん
国際基督教大学卒業。訳書に「フランスの子どもは夜泣きをしないーパリ発『子育ての秘密―』(集英社)など多数。

(楢戸ひかる)

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